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『現代国家と民主政治』

2011-11-26 15:39:40 | Weblog

『現代国家と民主政治(改訂版)』(山本佐門著 北樹出版 2010年刊)

 

政治学の教科書で、私の「国民国家の黄昏」というイメージを検証したいと思った。道内では著名な山口二郎氏は、近年の論説がごちゃごちゃしていて何を言いたいのかわからないので、オーソドックスな山本氏の著作で確認をしてみた。

 

本書では、概ねこのようなことが述べられている。国民国家がふたつの方向に解体されつつある。ひとつは、政治や経済のグローバル化と歩調をあわせるようなEUをはじめとした国家連合の動き。すなわち超国家的国家の方向。もう一つは、分権、自治の要求によって地域や民族が自立へ向かっている。すなわち国家内国家の方向。

 

国民国家は、外部的拡散と内部的分裂現象の狭間で解体の危機に瀕している。以上から、私の「国民国家の黄昏」イメージは政治学の教科書的にも確かめられた。

 

しかし、従来から私は政治学には物足りなさを感じている。その政治システムを類型化し羅列する分類的な方法論、全ての現象を政治システムの枠内として分析しようとする秩序維持的な指向性、これらからは深度が深く射程の長い社会描写のイメージを持つことができない。

 

社会を駆動するのは、経済的な下部構造なのか、人間の思想や情熱なのか。「混沌情況」(カオス)を良しとしない政治学には限界を感じる。

コメント
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