心のままに・・・

実体験をもとに小説仕立てでお話を書いています。
時々ひとりごとも…

あの日見た夢・・・13

2017-09-30 18:35:09 | あの日見た夢

救急車! 早く救急車をお願いします!

若い女性が

後ろから来た男の人に刺されて倒れています

え?あ、その人は慌てて走って行きました

はい、はい、わかりました

とにかく早くお願いします!

血が、ものすごく出ています!

子供はいつまでも泣き叫び

母親はオロオロしながらただ立ち尽くすしかなく

母親の声を聞いて駅から出て来た何人かの人が

あたしの周りを取り囲んでいた




血だらけになって倒れているあたしは

もちろん刺されたなんて思ってもいない

早く花を探さなければ、と駅へと急いでいたのだ

もうその場所には行けないなんて思いもせずに…


その後救急車と共にパトカーもやって来た

あたしを刺した男は

明らかに沢山の人とすれ違っているはず

すぐに見つかるであろうと言われていたのに

走り去った先にある

駅周辺のカメラには、

全く映っていなかったようだ

まるで神隠しにでもあったように

その場所から忽然と消えていたようだ













あの日見た夢・・・12

2017-09-29 13:46:38 | あの日見た夢

城の中に入るといつもの部屋へ

そこへいつも姫さまのそばについている

お付きの方がやって来た

明日はいよいよお嫁入りの日

花、いったい何処へ行っていたのですか

貴女がいないので姫は随分ご機嫌が悪く

嫁には行かぬなどと言い出す始末

大殿さまは、好きなようにさせておけ

と、相も変わらず気にも留めておいででないし

そういえば、先ほど姫が

花はもうここへは帰ってこないのではないか

私を置いて

一人で戦のない場所へ行ってしまったに違いない

などと、

わけのわからない事を言っておられたのですよ

さぁとにかく一度顔を見せてあげてくださいな

貴女もいろいろと支度がおありでしょうけど

シノも忙しいのでございますよ・・・

ブツブツ文句を言いながら奥へと行ってしまった



どこか憎めない人

もう随分いい歳なのに、

あの方もずっと姫の側で世話をなさっている



私の役目は表向きは身の回りの世話と話し相手

でも本当は、身代わりの身

姫と私は、背丈や顔が似ているのだ

私には、いつでも身代わりになる覚悟がある

あにさまは、そんな私をいつも気遣ってくれ

お前にそんな事をさせはしないと言ってくれる

これ以上命など狙われないよう

今よりも大きな城へと明日旅立たれる

もちろん私も一緒に行くのだ






こんな世の中いつか終わるに違いない

私はいつもそんなことを思いながら過ごしている

そしてそれは本当の事だとどこかで確信を持っている



いつか花の言うような

戦なんてない所で静かに暮らしたいものだと

姫も私の言葉を信じてそう言ってくれている











あの日見た夢・・・11

2017-09-23 20:43:04 | あの日見た夢

慌てて飛び出したのはいいけれど

あたしはどこへ行けばいいのだろう

とりあえず駅へ向かおう

そんな事をぼんやり考えていた

突然曲がり角から子供が飛び出して来たので

慌てて身体を反転させた

その反動で足がもつれて転びかける

そんなあたしに、後ろから来た誰かが

ぶつかって来た

痛いっ!思わず大きな声が出たけれど

何も言わずに慌てて立ち去って行く

なによっ!嫌なヤツ

飛び出して来た子供とその母親が

ものすごい形相であたしのことを見ている

何よ?あんたがちゃんと手繋いでないから…

そんな事を心の中で思いながらも

顔では何事も無かったような笑顔を作り

その親子とすれ違った


ぶつかって来たのは背の高い若い男だった

と、確かに頭では理解したけれど

何か違和感があった



初めて見た人だった

あたしは、人の顔を覚えるのが得意だ

一度見たらほぼ間違いなく覚えている

それにしても何も言わずに走って行った男

アイツ…ムカつく

今度見かけたら文句言ってやろう

そんなことを思いながらふと

花が行きそうな場所を思い出した



後ろで子供の大きな鳴き声が聞こえる

いつまでも泣き止まない

母親が慌てた声で携帯で誰かと話している

なんだか騒がしい

とにかくあたしは花を探さなくちゃ

そんな事を思いながら駅へと急ぐ

とにかくその場所へ向かう事にした

あの子が事故なんて合うはずがない

きっとけろっとした顔で迎えてくれるだろう

そんな事を考えながら

あの日見た夢・・・10

2017-09-23 20:10:55 | あの日見た夢
暗がりの中で目が覚めた

確かあの時促されるままに

代替えの車両に乗ったはずなのに

ここは何処だっけ

辺りを見渡しても明かりらしいものが見えない

しばらくすると暗がりにも目が慣れて来たので

足元を気にしながら少し歩き出す

どれくらい歩いたのかわからないけれど

いつまで歩いても何も無い

畑の中…?草原…?

何?ここどこ?



目が慣れて来たとは言え長い間歩けたのは

綺麗な満月のおかげだった

ふと立ち止まり見上げる

なんだかとても懐かしい気分

ずっと前から知っている場所だと気がついた

何度も何度も見たことのある場所

そうか、ここはよくみる夢に出てくる場所だ

そんなことを思っていた時

ふ、と誰かの気配を感じた

気配を感じたのと同時に誰がいるのか

見なくてもわかった

だって、

いつでも当たり前のように側に寄り添っていてくれた

私の一番大切な人

あにさま…

嬉しくて振り返る

花…

いつも見上げるとそこにあった笑顔

今日は少し呆れ顔に見える

お前今までどこをほっつき歩いていたんだい?

随分探しだぞ

姫さまがずいぶん心配して探していたぞ

さぁ、急いで行こう

そう言われて、私は暗がりを駆け抜け

いつもの居場所へとたどり着いたのだった