半世紀を彷徨う

自分の心理状態や日々の出来事から趣味の事まで幅広く。

天使の犬

2015-10-11 18:56:41 | 日記
うちに子犬がやって来た。生まれたばかりの小さな犬。

今思えばその犬が来てからは今までの人生で一番幸せだった時だった。
もうすでに死んでしまった。犬は寿命が短いので、老いていくのも早かった。
「もうこれが最後の散歩になるかもしれない。」夕陽の中、犬の影も入れて写真を撮った。

18年も生きてくれた。もう私がいなくても大丈夫だよとでも言うように朝死んでいた。
あとに残ったのは動かなくなった体とたくさんの楽しい思い出、
それとついさっきまで生きていた証の体温のぬくもり。

そりゃ死んでしまった時はすごく悲しかったし、さんざん泣いた。
でもその犬がいなければ楽しい思い出も無かったんだ。
あれだけ楽しかった思い出がたくさんあるんだ。それだけでこの先も生きていける。

もう思い出しても悲しむ事はないと思っていた。
スーパーでペットフードのコーナーでみた、あいつが大好きだった缶詰。
連休中墓参りに持って行こうとひとつ買った。

今でも覚えている湿った鼻先からおでこをなでた曲線。
首の下の白くて柔らかく長い毛。もう死んで5年近く経つのに時々落ちている毛。
「私の事、覚えてくれてる?」そう聞かれている気がする。

まさに天使の犬。

死んで会えるならこんなにいい事はない。しかしそう信じられるほどもう純粋じゃない。
もう昔の事なのに、一日泣きっぱなしだ。
おまえがいなくなって、おれの幸せもどっかへ行ってしまったよ。


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