晴走雨読

晴耕雨読ではないが、晴れたらランニング、雨が降れば読書、きままな毎日

『起終点駅 ターミナル』 釧路

2015-12-03 20:34:54 | Weblog

 ある会合でプチ自慢を交えて自己紹介をすることになり、身の回りにも凄い人っているものだなと感動。子どもの頃ビートルズの武道館公演を観た。NHKあなたのメロディに入選し、作詞作曲した歌をにしきのあきらに歌ってもらった。ナゴヤ球場のオールスター戦で江川の8奪三振を観た。教え子にロッテの高沢選手がいる。ちなみに僕は地下鉄サリン事件に遭遇するところだったにしました。

  

 『起終点駅 ターミナル』(篠原哲雄監督 東映 2015年作品)

 原作は、釧路出身直木賞作家桜木柴乃。釧路出身の作家による釧路を舞台とした小説が原作で無かったらこの映画は見なかったと思う。だから僕は、ストーリーにではなく、釧路のどこが映像に出てくるのかに興味を持った。そしたら何と、主人公の住宅のある場所は、僕が18歳まで育った場所「益浦」で撮影されていたのだ。中途半端な舗装の坂道も、周りに映る集合住宅も「うちの近所」じゃないか。

 そして、幣舞橋、和商市場、宮本町にある刑務所のコンクリートの塀、法務局への坂、スーパーおおぞらが停車している駅のホーム、車窓から見える大楽毛あたりの景色、厚岸という設定だがどこかわからないが海岸近くの廃屋、少し賑わい過ぎの末広町、どんよりとした独特の空の色・・ふるさと釧路のさいはて感が良く出ていると思う。60年前の原田康子の『挽歌』と釧路の持っている雰囲気は今もそんなに変わっていないのだ。僕はここまでで観た甲斐があったと満足。

 一方、ストーリーの方は現実離れしているというか、現実にそんなことが起こる可能性は限りなく低い、そういう設定をしないと物語の展開ができないという今の文学情況。そうしないと喜ばなくなっている読者のニーズ、それらはどちらも貧しいと思う。

 冒頭で、昔別れた学生時代の恋人が法廷で判事と被告人として再開、その二人は付き合い始める。判事は妻子と別れ、その恋人と別の地に逃げようとするが彼女は自殺する。ここまで非現実的な設定した後、その過去をめぐって物語が展開する。

 俳優陣は、助演の本田翼、尾木真千子もそれなりに良かったが、佐藤浩市という俳優の力量によって辛くも一定のレベルの映画になったのではないかと思う。釧路に思い出のある方にはお薦めの映画だ。

 

コメント
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