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ガルパンの聖地 ・ 大洗を行く37 その20 「水戸城二の丸です!!」

2022年03月19日 | 大洗巡礼記

 水戸城本丸跡の薬医門の見学を終え、大手口の土塁を観察しつつ橋に戻り、左右の急な切岸面を見下ろしました。上図のごとく、攻めるに難く、守るに易い人工の絶壁の様相が、戦国末期からの様相をいまに伝えています。急斜面に成らすべくV字形に深く尾根を掘り下げて切る土木工事の実態がよくうかがえると同時に、その急斜面が500年余りの間ずっと崩れることなく維持されているのにも驚かされます。

 それもそのはず、当時の日本人は、山や崖の斜面が崩れる角度、崩れない角度というのを熟知していたようで、全国の数多くの戦国期城郭においてそれが共通して伺えます。この角度まで急傾斜に削って掘っても土が崩れないという、ギリギリの一線を遵守していたようで、その傾斜角度というのが、各地の戦国期城郭を回っていると共通項として体感されてくるのが興味深いです。おそらく、城郭の防御施設を造る際のマニュアルというか、指南書や口伝などが広く出回っていたのかもしれません。

 

 大手から橋を渡って、振り向いて大手口を撮影しました。本丸への出入口はこの大手虎口のほかには、東下の「下の丸」との連絡口しかありませんので、西隣の「二の丸」からの連絡路はこの橋以外にありませんでした。
 江戸期には木造の橋が架けられていましたが、最近の水戸城復元事業ではこの大手橋の復原にまでは至らなかったようです。なにしろ学校への通学路になっていますから、現在の鉄筋コンクリート造の橋のほうが堅牢で安全だ、という観点があるのでしょう。

 

 U氏が「二の丸地区もだいたいの復原事業が完了した、門もあれに見えるぞ」と指さしたので、その方向へカメラを向けました。その際の私の影が朝日に輝く石畳道の上に長く伸びました。

 

「ほう、これもさっき見た坂下門と似たような規模やね」
「そう、だいたいこういう規模で水戸城の城門の規格と言うかサイズが統一されてたみたいだな」
「これも高麗門やな」
「そう、ほとんどの門が高麗門のタイプだったみたいだ。江戸期の城門としてはポピュラーな形式だな」

 

 その高麗門の名前は杉山門でした。

 

 案内板によれば、この門を出ると城下町の杉山通りに繋がるため、杉山門の名がつけられたそうです。杉山の名は、水戸黄門こと徳川光圀が、この出入口の防御を兼ねた修景のために杉を植えて杉林を造らせたことに因みます。

 

 杉山通りが城の丘に達して裾から坂道になるのを、当時は杉山坂と呼んでいたようです。杉が林立して天然の防柵ともなり、さらに杉山坂のてっぺんは桝形となって土塁でクランク状に固められ、杉山門も塁線の折れの内側に西面して建っていたそうです。

 

 現在の杉山坂です。本来はもっと狭い道でしたが、車道化に伴い拡張されています。

 

 なので、杉山坂のてっぺんの桝形も失われ、両袖の土塁も撤去されています。復元なった杉山門のみが、位置をやや東にずらしつつも、西面していた姿をそのまま甦らせています。
 この杉山門は、藩主の普段の在所である御殿の位置である二の丸に北側から直接出入りする唯一の門でしたから、防御のうえでも重視されたわけです。杉山門から二の丸御殿へ最短で行けるので、藩主もよく杉山門から出入りしたといいます。

 

 杉山門の向かいにも、復元された城門がありました。説明板らしきものが見えないので、近寄って探しましたが見当たらず、振り返ってU氏に「この門は?」と尋ねました。しかし、相手は肩をすくめ、首を傾げたのみでした。

 

「ここは三高の裏門だからな、復元事業にあたって外観を合わせただけじゃないかな・・・」
「三高って、水戸第三高校なのかここは」
「そう」
「すると第二高校も近くにあるんか?」
「そう。弘道館の向こう側にある。ここからはちょっと離れてるけどな」

 

 どうやら、この高麗門は本来の水戸城二の丸の門とは関係がないらしく、学校の裏門を復原事業に際して外観を江戸期の姿に合わせて改めたもののようです。門の名称表示や説明板が全く無かったのも、そのためでしょう。

 

 近くにあった二の丸の御殿跡の案内板です。現在は水戸第三高校の敷地になっているため、学校を移転させない限りはその範囲に気軽に立ち入りできません。なので、外側の土塀沿いにこの案内板を立てて説明しているのみです。
 ですが、U氏も私も、水戸城内最大の建築であった二の丸御殿に関しては、近くの二の丸展示館に行けばその全体模型が見られることを知っていました。  (続く)

 

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