心のままに・・・

実体験をもとに小説仕立てでお話を書いています。
時々ひとりごとも…

あの日見た夢・・・7

2016-05-27 17:32:03 | あの日見た夢


今日は実家へ寄って帰るつもりだった

本当は行きたくなかったが、兄が帰ってきている

土産物があるからと、

母がとってつけたような言い訳を使い

電話をかけてきた

兄は長い間仕事のため

家族を伴って海外暮らしをしていた



あたしは昔から兄のことが大好きで

いつもそばを離れなかった

兄が結婚してほどなく仕事も海外へと移った時

もともとあまりそりの合わなかった父親と

これ以上関係が悪くなるのが嫌で

自分もそろそろ自立しなくては、などと

あれやこれやと理由をつけて家をでていたのだった

結局のところ

付き合っていた男のところへ転がり込んだのだったが

あのけんかの後飛び出して

今は、花と一緒にいる




あたしの父は地方では結構有名な議員の一人で

自分の言うことは誰でもおとなしく聞くものだ

と思い込んでいるような

バカ男

母は根っからの専業主婦で

そんな父親のことを疑いもせず

日々の暮らしを良いものにしようと

毎日せっせと家事にいそしんでいた



あたしと父の仲の悪さを感じつつも何も言わず

というのか、言えずにいるのだろう


実家に着いたとき

リビングでは兄の家族と父母が

楽しそうに語らっていた

あたしはこの雰囲気の中に入ることをためらって

玄関から中へ入れずにいた

そこへ義姉が小さな男の子を連れて出てきた



直ちゃんお久しぶりね、どうしたの?

なぜお部屋に入らないの?

義姉との会話の続きが面倒なので

できるだけにこやかな顔を作って笑う



甥っ子の可愛らしい

なおちゃーんおいでーの声に

仕方なく一緒にリビングへと入ったのだった






あの日見た夢・・・6

2016-05-18 15:07:39 | あの日見た夢


地震?

違っていた

目が覚めた時

そこにあるはずのないつり革が

腰の辺りに並んでいて痛かった

確かドアの側に立っていたはずの女性が

私に覆い被さるようにして目の前にいた

隣に座っていたサラリーマン風の男性が

よろよろと立ち上がり

上にいる女性に声をかけながら

私にも大丈夫か、と覗きこんでくれていた

ぐったりとして動かない女性

微かに息は感じる

生きてはいるはずだと思った

私は彼女のお陰で

頭と肩をどこかに打ち付けたくらいで

大した怪我はないようだと、

すぐに自分で判断がついた

ドアの横にあるポールがぐにゃりと曲がっている

怖かった

もしあれにぶつかっていたら

私はどうなっていただろう

あちこちで、様々な人が異様な声をあげている

動かない人

一緒にいた人を気遣いながら

声をかけている人

微かに救急車のサイレンが近づいてくる

それは、1台ではなく何台も

携帯を取り出そうとカバンを探したが

すぐ側にはなかった

這いながら辺りを見渡して見つけたカバンからは

無惨に折れ曲がった携帯が出てきた

元気な私は、傾いた車両から

同じような人達と共に線路へと降りた

ヘリコプターが飛んでいる

どうやら私の乗っていた電車が

事故にあったらしかった

携帯がダメになってしまっては、

何も出来ない自分に苛立ちながら

乗務員の大声に従いながら

そこから一番近い駅まで歩くことにした

何か違和感を感じながら…



あの日見た夢・・・5

2016-05-16 18:06:31 | あの日見た夢


今朝は嫌な夢を見た

直が何か言ってたけど

どんな夢を見たのかは話さなかった


本当は、はっきり覚えている

何度も何度も見たことのある夢

本当に起こった出来事なのか

否かはわからないが

それでもなんとなく現実にあったことに違いないと

どこか確信めいたところがある

でもこの話を人前でするのは

やめておいた方がいいと

自分に言い聞かせているのだった

誰も真面目には聞いてくれないだろう




朝少し遅めの電車は空いている

ゆったり座っていられるのもこの時間ならではだ

ああ、それにしても今朝はやたら眠い

電車の揺れに心地よさを感じて

私はいつの間にか眠っていたようだ

夢の中でゆらゆらと揺られている

電車の揺れなのか夢なのかわからない感覚

大きな岩が、目の前に現れた

そんな、夢と現実の狭間

突然身体が

宙に浮いたような感覚に襲われた

誰かの大きな叫び声と共に身体中に痛みが走った

痛いっ


目が覚めたとき

自分があり得ない方向に向いているとわかるまで

しばらく時間がかかった














あの日見た夢・・・4

2016-05-14 15:31:28 | あの日見た夢


本当は飛び出すつもりなんかなかった

それなのにアイツったら

今思い出しても何度もムカつく

大体何が原因だったのかすら思い出せない

それでも裸足でなかったのは幸いした

まだ肌寒い日が続いていた季節

とりあえず

身の回りの必要なものは持って出たつもりだったけど

あの日あの場所で花(はな)に出会わなければ

今ごろあたしはどうしていただろう

大きな眼鏡が印象的で、

つい声をかけてしまったのだった

眼鏡のなかの大きな目は、注意深げに見つめていた

何故かどこかで会ったことのある

懐かしさを感じたのだった

この街には初めて来たと言っていたが

あたしには確かに遠い昔会ったことのある

不思議な確信があったのだった