人は、苦しみや悲しみをどうやって忘れるのだろう?
忘れるなんて出来るのだろうか?
いえ・・・忘れなくてもいいのだろうか?
その答えは、未だに出ていない
達也は、出会った次の日早速電話をしてきた
「一人で飯を食うのも味気ない 今夜いかがですか?」
私はその日の仕事が長引きそうだったので、やんわりと断りを入れた
しかし達也は根気強いとでも言うのか
それなら自分も残業して時間を調節すると言って来た。
強引すぎるのは、好きではないので
少し嫌味をこめて再び断りの言葉を告げると
今度は拍子抜けしそうなくらいあっさりと諦めの言葉を口にした
そして、突然自分の都合で無茶な誘い方をしたと詫びた後
こちらの都合がいい日にぜひ会いたいと言って来た。
週末なら都合がよいと告げると、子供のようにはしゃいだ声で楽しみにしていると電話を切った
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何もかも忘れさせてくれるような人が
いつか私を 心の闇から救い出してくれると信じたかった
私の周りには、ご機嫌伺いをしながら接して来るような男が多かった
会社では、社長の娘と遠慮され
昔のことを知っている人は
“迂闊に声が掛けられない”と、慎重に接してくるのだった
過去など知らない相手となら気楽に接することが出来るだろう
相手が既婚者だろうが、その時の私にはどうでもいいことだった
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自然な流れでそうなった
長い間忘れていた悦びがこみ上げる
私の身体をゆっくりと確かめながら奥へ奥へと攻めてくる雄の身体は
以前から知っていたかのような動きで私を頂点まで連れて行ってくれた