皆様ごきげんよう。だらしねぇ土曜日を満喫し、その仕上げとばかりにワインを飲みつつヘラヘラしてます黒猫でございますよ。
今日のわたし、レッドさん以下の駄目人間。や、でも平日は働いてるよ?(※それが普通です)
それはさておき、今日は本の感想を。
『天山の巫女ソニン 四 夢の白鷺』(菅野雪虫著、講談社)
北に「巨山」、その東南に「沙惟」、西南に「江南」という国がある半島。
沙惟国の天山で「夢見の巫女の資質なし」とされ、巫女たちの住まう山を下ろされたソニンは、ひょんなことからイウォル王子に仕え始めて二年。数えで十四になった。
生まれつき口が不自由なイウォル王子は、何故かソニンとだけは手を触れ合うと意志を伝えあうことができ、巫女として育てられたゆえに我欲のないソニンを側に置くことで、精神的にも大いに成長した。
二年の間に、ソニンは王子とともに江南にも巨山にも赴き、次世代を担うと思われる両国の王子・王女とも面識を得た。特に江南のクワン王子はイウォル王子と親しくなり、今ではお互いの国を訪問しあうような仲だった。
そんな中、沙惟(=ソニンの国)を訪れたクワン王子は、「妹がおまえに会いたがっている」とソニンに告げる。前回の訪問時、ソニンはクワン王子の妹・リアムの世話をしたのだ。ソニンにも王女に会いたいと思う気持ちがあり、それをイウォル王子に話すと、では江南に行こうということになる。
しかしそんな折、イウォル王子の長兄であるパロル王が倒れた。重い病ではないものの、王を想うイウォル王子はすぐには出発できなくなり、クワン王子とソニンだけが先に江南に向かい、イウォル王子を待つことになった。
ソニンはリアム王女の相手をしつつ、江南でイウォル王子を待つ。が、そんなある日、江南を酷い地震が襲い、海に面した江南は全域に酷い被害を負う。
ある時は敵対し、ある時は助け合うのが三国の習いではあるが、江南の受難に対し、ついこの間まで敵対関係にあった巨山がいち早く援助の手を差し伸べてきた。それどころか、巨山の王女・イェラが直々に江南を訪れ・・・?
というようなお話。
シリーズ四作目ですが、いやあ、面白かった。もう安心して読める感じがします。
前作まででソニンは三国の次世代を担う王子・王女と面識を得ているんですが、それが今回一堂に会します。それぞれ皆自国を愛していますが、どの方もすんなり王位を継げる感じではない立ち位置。まあ、三国の中ではイェラ王女が一番順当に王位を継げそうではありますが、父王のやり方に違和感を感じていて、色々迷ったりしています。
どの王子王女もソニンには不思議な魅力を感じておられるようで、ソニン大人気です。特にクワン王子。なんなのこれどうなるの。すごい微妙なとこで終わったけど。
天山の巫女という特殊な出自ゆえ、主人公ソニンに欲というものがほとんどないのが却ってじりじり来ます。自分がどうしたいのか、ソニン自身がまだ迷っている状況です。
「第五巻につづく」とあったので、確実に五巻に続く構想があるわけですね。期待大です。
このシリーズはもっともっと評価されるべき。個人的には現在シリーズ刊行されている日本のYAの中では一、二を争う面白さだと思います。超おすすめ。
(以下どうでもいいというかどうしようもないネタバレなので若干改行)
しかし次世代の三国を担う全員に請われる状況・・・逆ハーだよこれとか思うわたしは汚れていますか。