奈良県葛城市を拠点にする「クロワッサンサーカス」。日本各地で公演を重ね、来年1月には県内で開催する。世界を転々としながらパフォーマンスを学んだ団長を先頭に、「ストーリー仕立てのサーカス。新年にぜひ見てほしい」と団員は練習に余念がない。
山々に囲まれた砂利道を抜けると、空中につるされたリングが見えた。サーカス団「クロワッサンサーカス」の練習拠点だ。
練習用の高さ1メートルの縄の上を軽々と歩くのは、団長の清水ひさをさん(47)。「足元を見ずに、行く先の方を見るのがコツなんです」。隣では団員が空中のリングに足をかけて回転したり、円形の筒の上でバランスを取ったりしている。
清水さんは広島出身、東京育ち。19歳のころ、東京・六本木の俳優養成所の帰り道に通りかかった銀座の路上で、白塗りの顔で微動だにしないフランス人の男性に出会った。前に置かれた帽子にお金を入れれば、通りかかった人は好きなポーズに男性の体を動かせる。
男性の腕を動かして鼻に指を入れるポーズをさせる人もいたり、それを元に戻す人もいたり。「パフォーマーを介していろんなことが起きるのが面白かった」
清水さんも見よう見まねで同じパントマイムを始めた。足元の看板に「私を動かしてください。ただし、足はダメですよ」のメッセージ。半年間、日本各地を巡った後、ヨーロッパへ。
ロンドンではスペイン人のダンサーに「いつか役に立つから」と火の吹き方を教わったことも。シルクロードを列車やバスで移動し、中国・上海から再び日本に戻ってきたのは、21歳のころだった。
大阪で路上パフォーマンスやイベント出演をしながら、綱渡りやマジックを習得。綱渡りの練習をする場所を確保するため、17年ほど前に和歌山に移住し、9年前に奈良に拠点を移した。クロワッサンサーカスを作ったのは4年ほど前。2016年に株式会社に。年々団員を増やし、現在はパフォーマー6人、楽団5人、衣装やデザイン担当など総勢13人になった。
今回の公演は、清水さんと団員との出会いがテーマ。それぞれの技を掛け合わせ、現在のクロワッサンサーカスができるまでを幻想的に演じる。「歌は歌うけど、セリフはない。外国人も子どもも、誰が見ても楽しめる内容です」と清水さん。
1月6日13時半開演。会場は奈良県大和郡山市の「DMG MORI やまと郡山城ホール」の大ホール。前売り券は大人2500円、65歳以上2千円、3歳~小学生1500円(3歳未満のひざ上鑑賞は無料)。同ホールの窓口などで購入できる。全席自由。当日券は各500円増。問い合わせは同ホール(0743・54・8000)へ。
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