机の上

我、机の上に散らかった日々雑多な趣味(イラスト・劇画・CG・模型・HP・生活)の更新記録です。

心の冬

2025-01-12 02:13:41 | 日々是茶飲み話
 冬は四季のひとつである。巡りめぐっては人の気持ちを豊かにする。しかし冬の時代などと言い、季節とは関係なく、ひとつの事象などを表現することもある。色では白に象徴され、やはり負の印象が強い。

 去年の正月明けの能登沖地震には驚いた。東日本大震災も春三月とはいえ当時は揺れに驚いて外に出たが雪がまだあった。阪神淡路大震災も一月、冬の最中であった。思い出すたびに濃い白い色が心に拡がる。

 私にはかつてWEB上で知り合った友がいた。本名も年齢も分からない、ただ女性であるという事だけだった。彼女は神戸在住で阪神淡路大震災を経験して、知り合った頃は自らの癌との闘病中であった。

 当時は掲示板でのやりとりが主であった。2003年前頃であったろうか。彼女自身も自身の闘病記を綴ったホームページを開設していた。私もホームページを作り始めていたので、いろいろと助言をいただいた。

 彼女は育ちが良いらしく正月などは古風におせち料理をつくりホームページにアップしていた。御裾分けに自作の佃煮を頂いた。つまりその後にお互いの身分が分かる間柄になっていったのだ。

 そういう訳でハガキでのやりとりもあった。やがてホームページの更新も行われなくなり、ハガキでイラストを送るようにした。想像するにかなり重篤なのであろうか。返事がくることもなかった。

 住所と名前はわかったものの顔と年齢は最後まで分からなかった。年齢は話しのやりとりから私より少し上であろうか、容姿などはどうなのであろうか想像してもイメージが浮かばない。

 彼女は私のイラストの熱心なファンで、その中でも特に受けが良かった作品がある。それは豚を擬人化してセーラー服を着せて桜の花びらが舞う中でポーズするという絵だ。「小太りで、まるでワタシみたい」と微笑んでくれた。

 数年後、彼女の母から葉書がきた。娘は去年の二月に亡くなりました。そうか私が送ったイラストは見れなかったかもしれないな。ホームページも無くなっていた。掲示板も無くなっていた。

 思い出だけが冬のままである。軒下につららが落ちる暖気のようでもある。永遠に春など来ない風景もある。
 

 

 

 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿