県立高田病院前の大通りを、北西へさらに進む。
それは、かつて大船渡線の竹駒駅があった辺りにたどり着く道だ。
竹駒駅は、気仙川を遡った津波の被害を受けた。付近は、多くの町の破片で埋まったそうだ。
竹駒駅より手前になるが、スーパーマーケットの「マイヤ滝の里店」がある。
マイヤの向かいに、「未来商店街」が見えた。
近くで、オオヨシキリの声が聞こえている。
小川が流れ、手作りの看板と橋が架けられた心地よい場所だった。
被災したが、地元で店を再開したい人の、その思いを汲んで作られた仮設商店だ。
ここに「ブロック808」という飲食店がある。
震災前は駅前の町の中で、市役所からも近い場所にあった。それはあの日、津波で消えた。
それから1年と2ヶ月あまり後に、「未来商店街」で再開したという。
その「ブロック808」で昼餉にする。
献立を見ると、野菜を上手に活用したものだった。
地元の野菜を多く使っているらしい。
若い女性が応対してくれたが、とても笑顔が素敵で、明るく気さくに接してくれたのも嬉しい。
出てきた料理も、おかずが豊富だった。
そのどれもが、一つ一つ味付けが違い、工夫がなされていたのが素晴らしい。
ここは、訪れる人が寛げるように仕立ててあるのだなと、作り手の思いが伝わってきた。
こうやって、被災地でつながりを大切にしている人々がいる。
被災しながらも、誰もが、ほっとできるひと時を得られるようにと、励む人がいる。
被災地の風景は切ない。
けれども、訪れる人を和ませて力づけている、そんな輝きもあるのだ.。