<ボンノム小屋の夕食>
ツールドモンブラン(12);1日目(4);ボンノム小屋の夜
(アルパインツアー)
011年7月16日(土)~24日(日)
第3日目;2011年7月18日(月)
(トレッキング1日目) (つづき)
<談話室で雑談>
■まずは談話室でココア
自室にリュックを置いて,一息入れてから,同室のF田さんと一緒に,1階(正確にはグラウンドフロアー)にある食堂兼談話室に向かう.私は3ユーロのココアを注文する.心地よい疲れにはココアが最高である.
ゆっくりと,ココアを飲みながら,お互いに何となく自己紹介をする.F田さんは千葉県にお住まいである.自宅から成田空港まで自家用車で30分ほどの距離だとのこと.私のように鎌倉くんだりから、延々3時間も掛けて成田空港に来る人間にとっては羨ましい限りである.
F田さんは某公共団体の現役のお偉いさんだと分かる.それにしては温厚で頭の低い方だなと感心する.
<ボンノム小屋のレイアウト>
<二人でココア>
■クリストファさんと日本談義
2人で雑談をしていると,現地ガイドのクリストファが隣の席に座る.
はじめは,ツールドモンブランに関連する話をしていたが,その内に,クリストファさんが,日本についての質問を始める.フランス訛りの英語と,日本訛りの英語での会話だから,お互いに聞き取りにくいが,それでも熱心である.
「・・・ところで,クリストファさん.日本を訪れたことがありますか?」
と伺うと,
「まだ行ったことはない・・でも,是非,行ってみたい・・」
と,ますます熱を帯びてくる.
「日本の人口って,どの位あるの?」
「そうだな・・正確な数字は知らないが,大体1億3千万人を一寸掛けるぐらいかな・・」
クリストファさんは,目を丸くして,
「ええ~っ! そんなに多いの? フランスだって6千2百万人ですよ?」
「もっとも大きな都市は東京,人口約1千万人だよ」
「ええっ・・東京って,そんなに大きな都市なの・・!? で,日本の面積はどれくらい..」
この質問には私も参った!
実は,フランスよりは大分広いけれども具体的な数字は覚えていないと正直に言う.その後,地勢の質問が出る.
「日本の国土は,フランスよりは大分広いと思うよ.でも,平地は国土の25パーセント足らずしかないんだよ.残りの75パーセントは山で人間は住めないよ.フランスのように見渡す限り農地や牧場が広がる国とは大分趣が違うよ・・」
「へえ~・・じゃあ,そんなに狭い所にフランスの倍近くの人が住んでいるなんて,随分凄いね・・・」
「うん,だから・・フランスは先進工業国なのに,一方では農業国でもあるでしょう・・でも日本は,食料の大半を輸入に頼らなければならないんだ.」
「日本にも高い山があるの・・?」
「そう・・日本は四つの大きな島からできているんだ.」
と言いながら,私は自分のノートに日本の略図を書く.
「北から北海道,本州,四国,九州だよ・・東京は本州の真ん中辺で太平洋にめんしているよ,・・・で,オレの家は東京から東京湾沿いに40キロメートルほど南に行った所にあるよ.鎌倉って聞いたことある.そこにオレの家があるよ」
「いや,知らない・・日本の周りは全部海か」
「そうだよ・・だから陸の上の国境って無いんだ・・・で,この本州には標高が3000メートルを超える山が沢山あるよ・・」
そんな話をしている内に,小屋の従業員から,そろそろ食事の準備をするから,席を空けてくれと言われる.
外を眺めると,何時の間にか,辺り一面に濃い霧が掛かっている.明日の天気が気になり始める.
<賑やかな夕食>
■ボンノム小屋の夕食
一旦,自室に戻る.ベッドに寝そべって,メモ帳の整理を始める.
19時頃,再び食堂へ降りる.私たち以外にも沢山のハイカーが宿泊しているようである.
私たちが宛がわれた席は,窓際から2列目の長いテーブルである.
到着順に詰めて座ってくれと言われる.私は隅から2番目の席にすある.テーブルを挟んで私のはす向かいがガイドのクリストファさん.その隣が大阪関空組2人と中部地方から来た女性1人の計3人.大阪組は,土地柄もあって,さすがに賑やかである.関東の人に比較すると,やっぱり土地柄か,会話のノリが違う.
日本の山小屋と違って,幾ら狭いと言っても,随分ゆったりと座れる.日本の山小屋のように隣の席の人と肘がぶつかったり,食堂の前で並ぶなどという心配はない.
2~3個の大きくて深い鍋に入れられたスープが運ばれてくる.これをセルフサービスでお皿に盛りつける.メインディッシュは,牛肉,チーズ,コーンをベタベタにすりつぶしたもの(名前が分からない),それにパン.
正直な所,パンはゴソゴソと固くて,余り美味しくない.
スープは,見た目は余りパットしないが,味はなかなかのもの.
■小動物が走る
私たちの席の隣には,オランダから来た一家が座っている.小学生ぐらいの子どもが2~3人居る.どうやら家族だけのグループのようである,彼らも私たちと同じものを食べている.
その内に,賑やかな女性3人の誰かが食堂のガラス越しに,窓枠に沿って走る動物を目ざとく見つける.
「あつ・・・.居た,居た,・・・ほらあそこ!」
「何処よ,何処!・・」
3人の女性が大騒ぎになる.もともと目が悪い私には,どんな動物が走っていったのか全く分からない.
その様子を見ていたオランダ人グループの子ども達がゲラゲラと笑い出す.それが切っ掛けになって,1人の女性が子ども達の中に割って入って,なにやら大声で雑談を始める.
彼女の人懐っこさが,場を和らげる.予期していない国際交流が果たせる.
<左側が陽気なガイド,クリストファさん>
■早々と就寝
夕食は1時間ほどで終わる.
ツアーリーダーから明日の予定の説明がある.
明日は,朝食6時30分,そして,7時30分歩き出しとのことである.
20時4絵5分,就寝.
こうして,旅行3日目,トレッキング1日目が無事終わる.
<第3日目(トレッキング1日目)のラップタイム>
6:00 モーニングコール
7:00 朝食
8:32 シャモニー・パークホテルスイス発(専用車)
9:18 ノートルダムドラゴルジュ着
9:40 〃 トレッキング開始
10:34 ローマ遺跡の橋(10:44まで休憩)
11:47 古い小屋(11:58まで休憩)
12:35 河川敷(13:14まで昼食)
14:51 ボンノムのコル(15:01まで休憩)
16:03 ボンノム小屋手前の小さなコル(16:08まで展望休憩)
16:14 ボンノム小屋着
19:00 夕食
[山行記録]
■専用車による移動距離 35km(概算)
■水平歩行距離 11km(概算)
■累積登攀高度 1240m
■累積下降高度 35m
■所要時間(休憩時間を含む)
専用車による移動
シャモニー発 8:32
ノートルダムドラゴルジュ着 9:18
(所要時間) 46分(0.77h)
歩行所要時間
ノートルダムドラゴルジュ発 9:40
ボンノム小屋着 16:14
(所要時間) 6時間34分(6.57h)
総行動時間
46分(0.77h)+6時間34分(6.57h)=7時間20分(7.34h)
※1日の約30パーセントの時間に相当する.
■移動速度
専用車による移動速度 35km/0.77h=45.4km/h
水平歩行速度 11km/6.57h=1.67km/h
登攀速度(軽微な下り無視) 1240m/6.57h=188.7m/h
(つづく)
「ツールドモンブラン」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/574a00ab084ebcf85f06f1101c7ed34e
「ツールドモンブラン」の次回の記事
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「ツールドモンブラン」の目次
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