児童養護施設で働き始めてから、今年度で20年目になる。
沢山の子どもに出会い、別れてきた。
繋がっている子もいれば、連絡が途絶えてしまった子もいる。
完璧な支援はしてこれなかったけど、その都度、心と身体を一生懸命に駆使してきたつもりだ。
出会った一人ひとりの幸せを願ってきた。
そんなボクの20年の中で出会った一人がAくん。
彼とは担当として濃厚な時を過ごした。
今や「子」とは言えない歳の彼とは、年に一度会うか会わないか、そんな関係で今も細く長く関係が続いている。
たまに会うと溜まった話をたっぷりしてくれる。
それくらいでも良いと思う。
今日、彼の所に行ってきた。
コロナにより様々な立場の人が様々な影響を受けて、程度は違えどしんどい状況にいる。
飲食店で働く彼もそんな一人。
彼が作ったカツ丼が今夜の夕食だった。
美味っ。
美味っ。
正直、どんな味であれ、美味しく味わおうとはしていたかもしれない。
そんな期待を軽く裏切られた。
もちろん良い意味で。
なんていうかお世辞抜きに美味かった。
絶対に気持ちは入ってしまっただろう。
でもそれを差し引いても美味しいと思えたカツ丼。
彼の作った料理を食べる機会なんてこれまでなかった。
施設を出てから決して順風満帆な人生ではなかったAくん。
苦労話は何度も聞いてきた。
そんな色々な苦労が凝縮した味わいなのかも。
カツ丼を食らいながら、ゴクゴクっと流し込んだビールがまた無性に美味かった。
コロナで失ったものやこれから失うかもしれないもの、我慢を強いられているもの…
不安要素を挙げたらきりがない。
でもこんな状況だから気付けたコト、出会えるコトもあるだろう。
このカツ丼もそんな一つなのかもしれない。
これからも幸せへのアンテナは張り続けていきたいと思う。
思うだけでなく行動しようと思う。
ごちそうさま。
とても美味しかったよ。
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