あまの鍼灸院ブログ

鍼灸院での毎日の様子をアップしています。
鍼灸院ってどんなところ?と知っていただけたらうれしいです。

虎穴に入らずんば虎児を得ず

2022-01-16 20:41:00 | ブログ
こんにちは🌞今日はうららかな晴れ間が見られましたね😊
毎週日曜日は、院長の自伝です。

開業して間もなく友人から、東洋はり医学会名古屋支部が出来ることになったから
天野も勉強に参加しないかとの話があった。
盲学校の2年生の時に名古屋で東洋はり医学会が主催する「わかりやすい経絡治療」
という講習会があった時に一緒に参加した友人からの誘いである。

講習会では、先生が脉を診て、お腹を触り、おもむろに手足に細い鍼を数秒行う。
鍼の深さも皮膚面から殆ど入っていない、そしてモデル患者となった人に「はい、
息を吸って」と言って間髪をいれずに鍼を抜き、
再度脈を診てこれでよろしいと言っているではないか。盲学校で習っている鍼と
は全く別物であった。
話を聞けば講師の先生の所には毎日数十人の患者さんが来院されているという。
脉を診て鍼も殆ど刺さない、痛みも無い、そんな魔法のような治療で本当に病を
治すことが出来るのか半信半疑であったが、東洋医学(東洋哲学)には興味は有
ったので入会することにした。
「虎穴に入らずんば虎児を得ず」と言うことわざがありますが、とりあえず1年
間は徹底的にだまされてみよう、疑念を棄てて猿まねに徹した。
「学ぶは真似ぶ」「習うは馴れる」だ。立ち位置、姿勢、脈を取る方法、腹の
見方、鍼の持ち方など、先輩が行う事をそのまま真似した。

それまでは按摩を行ってから患者さんの訴える局所に電気鍼を行っていたが、そ
れからは来院する患者さん全員に脈を取って証決定(治療方針)をたてて肘から
下、膝から下にある五行穴(五臓六腑に影響を与えるツボ)を適宜3、4カ所選
んで鍼を行って(本治法)から全身按摩を行う事にした。

ここで、私が行っている経絡治療について簡単に説明しておきます。
治療法には本治法と標治法の二つを基本として、補助療法として奇経、子午、
お灸、刺絡治療などがありますが、ここでは本治法と標治法について説明させてい
ただきます。
本治法とは五臓六腑のバランスを整えて生体の生命力を高めて病気を除く治療で
すので、ここに最も重点がおかれます。たとえば、インフルエンザが流行しても
罹患する人もいれば罹患しない人もいますが、生命力(元気・原気)が有るので
罹患しません。東洋医学が最も大切にしているものがこれです。これを『治未病』
(病に罹る前に治療しておくこと)と言います。
西洋医学は病名が着かなければ治療法は有りませんが東洋医学は病気になる前に
治療を行う事を最も重要な治療としているのです。
標治法は、一般的には病症の有る部位にそれを取り除くべく治療を行うことを言
います。残念な事に免許制度の弊害(後述)により本治法を行わずに標治法のみ
で治療を行って居る鍼灸師が大半ですので、鍼灸治療を正しく理解している人が
ほとんどいないのが現実です。

次週に続く

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