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75歳以上の医療費、2割負担を検討 低所得者は軽減
政府、22年度導入を念頭
- 2019/11/27 0:00
政府は後期高齢者の窓口負担を引き上げる調整に入った
政府は75歳以上の後期高齢者の医療制度に関し、外来診療の窓口負担を原則1割から2割に引き上げる調整に入った。医療費負担をめぐる世代間格差が広がらないようにする狙いがある。低所得の高齢者には軽減措置を設けることも検討している。2022年度からの新制度スタートを念頭に年内に詳細を詰める。
公的医療保険制度では、医療の7~9割を保険料や税金で賄っている。患者はかかった医療費の1~3割を病院の窓口で支払う。69歳までの現役世代は収入に関係なく3割を負担しているが、70~74歳は原則2割、75歳以上は1割に抑えている。70歳以上の高齢者でも現役世代並みの所得がある人は3割負担だ。
このうち現役並みの所得がない75歳以上の後期高齢者の窓口負担について、70~74歳と同じ2割にする調整を進めている。政府の全世代型社会保障検討会議(議長・安倍晋三首相)が12月中旬にまとめる中間報告に方向性を盛り込む見通しだ。
窓口負担の割合を見直すのは、高齢者の増加や医療の高度化によって医療費が増え続けているからだ。
75歳以上にかかる費用は17年度で約16.1兆円に上った。このうち4割を現役世代の保険料が支えている。現役世代に負担が偏っている。
厚生労働省によると、75歳以上の1人当たり年間医療費は17年度時点で平均92.1万円。65歳未満は18.7万円で、後期高齢者にかかる医療費は5倍近い。16年度の資料によれば、1人当たりの年間外来受診回数は75~79歳で33.4回だ。65~69歳は21.8回、70~74歳は28.4回だった。
22年には戦後ベビーブームの団塊の世代(1947~49年生まれ)が75歳以上になり始める。後期高齢者の窓口負担を引き上げる時期も、これを踏まえて22年度をめどとしている。20年1月召集の通常国会への法案提出も視野に入れる。
導入方法では(1)現役世代並みの所得がない75歳以上全員を一度に2割にする(2)導入後に75歳に達した人から徐々に広げる――の2案が浮かぶ。
段階的に導入する案の場合、1割負担で通院していた後期高齢者は従来通りに据え置く。70~74歳は現在も原則2割で、75歳になっても同じ割合のままのため負担感の増大を避けられる。22年度に導入するなら、25年度に最大2千億円超の給付費を抑制できるという。
低所得の後期高齢者には生活に過度な負担がかからないようにする措置も検討する。患者が負担する年間医療費に上限を設ける案や、年収80万円以下の人は1割を維持する案が浮上している。
現在は前年の収入が約370万円以上ある人は「現役世代並み所得者」とみなされ、窓口負担も現役並みに3割だ。この年収基準の見直しなども今後の論点になる。