ゴールデンウイーク、かなわぬ夢。
登山ルート(クリックで拡大)
雪崩現場??
シェルパ、今季のエベレスト登山中止
エベレストで過去最多の死者数を出した事故の発生から1週間が経ち、ネパール側の登山シーズンは幕を閉じた。シェルパ、登山客、他のガイドは荷物をまとめ、嘆息、怒り、破れた夢とともに帰路についた。
4月18日、建物ほどの大きさの氷塊がシェルパ16名の命を奪った。うち13名の遺体が回収され、残る3名は山に葬られている。先週に入って再び氷の崩壊が起こり、新たな雪崩がネパール側のエベレスト登山を中止に追い込んだとも伝えられている。
しかし、登山隊アルペングロー(Alpenglow)の隊長エイドリアン・バリンジャー(Adrian Ballinger)氏は、「それはばかげている」と主張する。
同氏によれば、クーンブ・アイスフォールでの雪崩は「どのシーズンでも日常茶飯事だ」という。「雪崩や氷の崩落の頻度や規模が今シーズン特に多いとは感じていないし、シェルパからもそういった声は聞かれない」。
◆変化する気象条件
しかし、気候全体が徐々に変化しているのは明らかだ。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によれば、世界の平均気温は過去1世紀で約0.56度上昇しており、ヒマラヤでの気温上昇はその3倍に上るとの研究報告もある。
ヒマラヤ氷河のマッピングプロジェクトを率いるアリゾナ大学の水文学者ジェフ・カーゲル(Jeff Kargel)氏は24日、「氷河は変わりつつあり、危険性も変化している」とAP通信に語った。
とはいえ、これは長い目で見た変化であり、今季のネパール側からの登山中止に直接影響したわけではない(エベレストの北側、中国からの登山は現在も続けられている)。
◆山の復讐
米国人のベテラン登山家アラン・アーネット(Alan Arnette)氏によれば、「登山を中止した理由は主に3つ。アイスフォール周辺の安全性への懸念、セラックの崩壊で命を落としたシェルパに対する敬意、シェルパとネパール政府との間で継続中の保険と補償金に関する交渉だ」。
クーンブ・アイスフォールの通過には常に危険が伴うが、16名もの友人や仕事仲間の死にシェルパたちの多くが衝撃を受けている。信心深いシェルパの中にはこれを山の復讐と信じ、エベレストでの過去の行き過ぎた行為に対する自分たちへの罰と受け取る者もいるという。
また、何度もエベレストに登った経験のあるベテラン登山家デイブ・モートン(Dave Morton)氏によれば、低価格のサービスを提供するツアー会社に雇われた若いシェルパと、報酬の高い一流のツアー会社に雇われた評判の高い年配のシェルパとの間にはいがみ合いが起きているという。若者たちは、エベレストの南側を支配するのは自分たちシェルパであり、年配のシェルパは好きに休業すれば良いと主張する。
4月22日にネパール観光省に提出された嘆願書には13の要求がまとめられている。シェルパが求めたのは次のような点だ。ネパール政府が登山料として徴収した350万ドルのうち30%を将来の救助活動のために使うこと(政府は5%に同意)、死亡給付金を現在の1万ドルから2倍の2万ドルに引き上げること(政府は1万5000ドルに同意)、山で負傷したシェルパに対する補償金を引き上げ、命を落としたシェルパのために慰霊碑を建てること(政府は両方の要求に同意)。
交渉の行方がどうであれ、登山者たちは来年もエベレスト登頂を目指し、彼らの夢の実現を手伝うシェルパは自らの命を危険にさらすことになるだろう。
4月18日、建物ほどの大きさの氷塊がシェルパ16名の命を奪った。うち13名の遺体が回収され、残る3名は山に葬られている。先週に入って再び氷の崩壊が起こり、新たな雪崩がネパール側のエベレスト登山を中止に追い込んだとも伝えられている。
しかし、登山隊アルペングロー(Alpenglow)の隊長エイドリアン・バリンジャー(Adrian Ballinger)氏は、「それはばかげている」と主張する。
同氏によれば、クーンブ・アイスフォールでの雪崩は「どのシーズンでも日常茶飯事だ」という。「雪崩や氷の崩落の頻度や規模が今シーズン特に多いとは感じていないし、シェルパからもそういった声は聞かれない」。
◆変化する気象条件
しかし、気候全体が徐々に変化しているのは明らかだ。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によれば、世界の平均気温は過去1世紀で約0.56度上昇しており、ヒマラヤでの気温上昇はその3倍に上るとの研究報告もある。
ヒマラヤ氷河のマッピングプロジェクトを率いるアリゾナ大学の水文学者ジェフ・カーゲル(Jeff Kargel)氏は24日、「氷河は変わりつつあり、危険性も変化している」とAP通信に語った。
とはいえ、これは長い目で見た変化であり、今季のネパール側からの登山中止に直接影響したわけではない(エベレストの北側、中国からの登山は現在も続けられている)。
◆山の復讐
米国人のベテラン登山家アラン・アーネット(Alan Arnette)氏によれば、「登山を中止した理由は主に3つ。アイスフォール周辺の安全性への懸念、セラックの崩壊で命を落としたシェルパに対する敬意、シェルパとネパール政府との間で継続中の保険と補償金に関する交渉だ」。
クーンブ・アイスフォールの通過には常に危険が伴うが、16名もの友人や仕事仲間の死にシェルパたちの多くが衝撃を受けている。信心深いシェルパの中にはこれを山の復讐と信じ、エベレストでの過去の行き過ぎた行為に対する自分たちへの罰と受け取る者もいるという。
また、何度もエベレストに登った経験のあるベテラン登山家デイブ・モートン(Dave Morton)氏によれば、低価格のサービスを提供するツアー会社に雇われた若いシェルパと、報酬の高い一流のツアー会社に雇われた評判の高い年配のシェルパとの間にはいがみ合いが起きているという。若者たちは、エベレストの南側を支配するのは自分たちシェルパであり、年配のシェルパは好きに休業すれば良いと主張する。
4月22日にネパール観光省に提出された嘆願書には13の要求がまとめられている。シェルパが求めたのは次のような点だ。ネパール政府が登山料として徴収した350万ドルのうち30%を将来の救助活動のために使うこと(政府は5%に同意)、死亡給付金を現在の1万ドルから2倍の2万ドルに引き上げること(政府は1万5000ドルに同意)、山で負傷したシェルパに対する補償金を引き上げ、命を落としたシェルパのために慰霊碑を建てること(政府は両方の要求に同意)。
交渉の行方がどうであれ、登山者たちは来年もエベレスト登頂を目指し、彼らの夢の実現を手伝うシェルパは自らの命を危険にさらすことになるだろう。