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『新・日本文壇史』

2010-07-17 17:49:33 | Weblog
 『新・日本文壇史』(川西政明著 岩波書店 2010年刊)

 かつて『昭和文学史』(講談社 全3巻)をまとめた文芸評論家の川西政明がとてつもない仕事にとりかかっている。『新・日本文壇史』全10巻を今年の一月から三ヶ月に一度づつ発行していくのだそうだ。今日発売したのが第3巻だから第10巻が出るのは2012年1月ということになる。

 それでなぜ、「新」が付いていりのかということだが、かつて伊藤整らが明治時代を取り上げて「日本文壇史」を出しているので、その続きの大正時代からを取り上げるので「新」を付けたということである。

 すでに出版された第1巻「漱石の死」、第2巻「大正の作家たち」を読んだのだが、これまた極めて楽しい文壇史に仕上がっている。今は亡き「噂の真相」も真っ青のスキャンダリズムが全篇に貫かれている。岩波書店がこんなエロい本を出版するのだから驚きである。

 例えば、第1巻は夏目漱石が死ぬところから始まり、その娘を巡って作家同士が争うのである。とりあげられた作家たちの私生活、それも不倫、不貞、姦通と何でもありである。

 何か昔の人は道徳的だったようなイメージを持っていた私だが、文豪と言われた人たちの交情を知ると、それが音を立てて崩れていく。

 波乱万丈な私生活をおくりながら、歓喜や苦悩を繰り返し、それが彼らの作品となっていくのである。現在、このようなプライバシーを赤裸々に晒すような書き方をしている作家はいないのではないか。

 本当は、自分の中で他に読むべき本があるのだが、ついははまってしまうくらい面白いのだ。第3巻は、「昭和文壇の形成」である。

 
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