[ライフ]【ベテラン記者のデイリーコラム・鹿間孝一のなにわ逍遙】イスラエルの英雄もプーチン大統領も感激「浜寺捕虜収容所」 世界一の好待遇が示す史実+(2/3ページ)(2013.7.27 18:00)
動員2万人し突貫工事、電灯も完備
当初は次々に送られてくる捕虜をテントに収容したが、2万人近い大工や作業員を動員して突貫工事で居住棟を建てた。診療所、礼拝堂、パン工場などが設けられ、日本語教室も開かれた。まだ一般家庭に電気が行き届いていない時代に、収容所内ではどこも電灯がついた。
収容者には運動のために外出も許可され、毎朝隊列を組んで出かけ、夕方に戻った。地元の住民との交流もあり、親しくなって家に招待される捕虜もいたという。
負傷者のために皇后陛下から義手、義足、義眼が贈られ、ロシア政府からは同盟国だったフランスを介して手当金が支給された。
明治39(1906)年2月までに全員がロシアへ送還されたが、収容中に亡くなった89人は共同墓地に手厚く葬られた。
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余話もある。捕虜の中に「イスラエル建国の英雄」と呼ばれるユダヤ人のヨセフ・トランペルドールがいた。彼は親切な扱いに感激し、日本のような小さな国がどうして大国ロシアに勝てたのかと考え、「日本を手本としたユダヤ人国家を建設する」と誓った。
やがてパレスチナへ渡り、建国闘争で銃弾に倒れるが、「国のために死ぬほどの名誉はない」と言って息を引き取った。これも日本兵から教えられた言葉だった。
浜寺公園の一角に「日露友好之像」が建っている。平成14(2002)年5月に建立され、碑文には「ロシアの勇猛果敢なる子が永遠に人々の記憶にとどまらんことを!」。当時の小泉純一郎首相、プーチン大統領が署名している。
[ライフ]【ベテラン記者のデイリーコラム・鹿間孝一のなにわ逍遙】イスラエルの英雄もプーチン大統領も感激「浜寺捕虜収容所」 世界一の好待遇が示す史実+(1/3ページ)(2013.7.27 18:00)
大久保利通卿も愛した日本初の公立公園
かつて大阪の人々は夏になると、南部の堺市から高石市にかけての海岸に海水浴に出かけた。歌枕の地で高師浜(たかしのはま)と呼ばれ、古くから白砂青松の景勝で知られた。
明治になって新田開発が計画された。明治6(1873)年、たまたま訪れた大久保利通が、伐採される松林を惜しんで、
「音に聞く高師の浜のはま松も 世のあだ波は のがれざりけり」
と詠んだ。内務卿の一声で計画は中止となり、一帯はわが国初の公立公園に指定された。浜寺公園である。
大正から昭和にかけて「東洋一の海水浴場」のにぎわいをみせたという。人気の別荘地でもあった。しかし、戦後の高度経済成長の時代に沖合を埋め立てて泉北臨海工業地帯が造成され、松林はそのままだが、今はもう海水浴客の姿はない。
温暖で風光明媚な村に、人口8倍の捕虜が
南海高師浜駅の駅前に「浜寺俘虜(捕虜)収容所跡」のレリーフがある。日露戦争で捕虜になったロシア兵の収容所がここにあった。現在は住宅街になっているが、碁盤の目のように整然と区画された道路は収容所の名残である。
明治37(1904)年2月から1年半に及んだ日露戦争では、約8万人の捕虜が日本に送られた。うち最大時には2万8000人が浜寺に収容された。当時の高石村の人口は約3500人だから、地元はさぞ驚天動地だったろう。
この地が選ばれたのは、陸軍第4師団の司令部が大阪に置かれていたのに加えて、戦時には似つかわしくないが、気候温暖、風光明媚(めいび)が決め手になったという。
さかのぼる1899年、日本も参加してオランダ・ハーグで第1回万国平和会議が開かれ、捕虜、傷病者に対する人道的な扱いが定められた。日露戦争は会議後初めての大規模戦争であり、国際的に注視された。一等国の仲間入りをめざす日本は、とりわけ捕虜の待遇に気を遣った。
[経済]【経済裏読み】それでも世界から好かれる日本、やはり嫌われ孤立していく中国、韓国…英BBC調査結果が物語る「日本のあるべきふるまい方」+(2/3ページ)(2013.7.29 07:00)
他国を見ると、米国やドイツでも日本の評価は下がった。時期的にみて、アベノミクスでの円安進行に伴う経済への不安感で、警戒感を持たれたようだ。
ただ、政権交代という激震の時期にもかかわらず、日本は高い評価を維持したともとれる。
中国は好き嫌いで2極化
中国は前回の5位から今年は9位へと急落。この国は、好かれているか、嫌われているかがはっきり分かれているのが特徴だ。
中国が援助しているナイジェリア、ケニアなどアフリカ諸国では高評価。パキスタンも高い。
一方で欧米諸国での評価は軒並み昨年を大幅に下回った。昨年来、米国は中国からのサイバー攻撃に不快感を示し、EUはダンピング防止のために中国が設けた高い関税に猛反発している。中国は安全や貿易で主要国の反感を買っているようだ。
日本、韓国ともに中国に対する評価は悪く、日本で中国の影響を「良い」としたのは5%、「悪い」は64%。中国は領海、領土で不当な権利を両国に対し主張している。これは当然だろう。
孤立する韓国
韓国は総合結果で10位。前回の12位から2ランク上がった。とはいえ、その中身を見ると、なんとも寒い。
「良い」が50%を超えて「悪い」を上回ったのはインドネシアとガーナの2カ国しかない。前回と比べると米国をはじめ、カナダ、ドイツ、フランスなど総じて評価が下がっている。おしなべて嫌われているのだ。
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[経済]【経済裏読み】それでも世界から好かれる日本、やはり嫌われ孤立していく中国、韓国…英BBC調査結果が物語る「日本のあるべきふるまい方」+(1/3ページ)(2013.7.29 07:00)
それでも世界から好かれる日本、やはり嫌われ孤立していく中国、韓国…英BBC調査結果が物語る「日本のあるべきふるまい方」
英国放送協会(BBC)の海外向け放送「BBCワールドサービス」は、各国が世界に与える影響が良いか悪いかを聴く調査を行い、インターネットなどで公開している。いわば国家のイメージ調査で、日本は例年、好感度上位組だ。ところが2013年調査で、日本は前年の1位から4位に転落。中国、韓国との足の引っ張り合いや、安倍晋三政権の経済政策・アベノミクスが理由のようだが、それでも4位にとどまったのは、日本の信頼の高さを示している。
足を引っ張られても4位の日本
2005年に始まった国際世論調査で、BBCワールドサービスが企画し、カナダの民間調査会社グローブスキャンなどが実施。各国報道機関の協力で、昨年12月から今年4月の間、25カ国の約2万6千人を対象に、17の国・地域に対する印象を電話や対面で調べた。
総合結果で、日本が「世界に良い影響を与えている」とした評価は51%と前年から7ポイント減少し、「悪い影響」は6ポイント増の27%。好感度が下がり、反感度が上がった。
主な理由は中国、韓国に足を引っ張られたためだ。両国の日本への評価はもともと悪いが、今回の調査はさらに拍車がかかり、中国では「良い」の17%に対し「悪い」が74%。韓国は「良い」21%、「悪い」67%。両国とも前年より「悪い」が増え、尖閣諸島や竹島の領土問題、従軍慰安婦問題で、日本との摩擦が高まったことをうかがわせた。
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[経済]中国リスクに嫌気!? 中小企業“撤退”セミナー大盛況+(1/3ページ)(2013.8.20 22:19)
中国リスクに嫌気!? 中小企業“撤退”セミナー大盛況
中国経済の先行きに不透明感が漂う中、撤退を含め事業戦略見直しを考える日本の中小企業を対象にしたセミナーが盛況だ。税収を確保したい中国当局は日本企業の撤退を歓迎していないようで、手続きは長期化しがちという。「会社設立は難しいが清算はもっと難しい」とされ、セミナーで“予習”しておくことが重要になっている。
定員100人が満席
「以前は中国進出についての講師のオファーが月数回あったが、今はその裏返し。進出ブームが撤退に切り替わったようだ」
中国の法制度に詳しい税理士の近藤充氏は昨秋以降、月数回のペースで中国事業の「見直し」をテーマにしたセミナーで講演しているという。
7月に講師を務めた神戸商工会議所のセミナーは「中国ビジネスリスクのとらえ方」「中国ビジネス戦略の見直し~継続か撤退か」がテーマで、70人超の受講者が集まった。
日本政府の尖閣諸島国有化を機に反日デモが中国国内で激化した昨年9月以降、経済団体や自治体が同様のセミナーを相次いで開いている。昨年11月開催の東京商工会議所のセミナーは、定員100人が満席。大阪商工会議所でも今年1月のセミナーに約80人、5月の有料セミナーにも30人超が参加した。