なおがわたしと同じ夢を見たようだ
なおは、笑っていたけれど
わたしにはものすごい衝撃で
信じられない気分だった
おかげで、私の見る夢の話は出来ずじまいだ
きっと話しても信じてもらえないだろう
あと何日か経てばなおが退院できる
と言われたころ
病院の廊下で
以前ゲンさんのお店で一緒になった
人に会った
隼人さん
後ろから声をかけたけれど
聞こえなかったのか
足早に行ってしまった
慌てて小走りで追いかけたけど
歩くの速い
廊下を曲がるとそこに姿はなかった
あら、残念
どこかの部屋にお見舞いなんやろうな
あまり深く考えなかった
またゲンさんのお店で会えるだろうし
なおが退院したらそのうち一緒に行けばいい
あ、でもしばらくなおは飲めないよね
会ったところでどうしたいのか
別に付き合っているわけでもなく
何か約束したわけでもない
それなのにもう一度触れられたい
あの声をもう一度聞きたい
と、私の中の何かがそう願っていた