二十年程前、仙台朝市にて、それは立派な尾花沢すいかを見て足を止めた。
大きくて丸く、緑色も黒筋も濃い、見事な出来だった。
「食べたいが、持って帰るのは重いなあ」と、逡巡していたら、連れ合いが
「大丈夫、持てる。買いなよ。」と言うので買った。
「重いでしょ、大丈夫?」と、凄いスイカを抱える連れ合いに、何度も問いかけながら帰ってきた。
何しろあの大きさだから、10㎏位はあったのではないか。
今に比べたら、まだ若かったから頑張れたろうが、よくやったものだ。
自分はさほど食べないくせに、私に食べさせたいと買ってくれた。
本当に甘くて美味しかった。
さて、今は、我が家で丸ごとのスイカを買うことはまずない。
だが、先日は面白いスイカを見つけたので、久々に丸ごとすいかを買ってみた。
何と、一口大である。
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これは「白鷺宝」という菓子。
埼玉の菓匠花見の作った季節限定品。
ちゃんと中身も、赤い実と黒い種のすいかである。
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穏やかな甘さで、美味しい。
和菓子ながら、滑らかでしっとりとしたプラリネのよう。
卵入り白あんを、乳脂の入った蜜の衣で覆ったこの菓子は、洋菓子のような味わいもある。
大正元年創業という店だけに、伝統と近代化の入り混じった時代の空気が、菓子に表れているようだ。
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