【雲南地域】森林・林業のお知らせ

(島根県東部農林水産振興センター雲南事務所 林業部が伝える情報ブログ)

ニホンジカによる林業被害状況の調査を行いました。

2023年12月27日 | 鳥獣
 
 島根県では、ニホンジカ(以下、シカ)による農林業被害は島根半島に限られていました。しかし近年、中国山地側でもシカの生息域が拡大傾向にあり、林業被害を確認した地域も出始めており、今後の被害拡大が懸念されています。
 そこで、広域でのシカによる林業被害の発生状況を把握し、今後適切な被害対策へつなげるため、雲南管内の3市町で被害状況調査を行いました。(写真1)


写真1:調査地全景

 調査した結果、ほぼ全ての市町でシカによる植栽木への被害を確認しました。特にヒノキへの被害が目立っており、シカに食べられた樹皮の巻き込みもあったことから、数年前からシカの被害が発生していたと考えられます。中には枯死しているものもありました。(写真2、3、4)
 シカ以外にも、ノウサギによる樹皮や主軸等への食害も確認されました。

  
写真2:シカによる樹皮摂食被害(ヒノキ)
写真3:樹皮摂食被害(拡大)
写真4:シカによる主軸食害(ヒノキ)

 植栽木への被害に関わらず、下層植生への食痕や、作業道沿いの低木に樹皮食害や角こすりなどのシカの痕跡がありました。
(写真5、6、7、8)

  
写真5:下層植生の食痕(フユイチゴ)
写真6:作業道沿いの食痕       
 
写真7:角こすり
写真8:シカの糞
 
 今回の調査で被害を確認しなかった地域でも、林業事業体からシカの目撃や被害を確認したといった情報提供もあり、すでにシカが広範囲に生息していることが考えられます。
 今後も継続して調査を実施することで、被害の拡大状況といった動向を把握していくことが必要です。調査の結果は、管内の林業事業体へ周知していく予定です。



【痕跡の見分け方】
 植栽木の食痕から、どの動物による被害かを推測できます。その中でも似ている痕跡として、シカとウサギの食痕があります。シカの上顎には門歯(前歯)が無いため、枝や葉を引きちぎった痕になり、切断面に樹や葉の繊維が残ることがあるのに対して、ウサギは鋭い上下の門歯で枝葉を切断するため、鎌で切ったような、斜めに切り落とされた切断面になっていることが特徴です。
  
シカの食痕
ウサギの食痕



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