私が子供の頃、大人の女の人を象徴するものはハイヒールだった。
今は中学生でもプライベートではヒールのある靴を履くけれど、当時はそんなものもなかったし、自分達も「履いてはいけない」と思っていた。
短大生や大学生という勉学をしえいる身分でもハイヒールなんぞは、もってのほかで会社に勤めるようになってからでないと履いてはいけないと考えていた。
小学校に上がる前、下駄箱から母親のハイヒールを取り出して、玄関で履いてみた。
前につんのめって、玄関の引き戸に頭を突っ込みそうになったくらいに履きにくい靴だったけれど、これを履きこなせる大人の女の人はたいしたもんだと思ったりしていた。
私は、もともとスカートが嫌いで短大の時もスカートを穿いた回数は2年間で2回くらいだった。
ハイヒールは履かなかったけれど、いわゆる厚底靴は履いていた。
丈が長めのベルボトムジーンズに厚底靴は当時のファッションで短足隠しには好都合であった。
高さがあっても全体がそうなので、感覚的には、ほぼ、ぺたんこ靴と同じだった。
たまにバランスを崩して、足首をひねることはあってもハイヒールよりは、はるかに履きやすかった。
身長や股下を、ごまかす目的は同じでも厚底靴とハイヒールを比べれば、大人の女性の靴という意味では、ハイヒールにかなうものは無い。
就職することが決まり、一応、社会人としての身だしなみの為、スーツやブラウスやスカートといった、今まで全く縁がなかった衣類を揃えたのはいいが、母親や兄からは、あまりにスカートが似合わないので「女装をしているようだ」
と言われ、ショックだったけれど、ハッキリ言って、その通りだったので黙っていた。
つづく
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