おい千秋
オレが酔っているとでも
思ってるんだろう
そう言いながら岡崎は
そう言いながら岡崎は
上着のポケットから
小さな箱を取り出した
酔ってはいないが
小さな箱を取り出した
酔ってはいないが
話の展開如何では
渡しそびれるところだった
お誕生日おめでとう
お誕生日おめでとう
慌てて選んだから
気に入ってもらえるか
わからないが
と笑いながら
と笑いながら
小さな箱を
私へ差し出した
なぁ千秋
会社では
おまえがやりにくいのなら
わからないようにすればいい
でも時期が来たらその時は
でも時期が来たらその時は
ちゃんと話していいだろう?
時期って
どう言うこと?そう言うこと?
私はその心使いに
私はその心使いに
改めてこの人の素晴らしさを感じた
やはりこの人なら
やはりこの人なら
本当にすべてを委ねても
後悔しないんじゃないか
と、心からそう思っていた。
今までは
と、心からそう思っていた。
今までは
好きならばそれでいいと思っていた
でもこれからは
でもこれからは
好きなだけでなく
好きになってもらえる
好きになってもらえる
そんな女性になりたい
あの日
小さな箱をもらった後
岡崎さんが
岡崎さんが
もう一度改まった顔をした
千秋
さっきの店ではうやむやになったが
改めて言わせてもらっていいか?
オレはこれから先の人生を
オレはこれから先の人生を
おまえと一緒に過ごしたいと思う
今までにあったさまざまな事を
今までにあったさまざまな事を
すぐに忘れろとは言わない
きっと忘れることなど
きっと忘れることなど
できないだろうから
人は心の中でいろいろな
人は心の中でいろいろな
思いを持っている
それでもその上に
それでもその上に
新しく素敵な思いを重ねて行けば
いいと思っている
これから一緒に
これから一緒に
沢山の思い出を作って行かないか?
私はすぐに頷いた
もう躊躇などなかった
そして
そして
こちらこそ
よろしくお願い致します
とても緊張した面持ちで頭を下げた
なんだよ
とても緊張した面持ちで頭を下げた
なんだよ
営業トークみたいな
挨拶じゃないか
真面目な顔してんじゃないよ
と私の返事に
照れくさそうに笑っていた
想いはいつか伝わるもの
想いはいつか伝わるもの
そう それを信じよう
その時の私は
心からそう思っていた
あれから何年経っただろう
今も私に沢山の笑顔を
作らせてくれる
今も変わらぬ想いでいてくれる
そんなあなたへ心を込めて
今も変わらぬ想いでいてくれる
そんなあなたへ心を込めて
“ありがとう”