満月と黒猫日記

わたくし黒猫ブランカのデカダン酔いしれた暮らしぶりのレポートです。白い壁に「墜天使」って書いたり書かなかったり。

『ドレスデン、運命の日』

2007-04-23 06:41:17 | 映画

皆様ごきげんよう。黒猫でございます。

今回は溜まっている映画の感想をとりあえずひとつ。

『ドレスデン、運命の日』


第二次世界大戦末期のドイツ。もはや敗色濃厚となっていたドイツだったが、軍部が情報を操作、民間人には勝利も間近、と伝えられていた。
1945年2月、未だ大規模な空襲を免れていたドレスデン。父親の経営する病院で看護婦をするアンナ(フェリシタス・ヴォール)は、同じ病院で働く生真面目で患者想いな医師、アレクサンダー(ベンヤミン・サドラー)に好意を寄せていた。アレクサンダーはアンナの父に許しをもらってアンナに求婚、アンナはこれを受ける。

そんなある日、いつものように負傷者でごった返す病院の地下で、アンナは負傷しているのにも関わらず隠れていた男・ロバート(ジョン・ライト)を見つける。ロバートは敵対国イギリスの兵士で、乗っていた飛行機が撃墜され、逃亡していたのだ。彼を匿ううちに、彼が敵国の人間であることを察したアンナだったが、次第に彼に惹かれてゆく。
ロバートは地下に隠れ潜むうちに、アンナの父親が不足物資であるはずのモルヒネを隠匿しているのを発見する。アンナの父はモルヒネを闇で流し、得た利益で家族と共にスイスに逃がれようと考えていたのだ。アンナとアレクサンダーの婚約パーティに忍び込んだロバートは、それをアンナに暴露。ロバートとの仲が露見したアンナはスイスに逃げる日まで自室に軟禁されることになる。
しかしまさにその当日、ドレスデンは大規模爆撃の標的となっていた。頭上に爆弾が降り注ぎ、避難民が防空壕に殺到する中、アンナはロバートと再会、追ってきたアレクサンダーと3人で地獄と化した街を彷徨うが・・・?

というようなお話。


日本同様第二次世界大戦で敗戦国となったドイツですが、当時のドイツの状況を恥ずかしながらわたしはよく知りませんでした。当時の暗い世相、物資不足の病院、迫害されるユダヤ人たち、挙句の果てに三角関係。暗い映画でした・・・。
アンナは病院の院長の娘なのでそれなりに裕福なんですが、同僚の看護婦はユダヤ人の夫がいつ強制収容所に連れて行かれるかわからず怯えていたり、婚約者となるアレクサンダーは実は苦学生で、医師になるためにどれほど苦労したのかを喧嘩シーンで暴露したり。そしてお父さんは家族のために不正を働いたのに、娘に真っ向から糾弾されてしまいます。挙句の果てに空襲ですもの。何だかもう全員辛い。

しかし空襲のシーンはすごかった・・・。凄惨でした。アンナたちは防空壕に逃げ込むことができたんですが、そこはそこで密閉されているため、段々酸素が不足してきて人々はパニックに陥ります。とにかく生き延びようと手を尽くすアンナたちの傍らで、銃を持っている人に「どうせ死ぬのだからそれで殺して」と懇願する老婆がいたり、爆撃の振動そっちのけでひたすらお祈りする一団がいたり、酸素がなくなって避難民が全滅している防空壕があったり。

ドレスデンには聖母教会という、大きな丸屋根を頂いた教会があるそうなんですが、この時の空襲を受けて倒壊してしまいました。ラストに、何十年かを経てそれが再建され、周囲を埋め尽くす人々が鐘の音を聴きながら祈る姿には何だか胸が詰まりました。

暗い映画ですので、カップルとか友達と観に行くのはちょっとアレかもしれませんが、わたしとしては全体的に観て良かったと思いました。
が、アンナがロバートと結ばれる経緯だけがやけに唐突だと思いました。「え!?なんでそう来るの!?アリなのかそれは」と。あと、婚約者のアレクサンダー、後半結構可哀想でした。この人はこの人でいい人なんだよなあ、人間的で。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿