レンガ壁面の製作に続いて、今回からは窓の細部の製作レポートを、とダージリンが依頼しました。カチューシャも短く応じて説明に入りました。
御覧のように2つの窓の下段が自在に開かれています。その可動部の製作についても紹介します。
作業前の、2つの窓です。窓枠のみが仕上がっていました。中の枠は差し込んだだけで接着していませんでした。これは枠内に框や板を貼る過程で接着固定する予定だったからでした。
窓は、三段に分けて中央で分けて、6面にしてありました。
上段は遮光ガラス面としてプラ板を貼り、中段は固定の採光ガラスとしてプラ角棒で框を作りました。明治期のレンガ建築にはこのようなタイプの窓が多く、私の職場に幾つかある国指定登録文化財の明治期レンガ建物の窓も同じ形式です。それらを参考にしました。
2つの窓を同じように仕上げました。
残る下段は、上下に回転する可動窓に作る予定でした。
中段と同じように框をプラ角棒で作りました。上図のようにスコヤを治具として片側2面ずつを作りました。
双方を貼り合わせました。この框を2つずつ、2セット作りました。
2つのセットは、軸棒となる丸棒を桟代わりにして接着し、この軸棒を両端で受ける筒棒の金具もプラ材で作りました。
窓にはめ込んでセットしました。桟代わりの軸棒によって上下に回転して開閉する仕組みです。明治期のレンガ建築の窓は、上下にスライドする形と、中央の桟軸によって上下に回転する形とが大半を占めており、観音開きのタイプはあまり見られません。
なぜかというと、レンガ建築には大抵の場合雨庇が付きませんから、雨が降ってきた場合、観音開きの窓だとストレートに雨が内部に降りこんでしまいやすいです。なので、下段の窓だけを上げ下げするスライド式か、上下回転式で窓が庇の形にもなる方式のいずれかが、雨天時の室内への降りこみが防げるために多く用いられたわけです。
特に日本では、建物の窓は左右にスライドさせる連子窓のタイプ、窓の半分だけを上に半回転させてはね上げる蔀戸のタイプの2種類が古代以来の伝統的な窓の設えとして続いていたため、明治期の洋風建築の窓にもそれらが継承されて上下スライド式か、上下回転式の2方法が採られていたのだろう、と思います。 (続く)