いつから、 人魚に なったか わからない それも 二人 いる ようで、 足が あって
手の ない 方は どこか 深みへ 泳いで いって しまい、 もう 一人の こと など 忘れている
ようだ 深い 昆布の 森で、 浮き袋の 房の 中へ 指を 広げ、 痺(しび)れる ような
冷たさに 身を 任せている と、 青い 煙が 骨と 皮の 間を 伝わって、 足の いる 方へ
曳(ひ)き 摺(ず)られて いく ような 気が する ふと 怖くなり 意識の 海面へ
急 浮上 しよう と もがく 時、 いまだ 一人で 手足が 同時に 動き、 窓枠に 掴(つか)まって
身を 乗り出し、 何かを 探して 海に 墜(お)ちた のが 想い出される ことも ある
墜(お)ちる 時、 水 飛沫(しぶき)と 泡の 中で 映像が 身体(からだ)の 中を 通り抜け
月が 一緒に 足を 連れて いって しまった ような 気も する だが 結局
顔を 出して みると、 全部 忘れている 真っ暗な 天球に 欠ける ことを
止(や)めた ような 月が 皓々(こうこう) と 輝いている
昏(くら)い 昼 と、 暗い 夜 だけ の 永(なが)い 日々 海底 と 海面 の
どちら から も 遠く どちら も 幽(かす)かに しか 見えない、 見えなく も ならない
垂直な 岩場や 昆布の 森に 引っ掛かって 眠って ばかり いた ある 時 仄(ほの)かに
明るい ような 気が して 夢から 覚め 海面に 上がると、 雲間から 月が 差し込んで いた
濁った 薄闇の 昼には、 厚く 冷たい 雲が どこまでも 途切れ なく 続き、 雨か 雪か
灰の ような ものを 絶え間 なく 落とし 続ける 雪は 水に 落ちると 融けるが
灰は 融けずに 海面に 厚く 溜まる 時々 長く 縒(よ)り 合わさって、 ゆっくりと
渦巻く ように 何本も 垂れてくる その 間の 重く 冷たい 海中を くねり ながら 泳ぐ と
何か 呟(つぶや)く ような 聲(こえ)が 聴こえる ことも ある
今は、 月明り だけが ゆら ゆらと 海面に 映って、 その上を、 何か 房のような、 白く 小さな
塊(かたま)りが、 流れて来る のが 見えた 近づく 前から、 仄(ほの)かな 馨(かお)りが
辺りを 取り巻いた 月が そのために、 すべての 音と 匂いと 風を 消している のが わかった
植物の 白い 花だった 陸(おか)の 胸の 前まで 来て、 揺れている のを 見つめて いたら
胸の 奥で 卯(う) の 花 と 聴こえた 月影が 波の 上で 煌(きらめ)く ように
もっと 何か 話す かも しれない 掌(たなごころ)で 鳩尾(みぞおち)へ 抱いて 海の 底へ
引き返した のに、 いつの 間にか また 岩場に 逆様に 引っ懸(か)かって 眠ってしまい
目覚めてみると 夢の ように 失くしていた でも 馨(かお)りは どこ まで も
つき 纏(まと)った 今度は 花に なる のか それなら 陸(おか)に 行かねば
時折 流れてくる 氷山の 内側に、 小部屋が ある 坐(すわ)って 目を 瞑(つむ)る と
足の いる ところが ぼんやりと 感ぜられてくる 深い 海溝の 底に、 投げ出されている
延ばされた 二本の 足が、 くっきりと 白く 光り、 水圧が 激しい ためか 光景が 揺らめいて
ただで さえ 遠く 失われた 足が、 八本にも 十本にも ぶれて 見える 月は いつか
日輪となり、 天空を 駈(か)け 廻(めぐ)る 日の ために、 足を 集めている のか それとも
もっと 遙(はる)かで 限りない 輝きから 守って くれている のか そんな 時は 瞼を
開いて ぼうっと 明るむ 青い 氷の 凝集を 見つめ、 頭が 空っぽに なる のを 待つ やがて
小部屋の 中には 誰も いなく なる 光が 弱まり、 全体が 蒼昏(あおぐら)い 残像 の ように
闇の 中へ 消えて しまう ただ 闇の どこかで、 尾鰭(おひれ)が 叩いた 小さな 水面が
いつまでも 揺れている のが 伝わってくる
月明りの 氷山の 天辺(てっぺん)に、 青い 海星(ヒトデ)を 置いてくる 競争 弾丸の ように
赤道を 越えた 大きな 青い 海星(ヒトデ)を 毟(むし)り 採(と)って 一瞬の 後(のち)
いつ 果てる ともない 流氷の 群れの 下を、 光の 筋の 網膜の 染(し)み と なって 通過した
誰と 競争していた のか 見渡す 限りの 氷山に 海星(ヒトデ)を 置いて 戻って来ると
足が 海の底で 十本にも 十一本にも 延び広がり、 ふやけ 皺(しわ)だらけに なった
たくさんの 膝(ひざ)の 窪(くぼ)みの 一つ 一つに、 大きな 眩(まばゆ)い 真珠を 並べて
いた のが、 涙で 膨(ふく)れた 睫(まつげ)の 間から、 氷の 壁に 映って 見えた の だった
輝く 大きな 星を 天辺(てっぺん)に 灯(とも)し、 暗黒の 腕を 広げた あちこちに
小さく 耀(かがや)く 星々を 無数に 纏(まと)った 昆布の 木 目路(めじ)の 届く 限り
ずっと ある 映り、 遷(うつ)り、 繰り 返される ように 近くの 一本の 根元に
小さな 鏡のような 水溜りが あって、 縁に 誰か 坐(すわ)っている そこから 出て
来た ような 気も し、 上を 見ても 下を 見ても、 下には 上が 映り、 同じ だけ
広がっている 一番 上の 光は、 一番 大きくて 遠い けれど、 それは 光 という より
すべての 光を 集め 曳(ひ)き寄せて 耀(かがや)く 小さな 深い 暗黒で、 重く 上に
向かって 開いている 孔(あな) その先へ 往(い)った 光は 還(かえ)って来る
ようには 見えない が、 実は また 暗い 枝葉の あちこちで 生まれている 誰かが
話し掛ける 白い 灰の 縒(よ)り 合わさった 螺旋(らせん) そこから
不思議な 房に なった 白い 花が 咲き出していく 幾つも 空木(ウツギ) の 花 の
蕾(つぼみ)は、 昆布の 浮き袋と 同じ、 夢 や 記憶 の 仄(ほの)かで 爽(さわ)やかな
馨(かお)りが 仕舞われていて、 星の ように 花咲く と 広がって 消える すると
月の 歌が 聴こえて来る 瞬(またた)き 耀(かがや)く 笑顔に 彩(いろど)られた
懐(なつ)かしい 聲(こえ) 上は 下と 同じ いつか 遠く 遠く 運ばれて
そこから 墜(お)ちる すると 初めの 真ん中の 内側に 出る
氷山の 底に ある 小部屋に 入っていく 時、 水面から 小部屋の 方へ 頭だけ 出して
長く 縁へ 掴(つか)まって いると、 掴(つか)まって いた ところに 氷の 鎖骨 の ような
ものが できる 少しずつ 掴(つか)んで 肋(あばら)まで 作った どうにも ならない
くらい 寒くなった ので、 手を 放し、 南の 海まで 一気に 泳いでいって
鼻から 細かな 泡を 出し ながら 磯巾着(イソギンチャク)に 顔を 突っ込んで
じっと 目を 瞑(つむ)っていた しゅう しゅう と 身体(からだ) 中に 血が 流れ
気がついて 戻ってみると、 もう その 氷山は どこにも なかった 何でも 失くす
誰かが 要(い)る の だろう
真珠を すべて 振り落として、 海底を 歩き回った 尾鰭(ひれ)が なければ
右を 見ても 左を 見ても、 前が 見えない 躓(つまづ)き 這(は)い 擦(ず)る
真珠を いくら 集めても 違う 月の 光が 見たい 海面まで 上がれば 途中で
息絶える のか 厚い 氷に 鎖(とざ)された 海面に 頭頂を ぶつけて 潰(つぶ)れ
とうとう 前が 見える ように なる か 二つ の 眼(まなこ)の 一つ の 前(さき)
右と 左へ 向かった 視線が 最後に 廻(めぐ)り 逢(あ)う ところ
行き先、 行方(ゆくえ)、 未来 上へ 行かねば 懸命に 足を ばたつかせて
上へ 向かおう と したが、 これまで と 同じで 身体(からだ)が 傾き、 下へ 墜(お)ちた
では、 このまま、 もう 起きまい 目を 鎖(とざ)すと、 昏(くら)い 薄闇の 奥から
右でも 左でも ない、 上でも 下でも ない、 前か 後ろ かも 知れない、 どこか 内奥から
何かが 鼻先に 漂って来た 花の 馨(かお)りが 海の 底で 消えてゆく
眼(まなこ)を 開いても 見えない それを、 失われた 手で 拾おうと して
失くしてしまった 魚の 仮面を 永(なが)く 被(かぶ)った 内側で 何かが 熱く 流れた
ふやけ 腐り 果て 疾(と)っくに 失われた と 思っていた 顔が すると 誰かが
上へ 運んでくれた 月の 光が 横たわり 目を 瞑(つむ)った まま、 夢の ように
ゆっくりと 上へ 昇っていった 花の 馨(かお)りが また 戻って来て、 夢なの か
どちら でも 同じ どんなに 失くして も、 決して 失くされて いない のが、 わかる
手の ない 方は どこか 深みへ 泳いで いって しまい、 もう 一人の こと など 忘れている
ようだ 深い 昆布の 森で、 浮き袋の 房の 中へ 指を 広げ、 痺(しび)れる ような
冷たさに 身を 任せている と、 青い 煙が 骨と 皮の 間を 伝わって、 足の いる 方へ
曳(ひ)き 摺(ず)られて いく ような 気が する ふと 怖くなり 意識の 海面へ
急 浮上 しよう と もがく 時、 いまだ 一人で 手足が 同時に 動き、 窓枠に 掴(つか)まって
身を 乗り出し、 何かを 探して 海に 墜(お)ちた のが 想い出される ことも ある
墜(お)ちる 時、 水 飛沫(しぶき)と 泡の 中で 映像が 身体(からだ)の 中を 通り抜け
月が 一緒に 足を 連れて いって しまった ような 気も する だが 結局
顔を 出して みると、 全部 忘れている 真っ暗な 天球に 欠ける ことを
止(や)めた ような 月が 皓々(こうこう) と 輝いている
昏(くら)い 昼 と、 暗い 夜 だけ の 永(なが)い 日々 海底 と 海面 の
どちら から も 遠く どちら も 幽(かす)かに しか 見えない、 見えなく も ならない
垂直な 岩場や 昆布の 森に 引っ掛かって 眠って ばかり いた ある 時 仄(ほの)かに
明るい ような 気が して 夢から 覚め 海面に 上がると、 雲間から 月が 差し込んで いた
濁った 薄闇の 昼には、 厚く 冷たい 雲が どこまでも 途切れ なく 続き、 雨か 雪か
灰の ような ものを 絶え間 なく 落とし 続ける 雪は 水に 落ちると 融けるが
灰は 融けずに 海面に 厚く 溜まる 時々 長く 縒(よ)り 合わさって、 ゆっくりと
渦巻く ように 何本も 垂れてくる その 間の 重く 冷たい 海中を くねり ながら 泳ぐ と
何か 呟(つぶや)く ような 聲(こえ)が 聴こえる ことも ある
今は、 月明り だけが ゆら ゆらと 海面に 映って、 その上を、 何か 房のような、 白く 小さな
塊(かたま)りが、 流れて来る のが 見えた 近づく 前から、 仄(ほの)かな 馨(かお)りが
辺りを 取り巻いた 月が そのために、 すべての 音と 匂いと 風を 消している のが わかった
植物の 白い 花だった 陸(おか)の 胸の 前まで 来て、 揺れている のを 見つめて いたら
胸の 奥で 卯(う) の 花 と 聴こえた 月影が 波の 上で 煌(きらめ)く ように
もっと 何か 話す かも しれない 掌(たなごころ)で 鳩尾(みぞおち)へ 抱いて 海の 底へ
引き返した のに、 いつの 間にか また 岩場に 逆様に 引っ懸(か)かって 眠ってしまい
目覚めてみると 夢の ように 失くしていた でも 馨(かお)りは どこ まで も
つき 纏(まと)った 今度は 花に なる のか それなら 陸(おか)に 行かねば
時折 流れてくる 氷山の 内側に、 小部屋が ある 坐(すわ)って 目を 瞑(つむ)る と
足の いる ところが ぼんやりと 感ぜられてくる 深い 海溝の 底に、 投げ出されている
延ばされた 二本の 足が、 くっきりと 白く 光り、 水圧が 激しい ためか 光景が 揺らめいて
ただで さえ 遠く 失われた 足が、 八本にも 十本にも ぶれて 見える 月は いつか
日輪となり、 天空を 駈(か)け 廻(めぐ)る 日の ために、 足を 集めている のか それとも
もっと 遙(はる)かで 限りない 輝きから 守って くれている のか そんな 時は 瞼を
開いて ぼうっと 明るむ 青い 氷の 凝集を 見つめ、 頭が 空っぽに なる のを 待つ やがて
小部屋の 中には 誰も いなく なる 光が 弱まり、 全体が 蒼昏(あおぐら)い 残像 の ように
闇の 中へ 消えて しまう ただ 闇の どこかで、 尾鰭(おひれ)が 叩いた 小さな 水面が
いつまでも 揺れている のが 伝わってくる
月明りの 氷山の 天辺(てっぺん)に、 青い 海星(ヒトデ)を 置いてくる 競争 弾丸の ように
赤道を 越えた 大きな 青い 海星(ヒトデ)を 毟(むし)り 採(と)って 一瞬の 後(のち)
いつ 果てる ともない 流氷の 群れの 下を、 光の 筋の 網膜の 染(し)み と なって 通過した
誰と 競争していた のか 見渡す 限りの 氷山に 海星(ヒトデ)を 置いて 戻って来ると
足が 海の底で 十本にも 十一本にも 延び広がり、 ふやけ 皺(しわ)だらけに なった
たくさんの 膝(ひざ)の 窪(くぼ)みの 一つ 一つに、 大きな 眩(まばゆ)い 真珠を 並べて
いた のが、 涙で 膨(ふく)れた 睫(まつげ)の 間から、 氷の 壁に 映って 見えた の だった
輝く 大きな 星を 天辺(てっぺん)に 灯(とも)し、 暗黒の 腕を 広げた あちこちに
小さく 耀(かがや)く 星々を 無数に 纏(まと)った 昆布の 木 目路(めじ)の 届く 限り
ずっと ある 映り、 遷(うつ)り、 繰り 返される ように 近くの 一本の 根元に
小さな 鏡のような 水溜りが あって、 縁に 誰か 坐(すわ)っている そこから 出て
来た ような 気も し、 上を 見ても 下を 見ても、 下には 上が 映り、 同じ だけ
広がっている 一番 上の 光は、 一番 大きくて 遠い けれど、 それは 光 という より
すべての 光を 集め 曳(ひ)き寄せて 耀(かがや)く 小さな 深い 暗黒で、 重く 上に
向かって 開いている 孔(あな) その先へ 往(い)った 光は 還(かえ)って来る
ようには 見えない が、 実は また 暗い 枝葉の あちこちで 生まれている 誰かが
話し掛ける 白い 灰の 縒(よ)り 合わさった 螺旋(らせん) そこから
不思議な 房に なった 白い 花が 咲き出していく 幾つも 空木(ウツギ) の 花 の
蕾(つぼみ)は、 昆布の 浮き袋と 同じ、 夢 や 記憶 の 仄(ほの)かで 爽(さわ)やかな
馨(かお)りが 仕舞われていて、 星の ように 花咲く と 広がって 消える すると
月の 歌が 聴こえて来る 瞬(またた)き 耀(かがや)く 笑顔に 彩(いろど)られた
懐(なつ)かしい 聲(こえ) 上は 下と 同じ いつか 遠く 遠く 運ばれて
そこから 墜(お)ちる すると 初めの 真ん中の 内側に 出る
氷山の 底に ある 小部屋に 入っていく 時、 水面から 小部屋の 方へ 頭だけ 出して
長く 縁へ 掴(つか)まって いると、 掴(つか)まって いた ところに 氷の 鎖骨 の ような
ものが できる 少しずつ 掴(つか)んで 肋(あばら)まで 作った どうにも ならない
くらい 寒くなった ので、 手を 放し、 南の 海まで 一気に 泳いでいって
鼻から 細かな 泡を 出し ながら 磯巾着(イソギンチャク)に 顔を 突っ込んで
じっと 目を 瞑(つむ)っていた しゅう しゅう と 身体(からだ) 中に 血が 流れ
気がついて 戻ってみると、 もう その 氷山は どこにも なかった 何でも 失くす
誰かが 要(い)る の だろう
真珠を すべて 振り落として、 海底を 歩き回った 尾鰭(ひれ)が なければ
右を 見ても 左を 見ても、 前が 見えない 躓(つまづ)き 這(は)い 擦(ず)る
真珠を いくら 集めても 違う 月の 光が 見たい 海面まで 上がれば 途中で
息絶える のか 厚い 氷に 鎖(とざ)された 海面に 頭頂を ぶつけて 潰(つぶ)れ
とうとう 前が 見える ように なる か 二つ の 眼(まなこ)の 一つ の 前(さき)
右と 左へ 向かった 視線が 最後に 廻(めぐ)り 逢(あ)う ところ
行き先、 行方(ゆくえ)、 未来 上へ 行かねば 懸命に 足を ばたつかせて
上へ 向かおう と したが、 これまで と 同じで 身体(からだ)が 傾き、 下へ 墜(お)ちた
では、 このまま、 もう 起きまい 目を 鎖(とざ)すと、 昏(くら)い 薄闇の 奥から
右でも 左でも ない、 上でも 下でも ない、 前か 後ろ かも 知れない、 どこか 内奥から
何かが 鼻先に 漂って来た 花の 馨(かお)りが 海の 底で 消えてゆく
眼(まなこ)を 開いても 見えない それを、 失われた 手で 拾おうと して
失くしてしまった 魚の 仮面を 永(なが)く 被(かぶ)った 内側で 何かが 熱く 流れた
ふやけ 腐り 果て 疾(と)っくに 失われた と 思っていた 顔が すると 誰かが
上へ 運んでくれた 月の 光が 横たわり 目を 瞑(つむ)った まま、 夢の ように
ゆっくりと 上へ 昇っていった 花の 馨(かお)りが また 戻って来て、 夢なの か
どちら でも 同じ どんなに 失くして も、 決して 失くされて いない のが、 わかる
(次回に 続く) (次回の 更新は、 11 月 半ばの 予定です)
良い表現ですね。
宮沢賢治の「寒さの夏」を思い出しました。
若い頃、夏に青森へ旅行し
息が白くなるようなヤマセに吹かれ納得したものです。
あるいは、「長い点」や「冷たい炎」のような
反語的表現でしょうか。
人魚に関しては
ジュゴンを見て連想したと聞いた事があります。
ジュゴンそのものは美しい人魚とは
似ても似つかぬ滑稽な顔ですが
人間が神秘的で美しいものへの
強い憧れを持っている証なのかと思います。
全体として海が主な舞台のようですが
長い闘病患者が束の間見る
切ない夢のような印象を持ちました。
切ないですが甘美な印象です。
後、「ウツギ」が「空木」である事を知ったのは有難いです。
これも 犬の話や 始祖鳥の話と 同じ、二十年位前に 書いたものが 基になっています。
洪水は、有史以前から 繰り返されていたものが、記憶の底に 残っていたのではないか、ノアの方舟 の 物語も、ほんとうは、今は絶滅した動物たちも 乗っていて、人間は乗っておらず、船 というのも、大きな 軽石のタイプの火山岩とか、氷山のようなものの内側に、大きな洞穴があるようなもの ではないか、ノア に該当する人は乗っていなくとも、海に潜って 行き来できるような 大型の鳥、オオウミガラス のようなものが、遭難し 乗り合わせた 様々な動物からなる群れを、落ち着いて まとめ、水が退き始めるまでの 長の月日を しのいだのではないか、人間は、もう少し 海に適応した種が、花を愛し、死者を手厚く埋葬した ネアンデルタール人のように 絶滅してしまったけれども、少しずつ異種交配をしていて、何らかの形で、船の周辺で、別々に生き残っていた 若い男女が、船と共に アララト山に辿り着いて、彼らが、洪水後の新たな世界の アダムとエヴァ になったのでは ないか、と 思い描いた もので、人魚である と 思い込んでいる 少女の視点から のみ 書いたものでした。
その後 十年程前に、全く 別に ヘーローとレアンドロス の 物語の 真相 というか、意味する ところ に ついて、考えたことを書いた、光の途 を、先の夏の終わりに、思い立って 手を加え、自分では だいぶ良くなったと 思い、このテーマでは ここまでか と思って、出してみました ところ、早速 いただきました コメントの 御礼を 書いているうちに、明星と篝火 と なってしまい、これまで、うやむやにしていた 幾つかのことを、さらに書いてみる ことが できました。
しかしながら、海で亡くなったような 話が続いてしまい、どうも やりきれない、と 思っていた ところ、この 方舟 の話を 想い出し、ひょっとして、こちらが その続きになっていた のかもしれない と 思えてきて、ヘーローとレアンドロス が 海底の 鏡 のようなもの を通った後、対消滅した の では なく、少なくとも 人間の遺伝子の 記憶の中で、上半身が人間で 下半身が魚 (自分のイメージでは、魚ではなく、後述する マナティー ですが …) であるような 時期を潜り抜けた 未来の エヴァ と、上半身が魚 (こちらは 魚で、それも マンボウ の ような 扁平な半身× 2 による 二次元的な全身 へと押し込められた存在のイメージ …) で 下半身が人間であるような 状態を耐え凌いだ 未来の アダム となって 洪水を生き抜き、新たな世界を目指して、方舟に曳き寄せられていく、という 物語となった 次第です。
マナティー の 妊娠期間が一年で 一回の出産に一子 というのは とても親近感が持たれるもので、彼らの顔や姿も 幼子のようで、やや面長のジュゴンに比べても たいへん愛らしく思われ、乱獲や、モーターボートで ずたずたに傷ついた 頭部や ひれを 持つものの写真を見た時は ほんとうに悲しく …
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%8A%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC
マンボウ のほうは、まだ ほとんどよく知られていないこと、深海に棲み、海面近くで 日光浴をし、何億も生み出される卵は ほとんどが食われてしまうこと、金平糖のような、星のような、とげだらけの幼生の姿や、皮膚が弱く、粘膜で覆われ、寄生虫が満載されていること … 長患いについての 鋭いご指摘には 胸を衝かれる思いでした … 確かに 海遊館で 一度 見た時は、ひれが欠け、水槽は スポンジに覆われ …
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%82%A6
後半のほうに 少しだけ出て来る オオウミガラス も、一年に一個の産卵ですし、警戒心が鳴く人間に興味を持って近づいて来て … 絶滅、リョコウバト も絶滅していて … 50億羽もいたものを 肉が美味いからといって絶滅させるものでしょうか … それで DNA から再生させる研究というのは … 結局 美味かった肉がまた食べたいから … 毟るのが面倒だから 羽の生えないように遺伝子操作した 赤裸の鶏を 大量に生産している工場の話を聞き、そういう ナゲット とかいうものが 食べられなくなったのですが … とにかく もう やめてもらいたい、殺して食って絶滅させたものを、また 殺して食うために蘇らせようなんて …
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%AA%E3%82%A6%E3%83%9F%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%82%B9
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%A7%E3%82%B3%E3%82%A6%E3%83%90%E3%83%88
ここには 出て来ませんが、 (… ミノタウロスの棲む迷宮から脱出する テーセウスに 糸玉を渡し、無事 脱出した テーセウス に ついて行って、孤島に 置き去りにされた アリアドネ の話で、ステラーカイギュウ の話を、もっと大昔に書いたのを 今 思い出しました … ) 絶滅した 大型の海生哺乳類に ステラーカイギュウ というのも いて、その、仲間が傷つけられると 皆その周りに集まって、何とか 助け、守ろう とする話や、そもそも警戒心も攻撃性もないので、狩られると ただ海底でうずくまるので、銛で簡単に刺殺された話は …、極寒の絶海の島々で、ひっそりと暮らしていたのに、遭難者たちが獲って食べ、衣服や住居や船に利用した 御蔭で、生還して 報告してから 無残にも 乱獲され、程なくして 絶滅してしまった 話は ほんとうに … 涙も身体の内側で数多凍りつくというか …
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%82%AE%E3%83%A5%E3%82%A6
洪水については、破局噴火というものが 海底火山で起こったりすることが 多いようですが、何十年も灰が大気を覆い尽くし、日光が遮られて寒冷化し …、大木が一瞬というか かなり圧縮された時間に 化石となったことからも、噴火と洪水は かなり連動する というか、近縁の 地殻及び気象現象となるようですが … そこへ太陽フレアなどが来れば 磁気嵐にもなり …、日食やら月食やらも 続いたりすることも … と 鬱々とするような事態から元へ戻るのに 大変な年月がかかり、それに 適応したり 凌いだりするのに どれほどの苦難 負担を 耐え忍ばなければならないのか と … それを 生き延びても 今度は人間に絶滅させられ … そんなことを続けていれば 地球の生命の総意というか 悲鳴が 変容させた ウィルス が人間を絶滅させに来るようなことに … 生きることが、自らにも 他者にも あらゆる 生命にも 長患いとなって しまわぬよう … それは 弱いものへ、年老いたり、幼かったり、子を産み育てるのに 身を削ってしまっている ようなものへ のしかかってきてしまうものなので … どうにか 少しずつ助け合って 乗り越え 何ものも踏み台にせず 遍く 守って参りたいものです … あの 社会的資産 の考え方を提唱された 経済学者の 宇沢 弘文 様 も 亡くなられてから、ごく最近 知り …
http://oka-jp.seesaa.net/article/306929108.html
http://oka-jp.seesaa.net/article/380942071.html
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3574_all.html
ウツギの中が空洞なこと、今は無人の 八丈小島 の 宇津木村 は、あの 源 為朝 が ウツギを折って挿したところに根付いて花咲いたウツギの村であること、などを知ったのは、随分後になってからですが、母の好きな花の一つでした … 母は 卯の花 と呼んでいました …
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E6%B4%A5%E6%9C%A8%E6%9D%91
人類は長い歴史のほとんどの時期を
飢えて過して来たので
塩分、糖分等の摂取を抑える機能が備わっていないそうです。
だから、現代病と言われる成人病が存在すると。
ともあれ、人類が起こす災厄は
全て、無際限の欲望が引き起こすのだと
思います。
「衣食足りて礼節を知る」と言いますが
どこかで足る事を知らないといけないんですよね。
なのに、日々、コマーシャルでは
人々の欲望に訴えている事にうんざりします。
ソーローが言う
「求めるものが少なくなれば心は豊かになる」と
人々が皆考える時代が来る事を願います。
後、洪水の記憶は
ユングの集合無意識を連想して興味深いです。
地球上に生まれた種のほとんどは
絶滅したそうですが
それは運による所が大きかったようです。
勿論、大きな括りでの「適者生存」による進化は明らかでしょうが
もし、巨大隕石が巻き上げた膨大な
塵埃により太陽光が遮られ
恐竜が滅びたのなら
運であることは自明でしょうね。
そこで、私が感じるのは
生命とは存続と自由をかけた
巨大な賭けなのではないかという想いです。
もう少し、大げさに言ってしまうと
宇宙が見る不可思議な夢ではないかと。
私もまた、もうしばらくこの世に存在し
私の夢を見るつもりです。