「野反湖休憩舎」での昼食休憩は30分で切り上げました。これから野反湖ハイキングをするので時間が貴重だったからでした。外に出て、観光駐車場の向こうの車道までいったん戻りました。
案内マップでは、この野反峠バス停の地点を富士見峠と記しています。富士山が遠くに望めるから富士見峠なのかな、と思いつつ地図で富士山の方角を確かめてそちらを凝視しましたが、遠景は霞んでいて近くの山並みさえも淡い影のみになっていました。
とりあえず、この地点が今回の野反湖ハイキングの起点になりますので、時計を見て12時35分と知り、メモしました。
アニメ4期では間違いなくここ野反湖も出ますから、その放送後には訪れるファンが増えるものと予想されます。その大半が私と同じように野反湖のハイキングを楽しむだろうと思うので、ルートの状況や所要時間を実際に見て調べて、レポートしておくのは大事だろう、と考えました。
12時36分、富士見峠の石碑横から野反湖を再び眺めました。
作中のカラー表紙でも同じ位置からの広域ワイドの景色が描かれます。各務原なでしこ達が立ち止まって野反湖を眺めていますが、右奥には、乗ってきたバスがまだ停車したままです。
現実には、バスはすぐ発車して次のバス停へ行ってしまいますから、この描写は有り得ないのですが、3人がバスに乗ってきて、あの位置で降りたという流れが分かるように、あえてバスを描いているものと思われます。
野反湖は、その美しい景観が自然のままに見えるので、人工湖であることが信じられないです。
ですが、群馬県立自然史博物館の報告書「野反湖周辺(補完調査)」によれば、信濃川水系中津川の水源としてもとから存在していた野反池を、野反ダム(1956年竣工)によって嵩上げさせた人造湖であるということです。その湖面標高は1513メートル、総貯水容量は2705万立方メートル、周囲約9キロを測ります。
もとの野反池については、前述の報告書の32ページに写真が掲載されてかつての規模が分かります。池と周囲の湿原から成っていたようで、現在の野反湖の写真と並べてあり、野反湖が野反池の約20倍ぐらいの規模になっている様子が分かります。
野反湖を眺めつつ、周辺登山道を富士見峠から西へと辿り始めて、前方左寄りに大きな案内板が建つ分岐路へ向かいました。
道標が立つ分岐路に着きました。左手にベンチが設けられ、登山客の方が一人地図をチェックしていました。
道標の左へ進むと弁天山に行きます。
その弁天山を望みました。上図の奥のピークがそれでした。
道標の右へ進むと第2キャンプ場に行きます。このルートが今回選んだハイキングコースでした。第2キャンプ場とは、現在の野反湖キャンプ場のテントエリアの旧称にあたります。作中で各務原なでしこがバンガローエリアから散歩して野反湖を一望出来るベンチまで行った場所です。
その第2キャンプ場つまり現在のテントエリアの方向を見ましたが、位置すら全然分かりませんでした。野反湖の北端の左側の尾根上にあるようですが、人工物が全く見えませんので、あの辺かなあ、と大まかに推測するにとどまりました。
ハイキングコースの全体像を再確認すべく、案内板の地図に近寄りました。
案内板の野反湖の地図です。南の富士見峠から4つのルートが出ていて、多くの登山客は左側の黒いルートをとって弁天山、エビ山に登り、キャンプ場のテントエリアへ降ります。ハイキングルートは野反湖の東西の湖畔を通っており、東の単調なコースが湖畔東岸ルート、西の折れ曲がる水際に沿ってやや迂回するコースが湖畔西岸ルートと呼ばれます。
今回選んだのは、距離が約5キロの湖畔西岸ルートでした。聖地ポイントのテントエリアへ最短で行け、かつアップダウンが少ない平坦な道なので歩きやすいからです。
バスの運転手さんもこのルートをすすめていましたが、その理由として、西岸に多くの淵や沢があること、湖面が西に出っ張るところを回るので景色が変化に富むこと、最も多くの高山植物がみられるルートであること、などを挙げていました。全ルートを2時間もあれば行けますよ、と話していましたので、とりあえずはテントエリアまで2時間以内で到達することにしよう、と考えました。
作中では各務原なでしこ達が富士見峠の野反湖休憩所に行って「本日休業」だったため、次のシーンでは野反湖キャンプ場のビジターセンターに入っています。3人が富士見峠まで乗ったバスは、実際のダイヤと同じとすれば最終便でしたから、そのあとの移動は歩きしかありません。野反湖休憩所つまり実際の野反湖休憩舎から野反湖キャンプ場まではトータルで約6キロありますが、それを歩いた描写もありませんから、どうやって行ったのかは不明なままです。
しかし、個人的には、作中ではもう1便バスがあって、3人はそのバスで富士見峠から終点の野反湖バス停まで行き、そこからダムを渡って野反湖キャンプ場に到達したのだろう、と推測します。
なぜそのように考えるかと言うと、3人がキャンプ場の63番バンガローに入って落ち着いた後、各務原なでしこが一人でテントエリアまで散歩に出かけるのですが、そのルートが湖畔西岸ルートの一部にあたるからです。にもかかわらず、各務原なでしこはそのルートを初めて歩いたような描写になっていて、テントエリアにもその時に初めて入ったように描かれます。
なので、3人はこの湖畔西岸ルートを歩いていないのだろう、と考えられます。山登りのルートにしても、夜にエビ山山頂のトイレまで行く描写がありますが、それも瑞浪絵真の夢の中のストーリーに過ぎませんでしたから、山登りも実際にはやっていないものと思われます。
したがって、湖畔東岸ルートも歩いていないと推測出来ます。このルートも約4.5キロありますから、それだけ歩いていけばそれなりに疲れる筈ですが、作中では苦労もなくのんびりまったりとキャンプ場に入っている雰囲気でしたから、やはりバスで行ったのでしょう。
それ以前に、様々な景色が楽しめる野反湖エリアの風景が、キャンプ場エリアからのアングルしか描かれていませんから、原作者のあfろ氏自身が野反湖エリアの山道を全く歩いていないのだろう、と推測出来ます。車かバイクでパパッと回ってあとは適当にストーリーを作っていると、アニメ雑誌か何かの記事で読んだのを思い出しましたが、そういうことなのかもしれません。 (続く)