心のままに・・・

実体験をもとに小説仕立てでお話を書いています。
時々ひとりごとも…

あの日見た夢・・・17

2017-10-30 16:23:47 | あの日見た夢



あの日見た夢

それは、昔から何度も何度も見る夢

いつも同じ場面で目が覚める

私は戦国の時代のくのいちで、

お姫さまを守るために

曲者に斬られて死んでしまう

いつも、同じように追い詰められ

いつも、同じ場所でやられてしまう

誰も助けてくれず

姫さまをも守れず

悔しい思いで目がさめる



この話をすると

みんな明らかに呆れた目をする

一瞬周りの空気が小さく凍りつき

次の瞬間には、みんなくすくすと笑いだす

はいはい、わかったわかった

花はくのいちだったのね

すごいね、なんかわかる気がする

って・・・

いつも、同じ反応だ




今日、昼間に電車で見た時は

いつもよりリアルな気がした

しかも、斬られず助けられた

あのお姫さま

なんとなく 

なおに似てたような・・・





なおが帰って来たら

この夢の話をしてみよう

まだなおにはしたことが無い

やっぱりなおも笑うかな?




お腹空いたな

ゲンさんのお店まだあいてるかな

今夜は一人酒するか・・・










あの日見た夢・・・16

2017-10-29 10:40:20 | あの日見た夢

今夜の月は

あの日見た月と同じ綺麗な満月だ

綺麗な満月は

今夜も私を明るく照らしてくれている

月の綺麗な夜は何かが起こる気配がする



あれは全て夢だったのか

どこからが夢でどこからが現実なのか





潰れた携帯電話を持って

携帯会社に行って来た

もうどうにもならない状態らしい

諦めるしかないんやぁ

大きなため息が出た

携帯がないと

何にもできない世の中なんやなぁ

改めて嫌になる

なおに電話をかけたくても

番号すらわからない

登録してしまえば

番号なんていちいち覚えない

仕方ないからそのまま家に帰ることにした



今日、電車でうたた寝をしていた

夢の中で私は電車の事故に遭い

そのまま戦国の時代に

タイムスリップしたかのような錯覚を覚えた

お姫様と一緒に追っ手から逃げ

襲われそうになりながら助けられる

助けてくれたのは・・・誰やった?


ただいま

ごめん、遅くなった

お腹すいたよ、なおはもう食べたん?

部屋に向かって声をかける

帰り着いた部屋に、なおの姿はなく

いつも付けっ放しのキッチンの電気だけが

迎えてくれた

あ、そうか、

朝なおが言っていた言葉を思い出した




今夜はあたし遅くなるから、鍵、閉めて

先寝ておいてね


あ、そうやった、

実家行ってるんや、今夜は泊まるのかな











あの日見た夢・・・15

2017-10-27 20:12:05 | あの日見た夢


曲者じゃ

遠くからあにさまの声が聞こえる

私は慌てて姫の身をかばうようにして奥へ

階段の下に抜け道がある

とにかくそこへ行かなくては

廊下を右へ

突き当たりに階段がある

角を曲がり

抜け道への小さな扉までたどり着いた

ふっと一瞬気が緩んだ

その時 目の前に黒い影が現れた

手にはきらりと光る鋭い刃が

身を呈して姫をとっさにかばうように前に出る

その時もう一つ黒い影が相手の後ろに現れた

振りかざした光るものがもろくも崩れ落ちる

あにさま

後ろに現れたのは兄であった

早く逃げろ

階段下の扉を開けて姫の手を引っ張りながら走る

走りながら考えていた

私は一体どうしたのだろう

何かが違う気がする

完全に油断していたのだ

あにがいなければ今頃どうなっていただろう

いつもより身体が重い

思うように動かなかったのだ

ここまで来れば大丈夫です

そう言った私を見つめる姫の目からは

涙があふれ出していた

姫は怯えた顔で私の手を握りしめる

大丈夫、大丈夫

そう言って幼子のように泣きじゃくる姫の背中を

さすりながらしばらくの間その場に座り込んでいた













あの日見た夢・・・14

2017-10-04 15:40:59 | あの日見た夢


なおさま、はなは、ここにおります

そう言った私を見て

姫は美しい笑顔を見せて駆け寄り

花、やはりあなたは無事だったのですね

よかった

安堵の顔で私を抱きしめる

なお・・・さま?

どうしてそのようなことを考えておられたのですか

花が無事だとかなんとか・・・

私はいつも側におりますよ

この先どこへ行こうとも、何があろうとも


前に話していた場合へ

行ってしまったのではないかと

わたくしをおいて

一人で行ってしまったのではないかと

思っていたのだ

そんなことになれば

わたくしはもう生きてはおれぬ

生きていても意味がないと思っていた

姫は

いつになく神妙な顔つきでそう言ったのだった

さっきまで綺麗に見えていた月が

何だかぼんやりと見える

明日は天気が悪くなるやもしれぬ

ふとそんな事をぼんやりと考えていた