みたり*よんだり*きいたり*ぼぉっとしたり

映画のこと、本のこと、おもったこと。

井上雄彦 最後のマンガ展 仙台版

2010-06-06 21:52:30 | みる
JRウィークエンドパスを使い、【井上雄彦 最後のマンガ展 最終重版】を観るために、山形を経由し仙台へ行ってきた。時間と旅費を捻出するのに苦心をしたけれど、そんなことはこのマンガ展をみないでしまう損失の大きさのもとでは取るに足らないことだと、みてしまったら尚更思う。たとえば(いろいろとオファーが来ているということを読んだことがあるので)パリであろうとニューヨークであろうと事情が許せば、このマンガ展をみる為だけにでも、行く価値は十二分にある、そういう展覧会だった。そういう作品を作る人が、ちゃんとこの世にいるんだ、奇跡のようなことだけど。

会場のメディアテークへは仙台周遊ばす〈るーぷる〉を使いました。会場真ん前に停まってくれるし、仙台美味しいとこ取り的なちょこっと観光に便利です。エラい混んでる時は1台見送る覚悟も必要ですが・・・。マンガ展は2010年6月13日まで。出来ることなら、もう一度、みに行きたい。

井上雄彦 エントランス・スペース・プロジェクト*現代美術館

2010-03-22 21:43:42 | みる
なんとか間に合いました。東京都現代美術館エントランスにいる武蔵に会いたかった。

常設展示室へと続くエントランスホールの中央には、この世に生まれおちなんの力も持たない幼子の、この世界に対する「不安」から始まる一枚、悲しいまでに「力」を「強さ」を追い求めながら成長する人間の更なる一枚、また一枚と作品が続き、10枚ほどに凝縮されたひとりの男の辿る道を歩いてゆくと、やがて一番奥の壁面 高さ7.2m、幅6mに描かれた大きな大きな武蔵へと至ります。その大きさゆえあらかじめこの大きな武蔵が視界に入って来ていたとしても、つきあたりに至って対面する武蔵にはやはり瞬間息をのんでしまいます。不思議と仏像に対面したときのような感覚がわたしの中によみがえっていました。仰ぎ見る大きさの大仏を連想させる見る位置だけではなく、おそらく「強い力を持った」はずなのに、はずなのに、精神的な荒野をどうすることもできない、いっそ切られて殺されてしまえば終わりにできるのに、歩き続けなければならない虚無感の果てしなさに、具体的な手立ても答えもない。「無い」所に一筋の光明をもたらす存在としての仏像。それがこの武蔵に何故か重なったのでしょう。

他、【MOTアニュアル2010:装飾】はもしも・・・わたしが~であったならと妄想広がる楽しい展示でした。
そう、もしも・・もしも・・わたしが楽器弾きであったなら、塩保朋子さんの
驚くべき繊細で緻密な切り絵がダイナミックな世界をつくる作品で舞台を構成してコンサートをしてみたい、とか、その会場のロビーの床は、山本基さんの塩のインスタレーションで壁には小川敦生のエングレービングが施された石鹸を飾りたい・・・とかね。
もしも・・・が広がる展覧会は、思考が普段とは切り替わるから美術館に足を運んだかいがあったなぁと思えます。

また、【サイバーアーツジャパン―アルスエレクトロニカの30年】
この展示の意義を理解するのにはわたしは知識無さ過ぎですが、そんな人のためにも、体験型の展示が多く体感しながら理解ができるこの企画は楽しいですね。映画『アバター』で衝撃を受けた3Dもここではよりクリアに体験できたし、筑波大のフローティングアイはとても興味深く、屋内だけではなく、ぜひ屋外でも体験してみたいです。ヤマハTENORI-ONも触れて、どう扱ったらいいのかやみくもでしたが、この楽器面白いですよね。

みた映画

2010-03-08 23:17:57 | みる
【映 画 館】

1/3   This is it


1/11   戦場でワルツを


1/14   アバター


1/28  かいじゅうたちのいるところ


3/5   インビクタス


3/6   ゴールデンスランバー
こういう映画に出会えるためにうんとこやっとこ映画館に通うのさ。



【DVD】


恋人たちの予感

イーストウィックの魔女たち

チェイサー

愛のむきだし

ベンジャミン・バトン

モンゴル

疑惑

オールウェイズ


ドクトル・ジバゴ


少年メリケンサック


流れる

名だたる大女優の大女優たる所以を知ることができる1本。
日本の女優さんて素晴らしかったんですね。



「どれだけコントロールできるかより、・・・

2010-02-09 21:49:18 | みる
どれだけ自分が受け入れられるかが大事になってきた。」(内藤礼 言・東京新聞【土曜訪問】より)

先月1月、神奈川県立近代美術館 鎌倉館まで長距離お散歩をし、内藤礼作品展を観てきました。会場2階受付横の扉をあけると、暗闇が広がり一気に日常の時間とは異なる時空に引き込まれます。衝撃を受けたのは展示ガラスケース4か所のうち2つには、わたしたち観客が靴を脱いで入り中を歩くことができること。観客がガラスショーケースの中に入ると何が起きるか、直に見ることができる作品に対して好奇心と発見に満ちた人の動きをガラスケースの外側から観ることができる。その好奇心と発見の動きが実に各人各様でまさに1回性の作品となる。そしてガラスケースの内側からは、薄明かりの中ガラスケースの作品をを鑑賞する人々の流れを見ることができる。それは観客であった自分の視点が転換される経験。面白かったです。

わたしが今まで美術館で観てきた作品に共通するものを強いてあげるとすれば
〈強烈な自己主張〉
でも今回、内藤礼展で経験したことはそれとはまったく違うものでした。
たとえば、〈微かなもの〉とか〈気配〉とか
「わたしはこんなにもこんななんです」と強く言わなくとも、気付かないものに気づくこと、かすかな声が聞こえてくること、といったような人の感覚が実はつよい生命力につながるのではないか、ここ最近、急に思い立ちフェルデンクライスのレッスンを受けたりなどして、なんとなくこの展示会に思いをからめたりしてそんな方向が好きになっている気配。

モンゴルの至宝展

2010-02-08 23:01:23 | みる
【モンゴルの至宝展】

展示経路の終わりには琴、馬頭琴とモンゴルの楽器が展示されていました。
二つの束からなる馬頭琴の弦。楽器に施された文様の美しさにもはっとさせられましたが、なんとも頼りなげに見える束弦から、ふっくらとしたあの音が出るなんて不思議です。モンゴル琴も色が落ちていたとはいえ、甲の部分に二人の人物のそれぞれのストーリーが絵にして描かれていたものが展示されていて、絵はもうほとんど判明できませんでしたが甲に絵を描くという発想が興味深かったです。
展示は紀元前からのモンゴルの歴史を辿れるようになっています。なので、展示されている数々のものが、どのように使われていたのか自分なりに生き生きとイメージ出来るくらいの歴史の知識を持っていたら、もっと観ていて楽しいだろうと思うと、モンゴルについてほとんど何も知らない自分がちょっと残念でした。知識をベースにした想像力が、展示物に再度命を吹き込むような見方が出来たらもっと楽しいでしょうね。

土偶展-東京国立博物館

2010-01-12 22:55:36 | みる
立派なガラスケースに収められ、スポットライトを浴びている土偶たちに会ってきました。

「わてらほんまはこんなんちゃいまんねん」
「まぁまぁ、こういうのもありっちゃぁありなんちゃう?」
「あたしたちのれぞんでとるちゅうの?わかってもらうの、むりむり。すきーまちゅうの?ちゃいすぎるぅ」
「ごちゃごちゃごちゃごちゃうるさいわね。ずぅぅううっと語らぬ美学でやってきたんだから、いいの!だまってなさい。」

なんてことあるわけないけど、土偶たちのお喋りまで聞こえてきそうなとても楽しい展示でした。


こんなのみたんだっけなぁ。

2010-01-03 18:17:36 | みる
【映画館】
     パブリック・エネミーズ
2009年12月30日、年の瀬駆け込み鑑賞。映画館に通い続けることすら難しいのね、という日々の中でも、ささやかに映画づいてた年の終わりにご褒美のような映画でした。登場人物の心情の描かれ方に深みがない、という指摘もあるようですが、どっこい、逆に、ワンシーンだけで痛いくらいに感じさせる演技に、ますます惚れ惚れしていまいますジョニーデップ様。
   
     ヴィヨンの妻

   母なる証明(期待のポン・ジュノ監督作品。封切日に観に行きました♪)

     沈まぬ太陽

【DVD】
     ブロードキャスト・ニュース

人のセックスを笑うな

どこかで見たレビューに「人の撮り方を笑うな」というコメントがあって思わず笑ってしまいましたが、たしかに独特な撮り方です。ほのかな退屈さ加減がそのまま日常っぽくて、わたしは好きです。

    容疑者Xの献身

     レッドクリフ Part II-未来への最終決戦-

     ストレンジャー・ザン・パラダイス

うーーん。存在の耐えられない退屈さ・・・?

   ザ・フォール/落下の王国

     ペレ

救いのない映画といえば、ダンサーインザダーク、ミスト等思い浮かびますが、この『ペレ』のじわじわとした漠とした救いようのなさ。ペレは後に成功者となるようですが、この映画には描かれていません。ただただどこまでもどこまでも救いもなく、道もないところを歩いて行くだけです。

   クライマーズ・ハイ

    灯台守の恋

   東京タワー オカンとボクと、時々、オトン

なんといてっても、オダギリジョー様ですから。
樹木 希林さんに目を奪われっぱなしでしたが。

   パッセンジャーズ

    グエムル-漢江の怪物-

    ムーラン・ルージュ

パトリス・ルコント~親密すぎるうちあけ話~

2009-10-20 21:59:45 | みる
◇親密すぎるうちあけ話◇パトリス・ルコント◇10/19

”もてたい奴は「耳」になれ”というのが恋の始まりの極意ではないでしょうか。
転移などと野暮なことをいわずに精神分析を小気味よくちりばめて描かれた『親密すぎるうちあけ話』。気持ちの悪い邦題だ、などとと思いながら見始めたのですが、これは面白かった。生真面目な男性の揺れる心情を言葉ではなく眼差しで演じたファブリス・ルキーニ、寡黙というのはこれほどまでに豊かに物語れることなのだと打ち明けてくれるような演技でした。

◇あの日、欲望の大地で◇10/14

突然、大雨の降った夜、自転車で観に行きました。
映画館に到着したとたん地球丸ごと打楽器になったかのような雨。
上映中に雨は通過し、帰路もまた無事自転車で。

いろいろあったけど、ラストがいいね。

◇さまよう刃◇10/17

・・・・・・・・・。

◇夏至◇

◇ダンサー◇

◇花とアリス◇

◇ 変身 ◇

◇マンマ・ミーア◇

◇オーストラリア◇

◇王妃マルゴ◇ 

◇ 橋の上の娘 ◇

◇ EUREKA ユリイカ◇

私史上、最高峰。


◇ チェンジリング ◇

◇めぐりあう時間たち◇

◇ユージュアルサスペクツ◇

◇友へ チング ◇

◇グッドウィルハンティング◇

◇ダンサーインザダーク◇

◇シザーハンズ◇

◇スモーク◇

◇ 青いパパイヤの香り◇

◇ 御法度 ◇








速水御舟~山種美術館~

2009-10-18 23:12:10 | みる
姜尚中さん目当てで時折みている日曜美術館、本日は速水御舟が取り上げられていた。街中のポスターをみて気になっていた今開催中の展覧会のひとつであったけど、日本画に対して乏しいイメージしか持っていないので何としてもというほどではなかった。ところが番組中に紹介される作品に、とても強くひきつけられる。
思い立ち、初めて山種美術館へ。所在もわからないので調べると、ちょっと距離があるため電車にしようか迷ったが、やはり自転車で向かう。これが大正解。日曜日のおかげで交通量が少ないせいか、東京といういう街が好きになるほど自転車移動は楽しい。山種美術館には残念ながら駐輪スペースはない、というか敷地にいっさいゆとりのスペースはない。番組放送の直後だったため混雑も覚悟していたけど、それはあっけなく裏切られ待ち時間なしで入館できる。

速水御舟の絵、それは今までのわたしの(乏しいとはいえ)どんな日本画体験とも異なるものをもたらす。絵から受けるこの印象は何なのだろう、自分でもよくわからないまま、とにかく、絵をみていたい、何度も行きつ戻りつしてみてしまう。『紅梅・白梅』がつくりだすあの無限のように広がる空間を前にして立ち尽くしてしまう。今までは屏風絵に興味を持った記憶はないのに、『名樹散椿』の前からは動けない。『夜桜』『暗香』の闇の色合いや『墨牡丹』の花びらの墨色には、いったいどうしたらいいのだろう、などとわけのわからない気持ちにすらなってしまう。『炎舞』に至っては言葉が出てこない。というよりも言葉を拒むかのような、言葉を近づけないような絵。炎は人が意識していないところに働きかける力があるのでしょう、そのような炎の力がこの絵の闇の色、その描かれ方の生々しくもあり幻想的でもある蛾という生き物のイメージと相まって、日常の中では立ち現れないみえない、けれど、在るもの、を差し出されたような気持ちになる。

南極料理人

2009-09-23 22:37:23 | みる
チケットを貰ってあったのになかなか行けないままでいたら、今週末で上映が終わっちゃうみたいなので、やっとこ観てきました。この映画、とても良かった!美味しい系映画は『かもめ食堂』をも思い起こさせますが、南極という極限環境下とはいえ、三度三度の食事という日々の暮らしの中での食が軸になっているせいでしょうか、自分の足元に肯定感が持てるような映画でした。、

銀座テアトルまで自転車で行ったので、連休最終日、人出の少ないのんびりとした歩行者天国を思い切り自転車でお散歩することができて楽しかった。

お目当て上映時刻、1時間以上前にチケット窓口に行ったのですが、すでに満席。
次回の上映まで本を読んで過ごしました。
斎藤環『生き延びるためのラカン』ほぼ読了。