2年ほど前、わたしは学校を卒業してからの長いブランクを経て再び教室の机に座り先生の講義を受けることになった。先生はわたしより遥かに年若く、しかし、圧倒的な知識量と巧みな話術と端正な顔立ちを持っていた。息抜きなのかサービスなのかコミュニケーションの一環なのか興味からか講義の最中に突然、先生は生徒全員に「好きな漫画」を聞いた。その先生より若い20代になりたての女性が「なな」と答えた。先生はまるであらかじめ分かっていたかのように「・・らしいね。なんとなく似合ってる。」と言った。わたしは、といえば「子どもが愛読している”ちびまるこちゃん”です。」などと、どうもその場にふさわしくない答えしかできなかったのだが。『NANA』という漫画が人気があるということをわたしはその時知り、以来機会があったら読みたいと思っていた。古本屋さんでも自分で買うほどではなかったので読むチャンスも無いままだったが、ここに来て、子どもが「”NANA”買ったけど読む?わたしはイマイチだったからあげる」とわたしの手に『NANA』が巡ってきた。
連休中風邪でダウンしていたので、休みあけを待って今日は午前中に病院へ行った。
予想していたこととはいえ、その混み様は、”冬(風邪)””連休明け”そしてこの病院に限りだが明日の”休院前日”と確かに三段攻めの模様だった。しかしわたしは秘かにほくそ笑んだ。『NANA』を持参して正解だった。
とはいえ、止まらない鼻水に加え、(世界の中心で・・では一切そんなことは無かったのに)すんなりNANA漫画に感情移入してしまった

とで、何とも、やっぱり群集?の中で読むものではなかったようだ。