心のままに・・・

実体験をもとに小説仕立てでお話を書いています。
時々ひとりごとも…

約束の行方・・・vol.10

2013-01-31 10:10:50 | 約束の行方


年末年始を叔母の家で過ごした私に
叔父がこんなことを言いだした
「絵里子ちゃん、せっかくだから
明日の新年のパーティへ一緒に行かないかい?」

叔父は、仕事がらいろんな方からお呼びがかかり 
年に何度かパーティへ招かれる
新年のパーティということは、
それなりの人が集まる 
服装もきちんとしたものでなければならない
「おじちゃん とても嬉しいけど、
私そんな場所へ着てゆく服持ってへんわ」 
と言うと
にこやかな顔で見ていた叔母が 
「そしたら、私の振り袖着たらええよ
もしも私たちに女の子が生まれたら
着せようと思って置いてあったのがあるから、
ちょっとこっちに来て」
嬉しそうな叔母は、
私をクローゼットへ連れてゆき 
タンスから振り袖やら帯やら必要なものを取り出すと
鏡の前で簡単に着せてくれた
「ええわぁ~よぅ似合うてるわ、
そうそう そうや、この振り袖 絵里ちゃんにあげる
着てくれへん? 
どうせうちには必要ないものやし、
そやわ、ええ考えやわ」
そう言って叔母はとても嬉しそうであった


来年は成人式だったが、
どうせお姉ちゃんのお古を着るものだと思っていた
我が家は仕事がら
着物を着る機会が多くあったが、
大抵は姉のお古で、そんなものだと思っていた。
「叔母ちゃんのお古で悪いけど・・・」と、
少しさみしそうに言った叔母に
「いや、そんなことないよぉ 
加奈子叔母ちゃんの大切なものやし
大事に着させてもらいます
ありがとう~嬉しいわぁ~」 と伝えた
そんなわけで、次の日私は
とても華やかな場所へ行くことになった。










久しぶりに来た着物に最初は
“ああ苦しぃ~”と思っていた私だが
ホテルの会場へ入った途端
背筋がシャンとなるのがわかった
まだ子供の私にも 
ちゃんと大人の女性と同じように
接してくれるホテルの人達
恭しく頭を下げられて、
なんだか本当の大人になった気分だった
会場内ではずっと
叔母のそばから離れられず
後をついて回り あちこちで声をかけられた
「まぁ~かわいらしいお嬢さんね、おいくつ? 
原田さんの娘さん? ぜひうちの息子のお嫁に」
などと、縁談話を持ちかける人までいた
愛想笑いを方々でしていた私も、
さすがに疲れたので 
壁際の椅子へ“よいしょ”といいながら腰かけた
小さな声で言ったつもりだったのに、
その声が聞こえたようで 
椅子ひとつはさんだ 向こう側に座っていた男性が 
“くくっ”と笑いをこらえながら
肩を揺らしながら俯いていた

私は “失礼なヤツ!”と思い
無視していたが
しばらくすると隣の椅子へやってきて
「あけましておめでとう、これ美味しいよ」 
と、綺麗に盛り付けたオードブルと
オレンジジュースを差し出してくれた
突然の声掛けに驚いた私は 
“はぁ”と 
とぼけたような返事しか出来ず
とりあえず渡されたものを
隣りのサイドテーブルへ置いて頭だけ下げた
そういえば、会場に入ってから
ずっと緊張して
叔母の後ばかりついてあるいていたので
何も食べていなかった 
帯が少し苦しくて
お腹の虫も也を潜めていたが 
さすがに小さく鳴りだしたので
私はあわてて
持って来てくれたオレンジジュースを 
ひとくち飲んだ
「ああぁ美味しい、生き返ったわ」と、
小さくつぶやいて皿の料理にも手をつけた
少しずつ乗せてあった料理は
どれもとても美味しくて
気がつくと皿は空っぽだった
その様子を黙って見ていた男性は
「うん、なかなかいい食べっぷりだね 
見ていて気持ちがよかったよ」
そう言って楽しそうに笑った。


その声に少し驚いた 
というのか、
一生懸命に食べていた私は
隣人の存在を忘れていた


そういえば
この人が持って来てくれたのだった。
私は今度は立ちあがって、
丁寧に手をそろえてお辞儀をし 
「ありがとうございました 
とっても美味しかったです。」
とお礼も言った
口先では礼を言ったが、
初対面にその人の印象は 
はっきり言ってあまりいいものではなかった
その礼に気を良くしたのか、
その人は勝手に話しだした。
“若いのに
どうしてこんな場所に来ているのか?”とか、
自分は父親の代わりに
仕方なく出席したのだとか、
聞きもしないのに一人で
好きなことを話していた。
こちらへ来て男性といえば、
啓太やその友達たち 
マスターくらいしか話す人がなかった私は
若い年上の男性への免疫がなかったせいもあり、
また言葉のコンプレックスも甦り
ただただ、だまって聞いていた。 
きっとおとなしい女性に見えただろう






“僕、森下 総一郎と言います。
君は?” 
話が早く終わらないかな
と考えていた私は
自己紹介を受けても ピンとこず 
「ああそうですか」と生返事を返した。
“ねぇ、君の名前も教えてよ” 
と言われて ハッとした
私は、慌てて 
「ごめんなさい
私、野村 絵里子と申します」 
と大きな声でそう言った。
再び “威勢のいい声だね”と言われ
そうだった
こういう場所では落ち着いて
丁寧に話さなければ
大人ばかりの集まりなんだから、
と一度深呼吸して
もう一度その人の方へにっこりほほ笑んだ

つもりだった

“顔引きつってるよ
あのね無理に笑わなくてもいいよ 
僕もこういう席は苦手でね
でも慣れてくると
自然に自分が出せるようになる。
慌てなくてもいいよ”


“場所が苦手なんじゃなくて
あなたが苦手やねん” 
と言いたかったが、口には出せず
私はもう一度
にっこりと笑って見せた


初対面の男性に声をかけられること自体
初めてだったし
始終ぼぉっとしていた私は、
その人が本当はどんな人なのか知らなかったし
知りたいとも思わなかった。





 









約束の行方・・・vol.9

2013-01-30 10:16:14 | 約束の行方


啓太とは“お友達以上の関係”になっていた
求められるまま受け入れていた
私自信もふれあうことを望んでいたし、
一緒にいることが心地よかった

今のような連絡手段がまだ乏しかったあの頃
それでも
会わない日を数える方が早いほど
いつも一緒だった
その年の暮れ
啓太は妹と一緒に神戸にいる母の元へ
遊びに行った
私は実家へ帰るのが億劫だったので、
その年は叔母の家で過ごすことにしていた。






マスターの話の続きを聞くことが出来た
「マスター
その時、恋愛はしなかったの?」 
唐突に聞いた私に微笑みながら
「んっ?恋
そうだね
素敵な女性に出会ったよ」

絵を描くだけで満足していたが、
何週間も滞在している間に
お金も底を尽きかけていた
あるお店で
“帰りの電車賃だけ何とか都合をつけるため”
と頼み込んで働かせてもらったらしいが
仕事は思っていたより楽しく、
帰ることを忘れるほどだったらしい
一生懸命に働くマスターは、
オーナーさんにも気に入られ
結局、オーナーの家へ間借りさせてもらい
4ヶ月ほどを過ごした
頻繁に店へ来ていた女性と
言葉を交わすようになり、
ほどなく店以外でも会うようになっていた


「今の絵里子ちゃんのように、
お店に来ても本ばかり読んでいたんだよ」 
と、マスターは笑いながら
その女性との恋物語を聞かせてくれた。 
店が終わると連れ立って帰り
河原で何時間も話をした

自分の身の上話や将来のこと 
女性は市内の有名大学の学生であったが
本当は、
“女の子が学をつけても
何の役にも立たない”と
親には言われていたらしい
精一杯の反抗で、
反対する親を押し切って学校へ通っていた
そんな話を聞かされてショックを受けたそうだ

親は“どうせ、受かりはしない 
万が一受かったら仕方ないから通わせてやる“
といってくれたので受験した。
親の気持ちを裏切る形で見事合格し、
今は晴々とした気分でいる
と楽しそうに話してくれたその人の影響もあり、
家に帰らず京都での日々を続けていたともいえる
いろんなことで
かなり影響を受けた
素敵な女性だったと話してくれた
残念なことに大学を出ても
“特にやりたいことを決めてない”  
“決めてもさせてもらえない”
親は、“お嫁に行くための勉強をしろ” 
というのだ などというような話を聞いて
“自分のことを自分で決めさせてもらえない”
そんな人もいるんだということを知った


それでもその人は、
“今は決めていないけれど必ず何かを見つける” 
と、未来への希望を持っていた


少し遠くを見つめながら
思いだすように話すマスター
私は、その女性が
“やりたいことを見つけたのだろうか?” 
と疑問をもった。

“私のやりたいことはなんだろう?” 

私もその人と少し似たようないきさつで
こちらの大学を受験した
わざわざこちらまで来て
普通のOLになるのでは芸がない
啓太との関係もきっとそのうち変わるだろう
このままいつまでも
おままごとのような付き合いが続くはずもなく 
身体だけの関係になりつつある現実を
見なおさなければ
と、思ったのだった。









約束の行方・・・vol.8

2013-01-29 09:38:00 | 約束の行方


マスターである 杉山 寛之のつぶやきに
興味を持った私は、
ある日 
「もしかしてマスターは京都に縁があるのですか?」
と聞いてみた。


“縁というほどのことではないけどね” 
といいながら昔話を聞かせてくれた。
それはとても素敵で
ちょぴリ切ない話だった







寛之は、大学へ通っていたころ
美大生だったわけではないが、
絵に興味を持っていたらしく
あちこちへ行っては
スケッチを楽しんでいたそうだ
港町であるここには、
沢山の絵になる風景があり
それはそれで魅力的だったのだが、
いつしか違った街を書いてみたいと思った
そこで一番に思い描いたのが“京都”だった
学生の頃の長い休みを使って
京都に赴き、
有名どころの神社仏閣を描いて回り
気がつけば、
休みも終わりお金も乏しくなっていた。
それまでは、
そのまま帰って無難に学生時代を送り
会社員になるのが普通だと思っていたが
こずかい稼ぎのつもりで転がりこんだ
カフェで、
短い期間のアルバイトを始めた
それまで、
お金に不自由などした事などなかった寛之は
その店で人生の大きな転機を迎えることとなる
お金を稼ぐ大切さ、難しさ、
人とのかかわり、つながり
そんな様々なことをそこで学び 
大学などでは教えてもらえない
生きることへの喜びを味わった
ほんの短い期間だけ
世話になって帰る予定をしていたが、
そのまま年が明けるまで滞在した。


それでも年明け早々に、
とうとう家族に連れ戻されてしまったらしく
“自分一人では何も出来ないのか・・・・”と、
ずいぶん悩んだそうだ
もともとは、裕福な家庭に育ち
三男坊という肩書で自由にさせてもらっていた
親は、休みの期間だけだと思い
自由にさせてはいたが
年の暮れになっても何の連絡のしてこない息子を
探し回っていたらしく、
連れ戻されたあとは
ずい分厳しくされたそうだ
“成人しているとはいえ 
おまえはまだ学生の身分だ、
学校へは行かせてやっているんだ
自分勝手にするのもほどほどにしろ 
勝手にしたかったら、
自分の力で稼げるようになれ”
そんな風に父親に言われ
自分では、なにも出来ない
愚かさにただただ うなだれた









私は“自分に少し似ている” 
と、さらに興味深く聞きいった。
それにしても、
結局こうしてカフェをやっている
ということはその後何かがあったんだな
と、私にも容易にわかったが
啓太がやってきたので
その日の話はそれで終わりになってしまった。

「マスターそのお話の続きありますよね? 
また次回聞かせてくださいね?」
と伝えてその日はカフェを後にした。


啓太は不思議そうに
「なんだか楽しそうだね、
マスターがなんだって?」と聞いて来たが
私は「ナイショ」
と言って
自分の心の中にだけそっと閉じ込めた。


「なんだよー」 と、
啓太は不服そうな顔をしていたが 
私が、子供をあやすように
そっと頬へ触れるとおとなしくなった。
あれから啓太と会うと、
どこへ行くでもなく啓太の部屋へ行き 
肌を重ねていたのだった





約束の行方・・・vol.7

2013-01-28 09:28:41 | 約束の行方


秋も深まった頃、
啓太はこんなことを言って笑わせてくれた
「ねぇ、絵里子ちゃん 
これからはエリーって呼んでもいい?
有名な歌があるだろ?
エリー♪ my love~♪ ってやつ」


“なんちゅーベタな奴??” 
と心の中では思ったが、
そんなことは口には出せず

「いいよ~自由に呼んでくれたら」 
と、またまた可愛くない受け答えをしてしまった。


それでもその頃は、
完全に啓太のペースに巻き込まれていたし
内心、そう呼ばれることに
嫌な気もしていなかった。


「読書の秋もいいけど、
やっぱスポーツの秋でしょ」 
とサッカー観戦に連れて行かれたり
水族館は、もう何回行っただろう?
というほど通っていたし、
時には、なんだかわからない
美術館へも連れて行かれた。






啓太の家へ初めて行った時は驚いた
大きなお屋敷はもちろんのこと、
玄関を入ると
メイドさんが2人立っていたのだった
“年季の入った”といっていいのだろうか
“はるさん”と呼ばれる
メイドさんの作ってくれるスイーツは絶品で
実家でおやつといえば、
和菓子だった私にとって
ものすごく嬉しいものだった


何度目かにお邪魔した時、
それまで気になっていたことを
素直に聞いてみることにした。
「ねぇ啓太、あなたの家って 
いつ来てもメイドさん以外
誰もおらへんね?
兄弟は?いいひんの? 
お家が大きすぎて、会わへんだけ?」

啓太は、少しだけ
さみしそうな顔を見せたように思ったが
それは、気のせいだったのか?
と思うような顔で
「中学生の妹がひとりいるよ、
もう帰ってきてるんじゃないかな?
部屋からほとんど出てこないからね
それから母さんは、
今は訳があって神戸にいるんだ。
僕たちは、夏休みや冬休みに会いに行ってるよ


父さんは・・・・・・・・
仕事が大好きだからね・・・・・・・」



“聞かない方が良かったのかも?”
と少し後悔した








私の気持ちを察したのか、
「エリー気にしなくていよ、僕は寂しくないからね
だってこうしてエリーがそばにいてくれてるから」
そう言いながら、私のおでこにそっと触れてきた。
私は全身がビクッと震えるほど
驚きを隠せなかったが、
啓太は平気な様子でにっこりほほ笑み
“いい?”と同意を求めるような目で
私を見つめている
初めてではなかったけれど、
そんなに深く知っているわけではなかった

私の身体は
きっととても硬くなっていただろう
それでも“年上の余裕を見せなければ”
という訳のわからない気持ちに
気づかれないよう
静かにうなずいて 
自ら啓太を受け入れた。
それは、とても自然な成り行きだった
啓太の手はぎこちない動きをしていたが、
とても優しく 私を大事に扱ってくれた。









いつものカフェでも、
啓太と一緒にいる時だけは
無理に標準語を話さずにいた
ある時マスターに
「聞いてもいいかな、
絵里子ちゃんは関西のどこから来てるの?」
と尋ねられた。 
私は気にも留めずに 
「京都です」 と答えた。


“そぉか・・・” と、
少し物思いにつぶやいたマスターの姿を見て
「京都はええとこどすぇ~」 
とふざけて言ってみた。


正直なところ、“・・・どすぅ~”
などと普段使う人はいない
大抵我が家のような料理屋の女将さんか、
舞妓ちゃん 
芸子ちゃんくらいのものだ


あとは、
祖母くらいの年齢の人が使うだろうか・・・
でもその言葉にマスターは、
懐かしそうに目を細め  
“いいねぇ~風情があって、
懐かしいな・・・・・
昔を思い出す”と、意外な返事をした







約束の行方・・・vol.6

2013-01-23 09:47:34 | 約束の行方


「絵里ちゃん 
今日は、なんかええ事あったん?」

帰るなり叔母に声をかけられ、
少し驚いた
「ええこと・・・んん、そうかなぁ~?
ええ事かどうかわからへんけど告白されてん」

「いやぁ~そりゃぁええ話やないのぉ~
ちょっと、ちゃんと聞かせてぇなぁ~」

そう言いながら、
嬉しそうにそばへ寄ってきて椅子をすすめる


「ほなとりあえず、着替えてくるわ」 




「今日な、3歳も年下の男の子から 
“友達になって” って言われてん
相手の子、まだ高校生やねん・・・」

「ふぅ~ん、それで? 
絵里ちゃんは、年下って言うのが気になるん?」

「いや、だって・・・おばちゃん、
まだ高校生やで~? 気になるやろぉ~?」

「そうかなぁ~
別に気にすることないんと違う? 
お友達なんやさかい、ええやないの
まずは “お友達から” っていうことやろ?
面白そうやない・・・」


そう言いながら、
ホントに面白そうに笑っている


「もう! 他人事やと思て、無責任な・・・」

私は、ちょっとだけ怒ったふりで
そうつぶやいた




叔母は、少し思案顔でいたが 
やがてにっこりほほ笑むと


「絵里ちゃん、人生は長いのよ 
この先まだまだいろんな人と出会うわ


女性でも男性でも、
いろんな人と出会ってお話したりする中で
いろんな経験できると思うねん
ええ事も悪いことも
いろいろあると思うけど、
まずはなんでも試してみなわからへんよ
それは、年上でも年下でも関係ないのよ
絵里ちゃんは、大胆そうに見えて
意外に気が小さいねぇ
今はわからへんでも、
何年かした後わかることもあるの 
叔母ちゃんは叔父ちゃんと結婚する前に
お付き合いした人がいて
本当はその人と一緒になりたかったけど
いろんな事情があって
一緒にはなられへんかった、
その時はとっても辛かったし、
悲しかったけど
今となったら、
叔父ちゃんと結婚して
本当に良かったと思ってるのよ
今とても楽しくしてられるのも
叔父ちゃんに会うたからやと思うしねぇ」


“別に好きな人がいたって言うのは、
叔父ちゃんには内緒やでぇ”
と、悪戯っぽく笑いながら
ナイショの話をしてくれた


“深く考えることはないかもしれない” 
と思うと
肩の力が少し抜けたように思った。










三十路手前の今なら 
3歳くらいの年の差なんて、
対して気にもならないけれど


あの時はまだ
大学生になってまもない頃だったので 
“3つも年下”となれば、
かなり年の差を感じた
しかもいきなり言われて驚いたので
すぐには返事が出来ずにいた。
でも啓太の方は平気な顔で 
“そんなに驚かなくてもいいし、
深く考えないでよ、友達なんだし”
と、涼しい顔をしていた


難しく考えたのは、
自分だけなのか?と
ちょっと恥ずかしくなったが 
その後何日かして
“じゃぁ友達として、お願いします”と
返事をした
それからは店で会うと隣りに来て
その日の出来事や友達の話など
高校生らしい会話を話して聞かせてくれた。
啓太はとても人懐っこくて、
誰とでもすぐ打ち解けるのが得意なようで
私の“言葉コンプレックス”も 
いつのまにかなくなっていた