久し振りに古い友人にあった。
彼は自営業だから盆正月には休みで店を閉めている事が多いがこの度帰り際に偶然開いていたので顔を出した。
彼の店と実家とは同じ界隈で歩いて一分、通りに面している。
おふくろさんが認知症でお正月は大変だったと言っている。
「自分のおふくろも昨日の事は忘れている」
「いいや、その位はたいした事は無い、うちのはもっとレベルが上だもの」と、自分の背よりも高く手を差し上げた。
来る度に町はさびれていく。
人も老いていく。
「何かいい事あるかい?」と、古い友人は溜め息まじりに言った。
札幌の友人のお店のライブのエピソードや、あと書きかけのマンガを見てもらいあとにした。
帰りしなに彼は会えて良かったという顔をした。
私もだ。
二人は手をふった。