昇交点

五藤テレスコープ的天文夜話

若い人がいない?

2013-05-28 11:06:38 | うんちく・小ネタ

130524ssh

先日ですが、筆者は秋田県横手市にある県立横手清稜高校に出張し、高校生にデジタル時代によって身近になった天体観測というテーマで話をしてきました。同校はSSH(Super Science Highscool)指定校として精力的に科学分野の教育を行っていて、天文分野でも日本天文学会ジュニアセッションで発表もおこなっています。

筆者はかつてプラネタリウムの投映や一般向けの大学市民講座で講義をした経験がありますが、当然ながら若い高校生を対象に話をするにはは初めてで、良い経験になりました。

ところで、業界関係で昨今良く言われているのが、天文に興味を持つ若い人がいなくなり、趣味層が高齢化の一途をたどっているという話です。例として天文誌の写真コンテスト掲載者の年齢を見ると40代以上がほとんどになっています。このまま推移していくと市場に及ぼす影響も懸念されます。弊社にとっても死活問題です。

しかし、それは本当なのかということを今回の出張で思うようになりました。

ある天文誌で日本天文学会ジュニアセッションに関する記事を読んだのですが、過去最高の参加者数に達したとのこと。ジュニアセッションは小学校~高校を対象としているので少子化はあれどそれなりに天文に関心がある層が存在していると思いました。

また、大学も天文学を学べるところが増えていて、口径40cm以上の望遠鏡も設置して観測実習ができるところもあります。大学で学んだとしても研究者として生計を立てられるのは限られているとはいえ、若い世代に天文学への門扉が開かれていることは私が天文に興味を持った30年前を考えるとうらやましい限りです。

そう考えると、実は若い人が少なくなったのではなく、業界が若年層の存在・活動・ニーズが見えていないからこのような話になったのではと考えるようになりました。ちなみにジュニアセッションの発表概要をホームページで見ると、レベルの差はあれど天体観測をしているなと感じました。これは国内(望遠鏡)市場が天体撮影に重点が置かれていることを思えば対照的です。

もし、業界が若年層の天文活動に即した観測機器・ソフトウェア・観測結果を評価指導するシステムが整備できれば時間はかかるかも知れませんが活性化するかも知れません。特に昨今のデジタル機器の充実は天体観測のハードルを低くしてくれています。

かくいう筆者も天体撮影を趣味としていたのですが、科学館でプラネタリウムの仕事をしたり、大学の先生達とインターネットを使った望遠鏡設備の運用研究をするようになったことから天体観測についても少しずつ取り組むようになりました。弊社としても天体観測を通じて楽しみや感動を与えられる企画と機器を開発も目指せればと思います。 (kon)

関連サイト

県立横手清稜高校 http://www.seiryou-h.akita-pref.ed.jp/

同校SSHのサイト  http://www.seiryou-h.akita-pref.ed.jp/h22ssh/ssh.html

担当 瀬々先生のブログ http://zzzdiary.blogspot.jp/