私の代の友人 秋津君は 誠に 誠実な 性念です。気性もさっぱりしているし、親切で世話好きでもある。
ふしぎにに神様も こんな好人物に唯一の欠陥を 与えてしまった。
酒乱。本人にはまったく罪はないのである。有るとすればそこに
焼酎があったということだけである。
会社から帰って当時寮に入っていたから 寮の食堂で事の始まりはあった。
彼は私と同室だ。飲んでいるうちに彼の目つきが座ってくる。危険水域に入ってきたわけだ。
私がそにいたらすぐわかったのだが 其の日に限って私の仕事が少し遅くなった。
寮に帰って暫くすると 廊下のあたりが少し騒がしい。
した働きの女の子が 飛び込んできた。「どうした。」『秋津さんが』
ぴんときた。とに書く現場に行ってみると包丁を逆手に持って仁王立ちだ。
食堂のおばさんが震えている。
もう引っ込みはつかない。「秋津どん なんばしとっと。」わたしは彼のから゛に接近して動作を封じた。
其の後秋津君は包丁を投げ出して私に飛びついてきた、大声で泣き出した。
其の夜暫くはわめいたり跳ね起きたりしていたが 最後はぐったりして寝込んでしまった。
翌日、わたしは彼に昨夜の出来事をはなした。
彼は意志の強い男である。きっぱり断酒した。ドンナに酒がつようにんげんでもだいたい3合飲むと酔うものだ。
下戸といわれる私でも三合飲むと怪しくなってくる。自分の酒癖は知らないが 泣き酒ではないかと懸念している。