直(なお)に出会ったのは窓ガラスの前
部屋を借りるために見つめていた不動産屋の窓ガラス
後ろから突然声を掛けられた
驚く私に綺麗な微笑みを浮かべて
もっと驚くような事を言い出したのだ
「もしよかったら一緒に住まない?」って
突然の事にぽかんとしている私に
ますますにこやかに微笑むと
「驚かせてご免なさいね、変だと思うわよね
でもほら、一人で住むとなると
狭苦しい部屋しか借りれないでしょ?
でも二人でシェアしたら
ちゃんとしたキッチンだとか
あ、家賃も割安になるしいいと思わない?」
知り合いでもなく、しかもたった今
ここで出会ったばかりの人間に向かって
何て事を言い出すんだ?って
怪し過ぎるやろ?って
私はその時固まったまま
何も返す言葉が出て来なかった
呆気にとられている私に
とりあえずお茶でもどう?
まるで一昔前のナンパ男のごとく
私の手を軽く引っ張り
近くのカフェへ入ったのだった