福井7人の工芸サムライ

福井県にある国指定7つの伝統的工芸品の職人やモノづくりや産地、福井にまつわる事がらをご紹介します。

鯖江の眼鏡はなぜ分業制なのか

2019-07-28 18:28:47 | ブログ

1社で作ればいいのになぜ鯖江のメガネは分業制になっていったのか??

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 鯖江では当たり前の眼鏡の分業制
まず眼鏡を作るのに部品がたくさん必要です。
例えば写真を見るだけでも部品が多いですよね?
その上、部品1つ1つの行程が非常に多い。

ネジだけでも、切削、ネジ切り、ネジ山など。。

鯖江のメガネも車のように全自動ですればよいのではないか?

 鯖江のメガネ職人に話を聞いたところアセチ、チタン、メッキともその都度材料の強度、粘り、変形具合、表面が違うため人間の手で微調整が必要(職人技が必要)とのこと。

これらを検証すると
  • 1社で全ての工程を行うには多数の人間と設備が必要
  • 人材を育てるのに長年の月日が必要
  • それぞれの部品、工程で職人技が必要
  • 製造ラインを1本にすると1つの行程で問題が発生したら全体の納期が遅れる

イメージでいうとロボットなどのプラモデルを数人でパーツごとに組み立てて最後に合体させて完成という感じでしょうか。工程を分散させて鯖江のメガネはリスクヘッジしていたのですね。
逆にメガネは手のかかる行程が多いため人件費の安い海外品が安く作れる原因でもあります。アパレル業界と同じくメガネ業界も安価な海外製にシェアを奪われています。鯖江のメガネ業界も厳しい状況に立たされているのです。
鯖江の優っている点は職人技で海外では入社して数ヶ月の人間が作業していることが多いため品質の差がでてきます。ただし、その差も近年縮まりつつあります。 

めがねのまち鯖江市役所のHPより分業制についての記事を見つけました 

 メガネは「帳場(かや)」とよばれる各職人グループごとに眼鏡が作られていました。その帳場ごとに職人が競い、腕を磨くことで分業独立が進み現在のような一大産地が形成されたのです

なるほど。
この鯖江のメガネ業界に入った時の疑問を改めて検証しました。
福井県で生まれたメガネは1909年からと言われています。
100年前から理にかなった製造形態をとっていたのですね。
ちなみに鯖江のプラ眼鏡は100〜150位加工工程があると言われていますどれくらいの会社が関わっているか書いてみようと思います。

鯖江メガネのプラ枠に関わっている業者 

 

メガネのフロント・前枠
  1. 企画デザイン屋
  2. 材料屋
  3. 枠押さえ屋
  4. 枠スリ屋(枠削りの事)
  5. 丁番、ネジ屋
  6. 蝶製造屋(鼻盛り部分)
  7. レンズ屋
  8. 研磨屋(荒バフ)
  9. 型屋
  10. ここからはプラ枠メーカーがすることが多い
  11. ガラ入れ(バレル研磨)
  12. 最終手磨き
  13. メガネ組立
  14. 調子取り(歪み、ガタツキなどを直す)
  15. 検品 
  16. 袋詰め
メガネのテンプル・腕
  1. 材料屋
  2. テンプル製造屋
  3. 芯製造屋
  4. シルク版製造屋
  5. 型屋
  6. 押し棒製造屋
  7. ここからはプラ枠メーカーがすることが多い
  8. 最終手磨き
  9. メガネ組立
  10. シルク打ち
  11. 調子取り
  12. 検品

思いついただけでも結構ありました、抜けている会社が多数あると思います。。。
改めて書くとかなり鯖江のメガネの工程は多い。 
鯖江のメガネは各職人が切磋琢磨して世界で勝てる技術をつけてきたのですね。


【関連記事】
鯖江のメガネは板から作られています。

 

www.yumakumamoto.work

 そして鯖江のメガネ工具は手作りが多い

 

www.yumakumamoto.work

 


メガネのまち鯖江で使われる資材について書いてみた

2019-07-28 13:31:50 | ブログ

鯖江のメガネ業界で使われる資材があります

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業界内で仕事をしやすいように、効率的にするために先人たちが日々改善してきました。
その中でメガネのパーツを運搬する時に使われる資材も改善されてきました。
今回は業界ならではの情報を書いてみます。
先に登場する鯖江の専門用語を書いておきます。

  • メガネのレンズが入る部分を前枠・フロント
  • メガネの耳にかかるパーツをテンプル・腕

と言います。

 

 

メガネのパーツを工場から工場へ運搬するのは基本車です。
社名が書かれたミニバンや軽バンが鯖江ではよく見られます。

メガネのテンプルを運ぶ箱

 まずはメガネの耳にかかるパーツ(テンプル・腕)を車などで運搬する際に
産地では必須の箱(発泡スチロール)があるのです。
プラスチックメガネのテンプルは天然素材由来の樹脂(プラスチック)なので
コスれるだけで傷がつくのです。非常にデリケートな素材なんです。


植物性プラスチックについて

www.yumakumamoto.work

 

テンプル同士をビニール袋に詰めて運ぶだけでも擦り傷がついてしまうんです。
そこで登場するのがこの発泡スチロールの箱(業界用語でパレット)です。
これだとテンプル同士が接触せずに車の振動でも関係なく運搬できます。

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この箱はズレずに積み重ねられるように工夫されていて、ご覧のように箱ズレしないように段差があります。

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重ねるとこんな感じ

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1パレットで50本入ります。写真は鯖江ミミカキの新作です。

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鯖江ではこのパレットをバンの後ろに目いっぱい積んで走る車がたくさん見られます。

メガネのフロントを運ぶ箱


そしてメガネのレンズが入るパーツ(前枠・フロント)を運ぶケース。
鯖江では基本的にフロント、テンプルは別工程で進められます。そして最後にメガネ工場がフロントとテンプルをドッキング(組立)します。
理由は別工程で進めることで納期短縮を図ります。

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もう一度おさらい 

  • メガネのレンズが入る部分を〈前枠・フロント〉
  • メガネの耳にかかるパーツを〈テンプル・腕〉

このフロントを運ぶケースには傷つかないように、さらにクッション材も敷いてあります。

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テンプルケース同様に重ねてもズレない段差付き

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重ねるとこんな感じです。

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このように運搬する資材にも各所に工夫を施されています。
マメ情報ですがこのパレットの横にメガネ会社の名前が書いてあるのですが、いろんな名前が入り混ざっています。鯖江のメガネ会社さんは他社のパレットが混ざっても気にしないサ〜というおおらかな?気質です。

イタリアから鯖江にメガネ材料を送る箱


イタリアマツケリー社(植物由来のプラスチックを作っています)は箱もオシャレですね。

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ばばん!っと専用の箱にカッコいいロゴ
大きさは車の高さくらいあり意外に大きい!

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だいたい3点止めされてイタリアから送られます。

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横から見るとこんな感じ

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最大50㎏くらいまでが発送される重量のMAXですね。50kgの材料を運ぶときは4点止めされて送られます。重い

中身は大判だったり

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細版がまとめて入っています。

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鯖江しか見れない情報を書いてみました。
鯖江に来たときは地元の人しか知らない情報も気にして見回してみると
お宝発見みたいで面白いかもですね。
ぜひメガネのまち鯖江へお越しください。