晴走雨読

晴耕雨読ではないが、晴れたらランニング、雨が降れば読書、きままな毎日

『新型インフルエンザ・クライシス』

2009-11-06 21:04:52 | Weblog
 せっかく積み上げた社会が崩れ壊れていきます!


 『新型インフルエンザ・クライシス 新版』(外岡立人著 岩波ブックレット 2009年刊)

 外岡氏は、2008年まで小樽市の保健所長を務めた公衆衛生学の専門家である。インフルエンザ騒ぎが始まった頃、マスコミで発言をしていたが、皆が大騒ぎする中、ひとり冷静なコメントを発していたが、次第にマスコミに登場しなくなった。

 「鳥を警戒していたら、そこに来たのは豚だった!」

 1918(大正7)年秋から1920年春過ぎまで、流行性感冒によりこの国で45万3千人が死亡したとされる。いわゆるスペイン・インフルエンザである。これは、まさしく鳥インフルエンザであり、世界中で5千万人から1億人の死者が出たとされており、現在の私たちが最も恐れている鳥インフルエンザと遺伝子構造が似ている。(*)ブックレットP12

 (*)P19 なお、現在流行している豚インフルエンザウィルスの源流は、1918年のスペインインフルエンザに溯るとされている。(上記(*)と著者の記述は矛盾している。)60歳以上の人、特に、1957年以前に流行していたスペインインフルエンザの末裔に感染していた人には抗体があると言われている。

 2009年4月20日、米国CDC(疾病対策予防センター)は、新型豚インフルエンザによる人の発症例を発表。今回の、大騒ぎ!はここから始まった。

 5月9日、「国内初の感染者が見つかった」と当時の舛添厚生労働大臣が発表。国・地方の過剰な対策、マスコミの過激報道。

 最初は、飛行機に同乗していた人が隔離されたり、学校なども全面休校になり、マスクや消毒液の品切れが相次いだりしていたが、徐々にインフルエンザの症状が明らかになるにつれ、その警戒レベルがダウンしてきている。しかし、未だに、通常の季節性に比べて異常な警戒をしている。

 その原因は、この国において、例年の季節性インフルエンザと同レベルな「豚」の発生に対して、危険性の高い「鳥」を想定した行動計画をそのまま用いたからなのである。

 一連の事態から、この国のヒステリックなパニック体質、情報の真偽を検証しないで垂れ流すマスコミ、パフォーマンスしか考えていない政治家、的確で有効な対策を打てない行政(官僚の劣化)・・問題ばかりが浮かぶ。

 ●これらは、「危機管理」という名の「治安訓練」なのでしょう。


 そして、今ようやくワクチンを打ち始めているが、打ち終わる頃には流行も終っていることだろう。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする