学生のころ 「リーガル」 の靴のためにアルバイトに励んだことがあります。
45年以上も前のことですが
アイビールックの全盛期で ローファーコインシューズ は必須アイテム。
「リーガル」 の靴を履くことがその時代のひとつのステータスになっていて
フェイクはいくらもありましたが 本物がどうしてもほしくてほしくて。
当時は とても高価で、多分・・・今と変わらない金額だったように思います。
もう処分しましたが とても丈夫で
さすが「リーガル」 何年履いてもびくともしませんでした。
で 思い出したように 出かけました。 「リーガル」 のバーゲンでgetです。
若いころから「自分のことは後回し それより人が優先」だった母も随分変わってきました。
今 歯医者にも連れて行っています。
待合室で 私のバッグを母のすぐ横（くっつけて）に置き 受付のかたと話していたのですが
その間に ほかの患者さんがお見えになり 母の横に腰掛られたようです。
母は邪魔になってはいけないと 長椅子の端っこによけていましたが
（そこまでよけなくても・・・と思うくらいまで）
私のバッグは置き去りです。
終わって戻ると バッグは あとから腰掛けられた患者さんの持ち物であるかのように隣接しています。
母はといえば 自分のバッグはしっかり抱え
そのかたの邪魔にならないように と壁にくっついて姿勢を保っています。
もはや自分のことだけしか考えられなくなってきたんだな・・・
少し前までなかったことです。
ある日の出来事です。
さくらが 私が植えていた植物に必死で手を伸ばし
（大切にしていたものです そんなところに植えた私が悪いのですが
しばらくさわらなかったので いいかな と）
葉をかみちぎり グチャグチャに掘りかえしてしまったことがありました。
それを最初に発見したのは母だったのですが
その時 声高らかに笑い転げるのです。
「さくらがおもしろいことを！」 と母の目に入るのは さくらのその行為だけです。
「まぁ～ そんなぁ・・・」と 私は植物の心配をしましたが 母はそのことには 目もくれません。
「お母さん 私が大事にしていた植物よ！」
改めて訴えても 「さくらがケッサク・・・！」 とまた大笑いします。
私のことは とても大事に思っているようですが
私が植えた植物 という一つ前の段階のことには考えが及ばず
目の前で行われた楽しい行為 （母にとって）
それだけがおかしくてたまらないようです。
しばらく少女のように笑っていました。
もはや自分のことだけ 目の前のことだけ。
年を重ねるということは こういう変化があるのですね。
これから こんなことを感じることが多くなるのでしょう。
長々とつきあっていただいてありがとうございました。
卯の花の匂う垣根に ホトトギス 早も来鳴きて～
