昇交点

五藤テレスコープ的天文夜話

アイソン彗星(11月29日)

2013-11-29 17:04:47 | 天体観測

Imgp5302

すでにニュースやネットの記事などでご存じとは思いますがアイソン彗星は近日点通過時に実質的に崩壊したという見解です。

筆者は太陽観測衛星SOHOのサイトや研究者のツイッターなどを見ながらその様子に注目していましたが、急速に彗星が衰えていく姿は驚きと共に以前から消滅の可能性を予見している研究者の方もいたので、その予測の方が当たったに過ぎないのかも知れません。それにしても、太陽観測衛星の画像を通じて彗星観測ができるのはありがたいことだと思いました。

又、これまで大彗星になると予測されながら結果が大きく外れた彗星は少なくなく、今回のアイソン彗星も同様の結果なったことから、天文業界における彗星に関する啓発活動やビジネスにも教訓を残したのではないかと思います。

アイソン彗星では多くの方が(私もですが)一喜一憂したと思いますが、なぜアイソン彗星が今回のような結末を迎えたか科学的視点でぜひ知っておきたいと思います。(kon)

画像:アイソン彗星がいる領域を撮影したもの(見えてませんが記録のため撮影)


アイソン彗星観測ひとまず小休止

2013-11-26 13:23:46 | 天体観測

Ison1116_24

アイソン彗星ですが、近日点通過前に観測可能な最終日と思われる24日(日)に観測したところ、残念ながら双眼鏡とスポッティングスコープでは見えなかったものの、一眼デジカメで撮影してみると核だけは写っている様子だけは何とか確認できました。前日23日(土)までは低空ながら明るく見えていたことからこんなので果たして大丈夫なのか?という心配があるようですがここまで来たら見守るしかありません。この後ですが、29日(金)白昼でアイソン彗星が観測できるかは太陽に気を付けてチャレンジするつもりです。(kon)

画像:16日から24日までのアイソン彗星の様子
    7.7cm屈折望遠鏡+デジタル一眼レフで撮影
 


明るくなってきた

2013-11-21 09:39:24 | 天体観測

131121_05h12m_ison_s

東京はずっと晴れているいるので、晴れていれば4時30分に起きてアイソン彗星を追いかけています。月はあるものの透明度が良好なのでその点は助かっています。

さて、今朝のアイソン彗星ですが、先日発生した太陽フレアの影響が出てきたのか昨日よりも明るくなっていました。高度は下がる一方ですが昨日よりも核がしっかり見えていて双眼鏡で見つけるのは楽でした。彗星の画像は弊社ホームページのギャラリー「彗星」のところにもUPしています。何分都市部での撮影なので写りはそれなりですがその点はご了承ください。(kon)

画像:今朝(11月21日)のアイソン彗星
77mm屈折望遠鏡(レデューサー併用 f=390mm F5.1)+一眼デジカメで撮影


アイソン彗星とラブジョイ彗星の分光観測

2013-11-19 17:12:33 | 天体観測

131119spectrum_lovejoy

131119spectrum_ison

アイソン彗星はここに来て増光していますが、残念ながら月明かりがあり、少々観測しにくい日が続きます。そこで今朝は切り口を変えて彗星の分光観測をしてみました。

まずラブジョイ彗星のスペクトルを撮影してみましたが、見てみるとダストが太陽光を反射しているせいでしょうか。目立った輝線スペクトルや吸収線はなく連続スペクトルになっています。

対してアイソン彗星は対照的に輝線スペクトルが目立っています。グラフを見ると4つの大小のピークがありますが、4700Å付近(C2分子)  5100Å付近(C2分子) 5500Å付近(C2分子) 6000Å付近(C2分子・NH2分子)の輝線スペクトルが確認できます。彗星核の色が青緑色っぽいのは輝線スペクトルによるものです。

眼視や写真だと同じように見える彗星でも分光観測をすることによって違いが出るのはとても興味深いです。彗星はダストとガスの尾がありますが、彗星の状態や地球に対してどんな向きになっているかなどの要因をいろいろと考察するのも彗星観測の楽しみの一つかも知れません。(kon)

画像上:ラブジョイ彗星のスペクトル
画像下:アイソン彗星のスペクトル

いずれも11月19日撮影
口径60mm屈折望遠鏡と100本/mmの回折格子を使用


11月16日のラブジョイとアイソン彗星

2013-11-16 11:49:05 | 天体観測

131116_03h57m_lovejoy_s

131116_04h44m_ison_s

おとといあたりからアイソン彗星が増光してきたという情報が入ってきました。今週は双眼鏡StarCruise842の検査・出荷作業と出張が重なりなかなか時間がとれなかったのですが、土曜の深夜、オフィスに観測機材を持ち込んで明け方の彗星を狙いました。

最初は月明かりが残ってましたがラブジョイ彗星を撮影してみました。空の明るい都市部でも核が明るくアイソン彗星の明るさが伸びない時に注目されたもの頷けます。

そして月が沈むころに望遠鏡をアイソン彗星に向けました。撮影画像を見てみると明るさもさることながら尾がしっかり写っているではありませんか。写り具合が確認できたらひたすら撮影してコマ数を稼ぎます。画像は1分露出の画像を27枚コンポジットしてみましたが、街明かりの影響を考えるとまずまずの写りかと思いました。前日の雨の影響か夜露に悩まされましたが透明度が良かったのが幸いしました。

これから月明かりの影響を受けてしまうのが少々残念ではありますが、アイソン彗星の動向はますます目が離せなくなってきました。時間的にはつらいですができる限り追いかけてみようと思います。(kon)

画像上:ラブジョイ彗星 (1分露出×8コマ)
画像下:アイソン彗星  (1分露出×27コマ)

77mm屈折望遠鏡(レデューサー併用 f=390mm F5.1)+一眼デジカメで撮影