心のままに・・・

実体験をもとに小説仕立てでお話を書いています。
時々ひとりごとも…

あの日見た夢・・・19

2017-11-14 10:40:32 | あの日見た夢

昼過ぎ

なおのお兄さんご夫婦と一緒に

病院に向かうことになった

義姉さんが、着替えを取りに部屋に来たからだ

なおは、親とはウマが合わないとよく言っていた

お兄さんのことが大好きなのだとも言っていた

綺麗な人・・・

なおの義姉さんは、落ち着いていて

大人の女性そのものという雰囲気だった

お兄さんも

さすがになおが大好きと言うだけあって

スラリと背が高く

俳優の誰かさんに似ていた

なおも綺麗やもんな

口は悪いけど・・


なおは、脇腹を刺されていた

傷はそれ程深いものではないようだが

痛々しい姿だった

勢いよく転んだので

頭を強く打ち、そちらの方が心配だと

お医者さまが話していた



それにしてもなんの恨みでなおを

まだどこかで様子を伺っているのかもしれない

と、思うと気持ちが悪かった






毎日時間を作って見舞いに行った

じっと手を握るだけの日々が続いた



はな・・・

なお?気がついた?

はなは、ここにいるよ

はな、良かった

無事だったのね?

なんで?無事ってなに?

ん・・・?

なんかどこかでした様なやり取り

と、思った


ねぇ、花・・・

あたし夢を見たの・・・

タイムスリップする夢・・・

え・・・なんだかドキドキした


あたしはお姫さまなのよ

で、花 あんたはあたしの護衛

くのいちってやつかな・・・

刃物を持った奴が現れてね

追いかけてくるのよ

あんたと一緒に逃げるのよ

でも追い詰められて

あぁ もうダメってところで

素敵な忍者に救われるの


ふふふ、なんだか可笑しいわよね

忍者とかくのいちとか

昔、おばあちゃんとよく見た

時代劇みたいだったわ



へぇ

心臓の音がバクバクしていて

直に聞かれないかと心配した



同じ夢

見たの・・・?











あの日見た夢・・・18

2017-11-03 08:42:46 | あの日見た夢



やばい、朝帰りなんて

やばすぎる

昨夜ゲンさんの店へ行った

そこで知らない男の人と意気投合して

飲みすぎた

しかも、一夜を共に・・・

いやいやいや

まさか、あんなこと・・・

考えると身体が熱くなる

あの人最近越してきたっていうてたけど

その割にやたらこの辺りに詳しかったな

優しい目で見つめられて

すっかりその気になってしまった

ゲンさんは、ダメだよって目で促してくれたけど

なぜか言われるがままに一緒に店を出てしまった

初めて入ったはずの部屋なのに

とても居心地が良くて

気がついたら朝まで何度も求めあった

声・・・

その人はとても良い声をしていた

少し低めの落ち着いた声





部屋へ戻って来た時

私の部屋の前には警察官が二人

小田切 花さんでいらっしゃいますか?

え?え?なに?なに?

はい、そうですが

心臓がドキドキした

警察官に何か聞かれるような事はしていないのに

こんな時は、冷静ではいられない

桐生 直さんをご存知ですね?

訝しげな目で私を見ると

若い方の人がそう言った

その後続けて

訳のわからないことを話し出した

なおが、刺されて重傷を負っていると

幸い命には別状はないそうだが

刺した男の行方は分からず

もしかしたらまだこの辺りを

うろついているかもしれないと



入院している病院を教えてくれたが

一人で出歩かない方がいい

と、言っている

すぐにでも飛んで行きたかった



どういうこと?

なおは実家に行ったはず?

昨日は、朝からいろんなことが起きた

資料集めのために行くはずだった

図書館にも行けなかったし

携帯新しく買わないとあかんし

挙げ句の果てに、行きずりの・・・

ああ、あかんヤツやん

私の頭の中は混乱していてた



なお・・・大丈夫かな?

早く病院行きたいな

刺した男・・・

誰やろ、知り合いか?

あ、もしかしてなおと別れた男か?

そんな筈ないよね

でも、私はその人の顔知らないし



私がよく見る夢の中にも

私たちを狙って

刺そうとしてくる男がいる

あの男・・・

どんな顔してたっけ?

思い出そうとしても思い出せない

顔はいつもはっきり見えず

手に持っている刃物だけが印象深い


あの日見た夢・・・17

2017-10-30 16:23:47 | あの日見た夢



あの日見た夢

それは、昔から何度も何度も見る夢

いつも同じ場面で目が覚める

私は戦国の時代のくのいちで、

お姫さまを守るために

曲者に斬られて死んでしまう

いつも、同じように追い詰められ

いつも、同じ場所でやられてしまう

誰も助けてくれず

姫さまをも守れず

悔しい思いで目がさめる



この話をすると

みんな明らかに呆れた目をする

一瞬周りの空気が小さく凍りつき

次の瞬間には、みんなくすくすと笑いだす

はいはい、わかったわかった

花はくのいちだったのね

すごいね、なんかわかる気がする

って・・・

いつも、同じ反応だ




今日、昼間に電車で見た時は

いつもよりリアルな気がした

しかも、斬られず助けられた

あのお姫さま

なんとなく 

なおに似てたような・・・





なおが帰って来たら

この夢の話をしてみよう

まだなおにはしたことが無い

やっぱりなおも笑うかな?




お腹空いたな

ゲンさんのお店まだあいてるかな

今夜は一人酒するか・・・










あの日見た夢・・・16

2017-10-29 10:40:20 | あの日見た夢

今夜の月は

あの日見た月と同じ綺麗な満月だ

綺麗な満月は

今夜も私を明るく照らしてくれている

月の綺麗な夜は何かが起こる気配がする



あれは全て夢だったのか

どこからが夢でどこからが現実なのか





潰れた携帯電話を持って

携帯会社に行って来た

もうどうにもならない状態らしい

諦めるしかないんやぁ

大きなため息が出た

携帯がないと

何にもできない世の中なんやなぁ

改めて嫌になる

なおに電話をかけたくても

番号すらわからない

登録してしまえば

番号なんていちいち覚えない

仕方ないからそのまま家に帰ることにした



今日、電車でうたた寝をしていた

夢の中で私は電車の事故に遭い

そのまま戦国の時代に

タイムスリップしたかのような錯覚を覚えた

お姫様と一緒に追っ手から逃げ

襲われそうになりながら助けられる

助けてくれたのは・・・誰やった?


ただいま

ごめん、遅くなった

お腹すいたよ、なおはもう食べたん?

部屋に向かって声をかける

帰り着いた部屋に、なおの姿はなく

いつも付けっ放しのキッチンの電気だけが

迎えてくれた

あ、そうか、

朝なおが言っていた言葉を思い出した




今夜はあたし遅くなるから、鍵、閉めて

先寝ておいてね


あ、そうやった、

実家行ってるんや、今夜は泊まるのかな











あの日見た夢・・・15

2017-10-27 20:12:05 | あの日見た夢


曲者じゃ

遠くからあにさまの声が聞こえる

私は慌てて姫の身をかばうようにして奥へ

階段の下に抜け道がある

とにかくそこへ行かなくては

廊下を右へ

突き当たりに階段がある

角を曲がり

抜け道への小さな扉までたどり着いた

ふっと一瞬気が緩んだ

その時 目の前に黒い影が現れた

手にはきらりと光る鋭い刃が

身を呈して姫をとっさにかばうように前に出る

その時もう一つ黒い影が相手の後ろに現れた

振りかざした光るものがもろくも崩れ落ちる

あにさま

後ろに現れたのは兄であった

早く逃げろ

階段下の扉を開けて姫の手を引っ張りながら走る

走りながら考えていた

私は一体どうしたのだろう

何かが違う気がする

完全に油断していたのだ

あにがいなければ今頃どうなっていただろう

いつもより身体が重い

思うように動かなかったのだ

ここまで来れば大丈夫です

そう言った私を見つめる姫の目からは

涙があふれ出していた

姫は怯えた顔で私の手を握りしめる

大丈夫、大丈夫

そう言って幼子のように泣きじゃくる姫の背中を

さすりながらしばらくの間その場に座り込んでいた