心のままに・・・

実体験をもとに小説仕立てでお話を書いています。
時々ひとりごとも…

あの日見た夢・・・24

2018-03-02 10:14:55 | あの日見た夢

はな…助けて

なおの苦しそうな声に飛び起きた

なお、なお、

何度か声をかけると

目に涙を浮かべたなおが目を開けた

あぁ 怖かった

夢を見たのよ

前にも話したことあったでしょ

忍者に襲われた夢の話

この間見た時よりもリアルだったわ

これは現実なのか夢なのかわからない感覚

暗がりをあんたと一緒に逃げ回る

静かに後をつけてくる何かが

襲ってくる感じ

今でもまだここら辺に…

と言いながら肩の辺りを手で触るはな

私と同じだ

私もあの夢を見た後は

いつまでも肩のあたりに違和感を感じる

私は信じてもらえないと思いながらも

同じ夢を今までに何度も見た事を

なおに打ち明けることにした


神妙な顔で私の話を聞いていたはな

暗がりを見つめたままじっと聞いてくれている

時々目を大きく見開いたり

大きく頷いたり

今夜みたいに綺麗な月が辺りを照らす夜に

何かがやってくるのだと

言い終わると



ねぇ、はな、

あたし なんとなくなんだけど

思い出した事があるんだ

ううん、いや、違うな

いや、違わないか…

何を言おうとしているのか

なおは何度か頭を横に振って

それから確信したように頷きこう切り出した

あのさ、あたしのここ

刺した男

今見た夢に出てきた忍者だわ

うん、間違いない

今夜は、はっきり顔が見えた気がする



あんたがあたしと同じ夢を見てたなんて

信じられないけど

ううん、でも世の中にはそんな事もあるのかも

あってもおかしくないのかも

なんて思う

よくわからないけど

信じられない気がするけど

何かあるのかもしれないね

アイツが出てきたのも

なにか意味があるのかもしれない

それから、今更なんだけど

はな、あんたを初めて見た日

あの不動産屋のガラス窓の所ね

あの時本当に思ったんだ

あんたに何処かで会った事あるって

何かわからないけど親密感というのか

知らない人なのに知ってる人だと

そんな感じがあったんだ

だから自分でも

なぜだかわからないけど

気がついたら声をかけていたのよ

ふふ、信じないだろうけどね

そんな風に静かに笑いながら

なおは微笑んでいた











あの日見た夢・・・23

2018-03-01 09:58:25 | あの日見た夢

案内してくれたお宿は

こじんまりとした佇まいの落ち着いた空間

隅々まで綺麗でとても気持ちが良かった

平日に突然やって来た客に

今日はたいしたものが出せないや

と言いながらも

食べきれないほどの料理を振る舞ってくれた

ここら辺りは皆知り合いばかり

皆、親戚のようなものだと

海で会った

健太郎と言う名の青年が笑って言っていた



温泉なんて久しぶり

あぁ 生きてて良かった

なおが大きくため息をついて

ぽつりと呟いた

アイツなんで私をこんな目に

なおを襲った男は未だ見つかっていない

今もどこかでなおを狙っているのかもしれないし

通りすがりの犯行だったかもしれない

急に海が見たいと言い出したなお

私は山が近い場所で育ったので

幼い頃から海にはあまり来たことがなかった

なおはいつでも海が見える場所で育ったので

海はとても落ち着く場所だと言う

波の音を聞きながらのんびりと入った温泉は

今までに体験したことのない心地よさだった

なおと一緒にお風呂に入った事なんて

なかったけれど

綺麗な肌

膨よかに丸みを帯びた綺麗な胸は

お湯を弾いて輝いている

脇腹の傷が痛々しかったが

あたし治癒力高いんだろうね

というだけあって

傷口は痛々しいが確実に治っている

良かった、本当に良かったよ

しげしげと身体を見つめて言う私に

はな、あんたやらしい目であたしを見てるよ

いつまで見てんのさ

そんな趣味はないからね

いつもの毒舌健在で

そう言われて改めて恥ずかしくなってしまった



夜中

なおの呻くような声に私は慌てて飛び起きた