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いつ頃からなのか、マスコミ各社が発表する毎月の世論調査に一喜一憂するようになったのは。大衆は問われれば、受益が多く負担が少ない選択肢を答えるに決まっている。それが積もり積もって1,000兆円を超える国債残高になってしまった。国家は打ち出の小槌ではない。「負担を次世代に先送りしない」ではなく「現世代の責任において」解決すべきだ。
『吉本隆明 廃墟からの出立』没後10年特別展 北海道立文学館 クラーク会館 アテネ書房
没後10年 特別展 『吉本隆明 廃墟からの出立』が、北海道立文学館特別展示室で2022年10月29日から2023年1月9日まで開催されており足を運んだ。
氏の生涯を年譜に沿って写真、原稿、ノオト、著作などが展示されている。出生から戦中、戦後、特に敗戦直後の廃墟にあって氏が直面した精神の危機、そこからの出立までを重点としたことがわかる。そのため、後の代表的な3部作『言語にとって美とは何か』、『共同幻想論』、『心的現象異論』を発刊した頃のことは、次回があるかどうかはわからないが次回でということになるのだろう。
僕はこの企画が東京をはじめ全国のどこでもなく唯一この北海道で開催されたということに意義があると思う。どうしてなのか。それは、非常によくできた図録で明らかになる。図録に載せられた文章から北海道には氏と縁のある方が随分おられることがわかった。実際に行われた吉本氏の講演は札幌と滝川での2回だけにもかかわらずだ。
図録に、谷口孝男氏と盛昭史氏が1976年5月10日北海道大学クラーク会館における講演について書いている。そして僕もその場にいたのだ。また盛氏はアテネ書房の店主からチケットを勧められたとしているが、僕はどうして手にいれたのを覚えていない。一緒に行った友人が持っていたのかも知れない。50年近く前の極私的体験を共有できる人がいたことを嬉しく感じる。
吉本の思想は、対象とする範囲が幅広くまた考察も誰もなしえていない孤高さと奥深さを持っているので、とてつもなく難解なところもあり、それぞれが受けた影響も各自各様だと思う。ただ、この北海道に今現在も強烈なインパクトを残していることは確かなのだ。
(参考)なお、1976年5月10日のことは、これまでも何回かこのブログに書いた。(①2015.8.30、②2015.5.16、③2014.12.24、④2012.2.12ほか)
隆明氏については、学生時代に評論文学の担当教官が熱く語っていたのを思い出す。が、20才くらいの女子学生には難し過ぎた。
今年やり残していたことを気付かせて戴いた。年賀状を書き終えて、文学館に行かなくては。
吉本隆明の特徴は、多くの学者、研究者が細分化された狭い専門領域(重箱の隅)の中でしか語らないのに対して、ざっくりとしたところがあっても知を全体として捉えているところだと思います。
よく似ているのは立花隆、かれも様々なことに好奇心を持ち、全体を語ろうとしていました。