陽だまりのモノレールの中は、穏やかな空気が揺蕩っていた。
突如、刺々しい声音に、静寂は破られた。
「だから、俺がこれから行くって言うんだよ!」
50代くらいのヤクザ風男性。片手に缶ビールを握っている。
「申し訳ありません、こちらの説明不足で…」
消え入るように謝罪しているのは、30代くらいの気弱そうなスーツ男性。
「そんなこと聞いてねえ!今もウチの若けえモンを数人、絞めてきたとこだ」
「そういわれましても、はい…」
「だから、そんな説明じゃあ、わかんねえよ!どこなんだよ?」
「今ですか…?A川駅です」
「俺が行くのはC警察だろ?ちゃんと説明しろよ!」
妙に会話が噛みあっているのだが、ヤクザは扉付近に立ち、サラリーマンはそこから4mほど離れた座席に腰を下ろしている。
二人の耳には、それぞれスマホが押し当てられている。
まるで互いと会話しているようだが、どうやらヤクザはC警察と、サラリーマンは取引先とやりとりしているようだ。
何かのドッキリかと隠しカメラを探したが、会話のマッチは、偶然の一致らしい。
「では、今は車内ですので、後ほどまた連絡します」通話を終えるサラリーマン。
「…おい?もしもし?」
なぜ、ここまで息がぴったりなのだろう。
二人同時に話すことも、一切なかった。
下車後に、同行の友人に感想を聞いたら、私と同じことを思っていたらしい。
おそらくあの車両のお客さんたちは、全員同じ感覚を共有したことだろう。
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突如、刺々しい声音に、静寂は破られた。
「だから、俺がこれから行くって言うんだよ!」
50代くらいのヤクザ風男性。片手に缶ビールを握っている。
「申し訳ありません、こちらの説明不足で…」
消え入るように謝罪しているのは、30代くらいの気弱そうなスーツ男性。
「そんなこと聞いてねえ!今もウチの若けえモンを数人、絞めてきたとこだ」
「そういわれましても、はい…」
「だから、そんな説明じゃあ、わかんねえよ!どこなんだよ?」
「今ですか…?A川駅です」
「俺が行くのはC警察だろ?ちゃんと説明しろよ!」
妙に会話が噛みあっているのだが、ヤクザは扉付近に立ち、サラリーマンはそこから4mほど離れた座席に腰を下ろしている。
二人の耳には、それぞれスマホが押し当てられている。
まるで互いと会話しているようだが、どうやらヤクザはC警察と、サラリーマンは取引先とやりとりしているようだ。
何かのドッキリかと隠しカメラを探したが、会話のマッチは、偶然の一致らしい。
「では、今は車内ですので、後ほどまた連絡します」通話を終えるサラリーマン。
「…おい?もしもし?」
なぜ、ここまで息がぴったりなのだろう。
二人同時に話すことも、一切なかった。
下車後に、同行の友人に感想を聞いたら、私と同じことを思っていたらしい。
おそらくあの車両のお客さんたちは、全員同じ感覚を共有したことだろう。
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