扁鵲の(治療の世界)
角屋明彦先生
私たちが読んでいる難経、
難経扁鵲について、違う角度から、おもしろい講義でした。
現存する最古の医書「難経」
「素問」「霊枢」と並ぶ東洋医学の三大古典であり、鍼灸学の基本となっている
81章から成り立ち、すべて問答形式になっている
扁鵲(へんじゃく・紀元前四世紀頃、戦国時代の中国の名医で「難経」の著者とされているが定かではない)は渤海郡(漢代の郡名。今の山東省の西北部から河北省の東南部一帯)・県(現在の河北省任丘県の北)人である。
扁鵲者.勃海郡鄭人也.
姓秦氏.名越人.少時爲人舍長.舍客長桑君過.扁鵲獨奇之.常謹遇之.
長桑君亦知扁鵲非常人也.出入十餘年.乃呼扁鵲私坐.
間與語曰.我有禁方.年老.欲傳與公.公毋泄※.
扁鵲曰.敬諾.乃出其懷中藥予扁鵲.飮是以上池之水.三十日.當知物矣.
乃悉取其禁方書.盡與扁鵲.忽然不見.殆也.扁鵲以其言飮藥三十日.
視見垣一方人.以此視病.盡見五藏癥結.
特以診脉爲名耳.爲醫或在齊.或在趙.在趙者.名扁鵲.
姓を「秦」(しん)、名を「越人」(えつじん)といい、若い頃は旅館のマネージャーのような仕事をしていた。その旅館常連客の中に長桑というものがあり、 秦越人(扁鵲)はこの人物を普通の人物ではないと見ていた(仙人かはたまた高名な僧侶か知らないが)。それでいつもは秦越人(扁鵲)はうやうやしくこの長 桑をもてなしていたが、長桑の方も彼が一般人と違う事にわずかながらも気がついていた。
その後十数年が過ぎ、長桑は相変わらずこの宿を利用し、秦越人と交友していたがそんなある日のこと、長桑が突然秦越人の所にやってきて、こそこそと耳打ちするようにこう言った。
「ワシは秘密の方剤や治療方法をたくさん持っておる。しかしワシももう年だ。よってこれをすべてあんたに伝授しようと思うんじゃがどうじゃ? しかしこれだけは誓ってくれ、誰にもこの秘法を漏らさないこと、いいかな?」
秦越人はやっぱり長桑は仙人だったかと思うと同時に、うやうやしくこう答えた。
「いいですとも。喜んでそうさせていただきます」。
長桑はこれを聞くとクシャクシャの顔を更にクシャクシャにして大いに喜び、おもむろに懐中からある怪しげな薬を取り出しそれを秦越人に渡してこう言った。
「そうか、それじゃあんたはさっそく、天から降ってきて未だ地面に落ちていない清い水でこの薬を服用しなさい。さすれば30日も飲み続けた後、きっと物が透けて見えるようになるぞよ。どうじゃおもしろかろう」。
そう言うと長桑は彼の行李からその秘伝書の数々を取り出してきて全部秦越人に渡した。
かとおもうとその瞬間、霧と共に彼の目の前から怱然と姿を消し、再びこの旅館には戻ってはこなかった。
やはり長桑は仙人だったのである。
秦越人は長桑との約束通り、この薬を彼の言った様に30日間服用した。するとどうであろう驚いたことに壁の内側より外の歩いている人が透けて見えるではないか。
また彼はこの能力を病気の治療と診断に用いようと思った。そうするとなんと人体の五臓六腑のあらゆる疾病の患部が透視できるのだ。
よってかれは脉診などは必要なく、ただ患者に対しての便宜上これを行っていたにすぎなかった。
治療は主に斉国あるときはまた趙国という具合に各地を転々としていたが趙国にいるとき彼は扁鵲と呼ばれ始めた。
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