昇交点

五藤テレスコープ的天文夜話

星爺から若人へ

2015-06-19 09:13:03 | うんちく・小ネタ

最近ですが興味深いブログを見つけました。既に知っているという方もいると思いますがこの機会に紹介したいと思います。かつて月刊天文ガイドの編集長を勤められた高槻幸弘氏が立ち上げたSB工房のホームページ内に「星爺から若人へ」というブログが最近できました。高槻氏は天文機材に関しての造詣が深く、筆者も天文ガイドでさまざまな企画や記事を興味深く読ませていただきました。

ブログでは「星好きの爺さんが若人に送る天文機材の雑多な情報です。 中学生くらいが読者対象です。大人の天文ファン向けにはレベルが低すぎます。ご勘弁! 」と書いてありますが、内容は弊社の「昇交点」よりもレベルが高いですね。(笑)

ネット時代、必要な情報が手に入りやすい反面、基礎を飛ばしてしまったり、間違った知識を覚えてしまいそれを他人にも伝えてしまうなどの弊害もあるかと思います。多分ブログを読むうち知らないことや長年間違っていたことに気付くことになるかも知れません。

またブログを通じて感じたことは、天文マニア層が高齢化する中、その経験・知識を次の世代にも伝えておきたいと狙いでしょうか。最近は日本天文学会ジュニアセッション等で中・高校生の活動が増えつつありますが、活動が研究発表ということもあって世代間の交流が乏しいように思います。また有効な観測データを得るための技術(機材の取り扱いや撮影技術等)の習得が十分でないことから、それが観測結果に影響していることもあるかも知れません。そう考えると次を担う世代に天文マニアがいろいろと託すことは大げさかも知れませんが使命なのかも知れません。ひいてはそれが市場の活性化にもつながっていくのではないでしょうか。

筆者もこのブログは楽しみにしたいと思います。(kon)

SB工房様のホームページ
http://www.ne.jp/asahi/sky/bird/index.html

ブログ「星爺から若人へ」
http://tentai.asablo.jp/blog/


眼視用長焦点屈折について

2015-06-17 09:47:08 | 望遠鏡・双眼鏡

先日、屈折望遠鏡GTL125/1200APO開発についてホームページで発表をしたところ、GTM100/1000APO同様多くの問い合わせをいただきました。弊社の屈折望遠鏡は眼視用長焦点というコンセプトで出しているのですが、少ないながらも要望があったことと、市場で主流となっているフォトビジュアルタイプで競合しても難しいということが理由なのですが、筆者個人としても眼視用長焦点を再び出してみたいという気持ちがありました。

とはいえ、昨今の縮小した望遠鏡市場では眼視用長焦点屈折のニーズはさらに限られ、GTM100/1000APOも当初はなかなか売れないのではないかという懸念もあったくらいです。ところが、ふたを開けてみるとGTM100/1000APOは抽選となり、多くの希望者には選外になったという連絡をせざるをえない結果となりました。

五藤ブランドという要因があるにせよ、あえて眼視用を売りした望遠鏡がここまで反響があるとは思いもしなかったのですが、根強いニーズが今もあることを確認できたのは収穫でした。続いてGTL125/1200APOをやることにしたのもその結果があってと思います。

そのような中、StarCruise842の販売をいただいているスコープタウン様でも何と6㎝ F20という超長焦点屈折が発表されました。1960~80年代に同じスペックの鏡筒がありましたがまさか現在によみがえるとは思いませんでした。

NAGAMITSU-60MAXI
http://www.scopetown.co.jp/SHOP/HSDX6120.html

口径は6㎝なので、ベストを尽くしても口径以上のことはできないと思いますが、ここで思い出したのは昨年ブログにも書いた鈴木壽壽子さんの「星のふるさと」でしょうか。そのことを思うと、この望遠鏡は使い続けることで観測者やファンを育ててくれるような望遠鏡になるかも知れません。

いずれにしても眼視用長焦点屈折が静かに注目されているという現象は興味深いと感じています。
(kon)



月刊天文ガイド創刊50周年

2015-06-08 13:37:45 | 本と雑誌

月刊天文ガイドが今月発売された7月号で創刊50周年を迎えたとのこと。

今月号は50周年特集ということで関係者のメッセージや藤井旭氏のこれまでの歩みを述べた記事を興味深く読ませていただきました。

筆者が天文ガイドをはじめて読んだのは1980年9月号でした。6㎝屈折経緯台を手に入れて間もなくだったように思います。当時小学校5年生ですから内容のほとんどがチンプンカンプンなので、望遠鏡の広告や読者の天体写真の作品をながめるだけでした。今になると仕事で天体望遠鏡に関わることになるとは思いもよりませんでしたが・・・・・

同誌の特色はやはり天体撮影に関することでしょうか。天文に興味を持つ前に写真も興味があったので、内容はともかく、6㎝屈折経緯台に一眼レフを装着して月や惑星、標準レンズで固定撮影をすでにやっていて、今は無理でもいつかはコンテスト掲載作のような画像を撮ってみたいと思っていました。そんな中、同誌の記事もコダック103aシリーズ、水素増感、超高感度カラーフィルム、冷却CCDカメラなど天体撮影について数々の記事・ノウハウ・作例・関連機材が紹介され、天文アマチュアの方向性と市場に大きな影響を与えたと思います。

筆者もそんなアマチュアのはしくれなので天体画像なり、記事なりで同誌に載ってみたいと思っていたのですが、これまで弊社の紹介をはじめ何回か掲載され、その末席に名を連ねることができたのは幸いでした。

そんな筆者の思いでを語ってみましたが、内容でやはり気になったのが藤井氏の記事に読者年齢のことが書いてあり、創刊当時15-8歳だったのが、現在は60歳前後を迎えているというところでした。これは創刊当時の読者層がそのままスライドしてしまったことを表していると思います。これは天文分野に限らず趣味層が高齢化を辿っており、このままだと10年後はどうなんだろうと危惧してしまいます。

昨今は雑誌自体が苦境ということもありますが、まだやれることはあるのではないかと思いました。

・以前のように編集スタッフが取材に飛び回ったり機材を使ったりした記事を書く。
・撮影だけでなく、アマチュアでも天文学に貢献できるような観測法の紹介・評価・目標づくりなど。
・中学・高校天文部の雑誌への参画。
・他誌との連携。
・眼視観測の魅力も伝える。

月刊ペースが難しければ、かつての「天体写真NOW」「STARWACHING」「インタラクティブアストロノーミー」などのような別冊で展開しても良いでしょう。天文ガイドの良さの一つは別冊の企画力もありますので50周年を節目にこの先の50年に向けてエールを送りたいと思います。(kon)