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どちらを選ぶかは自分次第

ムヒカ氏の壮絶すぎる過去と日本の若者へ伝える言葉

2016年04月27日 | パワーな人々・パワーな本
少し遅れましたが、ホセ・ムヒカ氏来日の際の関連記事をメモのために。
まずは、東京新聞2016年4月8日の筆洗。

「世界で一番貧しい大統領」と呼ばれたのは、南米ウルグアイの大統領を昨春まで務めたホセ・ムヒカさん(80)だ。もっとも、ご本人は「私は貧しいとは思っていない」と言っている▼ムヒカさんによれば、貧しい人とは、ぜいたくな暮らしを際限なく求め、欲の奴隷となって働き続ける人。逆に「質素でつましい生活をすれば、自分のしたいことをする時間が増える。それが自由だ」と話す▼自由。この人が語るこの言葉には特別な重みがある。彼は反政府勢力の幹部として捕らえられ、十数年間も獄中で過ごした。地面に穴を掘った独房に入れられ、一年余も体を洗えなかったこともあるという▼それは狂気と闘う日々だったという。ムヒカさんは口に石を含み、叫び出す衝動を抑えた。穴に入り込んでくるカエルやネズミとパンくずを分け合い、彼らを友とすることで孤独を癒やした▼そんな極限の生活を体験したからこそ、地球の資源を食い尽くすような大量生産・大量消費の虚構が見えたのだろう。初来日したムヒカさんは「私たちは多くの富を抱え、技術も進歩した時代に生きている。しかし私たちは幸せに生きているのか」と語り掛けた▼五年前の春、大震災と原発事故の不安の中で多くの人が「足るを知る」ことの大切さを感じたはずだ。それを忘れてはいまいかと、ムヒカさんは問い掛けているようにもみえる。



改めてムヒカ氏の知られざる過去を知り、驚いた。

繰り返しになりますが、上記一部編集して、抜粋します。

自由。
この人が語るこの言葉には特別な重みがある。
彼は反政府勢力の幹部として捕らえられ、十数年間も獄中で過ごした。
地面に穴を掘った独房に入れられ、一年余も体を洗えなかったこともあるという。
それは狂気と闘う日々だったという。
ムヒカさんは口に石を含み、叫び出す衝動を抑えた。
穴に入り込んでくるカエルやネズミとパンくずを分け合い、彼らを友とすることで孤独を癒やした。



口に石を含んで、叫び出したい衝撃を抑えるとは、なんと壮絶な状況だろう。彼の心情を思うと、生きながら地獄にいるような日々だ。
常人なら気が狂ってしまうようなその中でも、小さな命を友として、絶望から逃れた。辛くても苦しくても、どんなときにも小さな喜びを見出す、それは、彼が高いパワーの人である証しです。

テレビ番組でも、このようなことを述べていた。
「お金を使って、ミサイルを飛ばすなんて馬鹿げている。
 そのお金で、じゃがいもの苗を植えたら、飢えた人を助けられるではないか。」

当たり前のことをそのように、まっすぐに問いかけて、あっという間に帰って行かれた。


以下は、東京外語大学で、学生たちに語った言葉から。
ワイドショー化されたテレビ番組だけでは、彼の言葉の全部は、伝わってはいない。

「政治の放棄は少数者の支配を許すことにつながる」 ムヒカ・ウルグアイ前大統領 講演
東京新聞2016年4月9日

 来日中のウルグアイ前大統領ホセ・ムヒカ氏が七日、東京外国語大(東京都府中市)で「日本人は本当に幸せですか?」をテーマに講演しました。講演の詳報と、学生との質疑応答を掲載します。

 

 今回、日本の文化や日本人の特性に触れ、強い感銘を受けた。東洋のドイツ人のようだ。秩序立てて物事を行う、驚くべき文化だと思う。日本という重要な国を知る機会を得たことを感謝している。

 世界を担っていく若い人たちに向けて話をしたい。私たち人間にとって最も重要なことは何か。生きていることだ。いろいろなことができるという意味で「生」は奇跡に等しい。しかし、気の向くままに生きるのと、人生を方向づけながら生きるのとは全く違う。自然は私たちに特権を与えた。社会にコミット(関与)し、何かをつくるという特権を。それが文明を築いてきた。これから来る世界を、今ある世界よりもより良いものにしよう、という意志を持とうではないか。

 この社会と向き合う上で、哲学、政治、倫理という価値体系が存在する。ところが、この社会を形づくる市場経済というものからは倫理、特に哲学が分離してしまった。市場によって、私たちは組織だった社会に生きるようになったが、それは人々に浪費を強いるシステムでもある。何かを買うために生きる。浪費し、消費することが不可欠な社会になってしまった。

 だが、お金で物を買っていると思うだろうが、実は自分の人生の一定の時間と引き換えているのだ。家族や子どもと過ごす時間を削って消費する。新しい物を、いい物を買うために、人生で一番大切なのは愛であるのに、愛情を注ぐ時間を浪費している。消費そのものを否定はしない。ただ、過剰はいけない。人生の原動力となる愛情を注ぐ時間を確保するために、節度が必要だ。

 人類の文明は、市場を伴って発達した。技術を手にして歴史を変えてきた。しかし、進歩の半面、負担をもたらした。今も加速度的に発達しているが、問題はそれを統治するすべがないことだ。リミッター(制限装置)をつけなければならない。幸せになることが人類の大義だとしたら、人類はまだ進歩の恩恵にあずかっていない。

 例えば近年、地球環境破壊を制限しようと京都議定書が結ばれたが、できなかった。海の汚染も止める手だてがない。今、世界では一分間に二百万ドルの軍事費が使われているというが、誰もそれを止められない。そして極めて少数の者に、世界の富が集中している。生産性が高まったけれども、分配の仕方が悪いので、社会的な弱者に恩恵が及ばないのだ。

 私は世間から「貧しい」と言われているが、私は決して貧しくない。質素を好むだけだ。浪費を見直し、それぞれが人生を見直すことが重要になってくる。市場に操られて生きているうちに、あなた方の自由な時間が失われてしまう。私の考えに同意しろとは言わない。自分にとって何が大切かを考えてほしいだけだ。

 人間にはエゴイズムというものがある。これは自分を守るためで、自然が与えてくれたもの。他方で、人間は世代間の連帯や協調で文明、文化、知識を築いてきた。教育によって、エゴにブレーキをかけられることも知っている。連帯や協調は、社会を変える力になることを学んだ。しかし、人間は神ではないので、社会は問題を抱える。それを政治で調整しようとする。

 この世界に紛争は必ずある。だからこそ、社会全体に心をくだくことが大切になる。「政治に関心がない」「政治は重要じゃない」と言う人がいるが、政治を放棄することは少数者による支配を許すことにつながる。人間に上下はない。男も女も同じ権利を持つ。公爵も伯爵もないのだ。

 民主主義には限界がある。それでも社会をよくするために闘わなければならない。皆さんのようにすばらしい大学で学んでいる者は、社会をよくするために闘わなければならない。最も重要なことは勝利することではなく、歩き続けること。何かを始める勇気を持つことだ。

 私たちはグローバル化した世界で生きている。その特徴は、金融資本が爆発的に大きくなっているということだ。国境がなくなり、人々が忙しく働く。生活を大きく変え、お金が重要で、そのための人生になっている。お金のために自分の人生をぶちこわしていいのか。そうした世界と若い人は闘わなければならない。

 私は多くの本を読み、世界を変えようと思ったが、変えられなかった。十年間以上、(政治犯として)刑務所に入った。つらかったが、いろいろなことを学び、大統領にもなった。後進のために道を耕すのが私の仕事。闘いは永遠に続くからだ。

 日本では若者が希望を持てないと聞いた。若い世代の投票率が30%程度だと聞いた。政治や社会を信じていないのだろう。それでも、信じられるようにしてほしい。不満を持つのはいいことだ。どうか同じ気持ちの人と何かを始めてほしい。生きるには希望が必要。そうでなければ人生なんて意味がないから。

◆貧乏とは、多くの物を必要とすること

 【学生との質疑応答】

 -若者に何ができるのか

 ムヒカ氏 消費主義に支配されてはいけない。もちろん、そう言うのは簡単だが、あれを買え、これを買えとせき立てられることに抗して、本当に必要な物だけを買おう。貧乏とは、多くの物を必要とすること、という言葉を覚えておいてほしい。

 -世界中が幸せになることは可能か

 ムヒカ氏 確かに私たちは神ではない。しかし、人生のある地点で立ち止まり、自分を幸せにすることを見つけ、自分と関わる他の人を幸せにしてほしい。世界変革は大変なことだが、努力すれば今までと同じということはない。

 -テレビと政治の関係についてどう思うか

 ムヒカ氏 テレビが映し出す世界だけが、見る人にとっての世界になっている、という点で非常に影響力がある。しかし、情報は人がつくるもの。世界を分析し、テレビが扱わないことを人々に伝える努力を続けてほしい。

 -愛ゆえに闘争するのが人間ではないのか

 ムヒカ氏 恋人や家族のために闘うのは大切なことだ。だからといってそれ以外の他人のために何もできないということはない。私たち夫婦には子どもはいないが、他の子どもたちのために学校をつくり、育てた。彼らは私たちの子どもだ。

◆軍政に抵抗 投獄4回

 ウルグアイはブラジルとアルゼンチンに囲まれた南米の小国。人口は約340万人で白人が9割を占める。面積は日本の半分ほどで農業や牧畜業が主要な産業となっている。2014年の1人当たりの国民総所得(GNI)は1万6360ドル。
 スペインや英国、アルゼンチンなどの領有を経て1825年に独立。1917年に中南米で最も早く議会制民主主義を確立したが、60年代初期には独裁政権が支配し、73年には軍部が台頭して議会が閉鎖され、軍政に移行した。
 独裁政権に反抗するゲリラ組織に参加していたホセ・ムヒカ氏は4回も投獄された。最後の投獄は72年から軍政が終わる85年まで13年間に及んだ。
 在留邦人は約340人で、日系企業約20社が現地に進出。サッカーの強豪国として知られ、ワールドカップ(W杯)では30年の第1回、50年の第4回大会で優勝した。
 麻薬密売組織を弱体化させるため、2013年に国としては世界で初めて大麻の栽培や売買を合法化する法律を可決した



こちらは、社会面から

「社会を良くするため若者は戦え」 ムヒカ前大統領が東京外大で講演
東京新聞2016年4月8日
 来日中の「世界で一番貧しい大統領」として知られる南米ウルグアイのホセ・ムヒカ前大統領(80)が七日、東京外国語大学(東京都府中市)で講演し、約三百人の学生と交流した。
 講演のテーマは「日本人は本当に幸せですか」。最も重要なのは「より良く生きること」とし、そのためには「過剰な消費生活を見直し、市場にすべてを任せない節度が求められる」と説いた。
 日本の若者の投票率の低さを例に「民主主義には限界があるが、社会を良くするために君たち若者は戦わなければならない」と語った。最後に「貧困は、過剰に物を求めることから生じる。私は貧乏なのではなく、質素が好きなだけ」と持論を展開。「エゴイズムにブレーキをかけ、世界の人々と共に助け合おう」と呼び掛けた。
 講演後、学生から「全世界を幸せにすることは可能か」「どんな学生時代を送るべきか」などの質問があった。ムヒカ氏が「世界変革は難しいが、自分を幸せにし、他の人も幸せにする。勇気を持ってそれを続けてほしい」と答えると、大きな拍手が送られた。



★関連記事
 歓迎!ムヒカ善大統領初来日
(ムヒカ氏は、日本の安保法制について「日本が先走って大きな過ちを犯していると思う」と批判した。)

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