初めてボニーの夢を見た
椅子に座った夫の足もとにボニーが居た
こちらに背中を向けて横たわっている
ボニーはこの世にもういない
それはわかっていた
これが幻だとわかっていた
近付けば消えてしまう幻
わかっているのに近付くわたし
「帰ってきてくれたの?ボニー」
ボニーが顔を起こしてわたしを見る
薄い舌をぺろりと出して満ち足りた表情を浮かべるボニー
ボニーがわたしの手に前足を乗せる
柔らかな白い毛とざらざらした手触りの肉球
懐かしい感触に思わずボニーを抱きしめると
夢は終わってしまった
夫がボニーの夢を見た話をするたび
うらやましくて それは嫉妬の感情にも似ていて
夢でもいい 会いたいと願っていたのに
ただただ哀しかった