車窓からはよく実り刈り取りを待つだけの田んぼを見たりして刑部に運転停車。ここで対向列車を待ちます。
かつては急行が走っていた路線ですが規格が低いこと、安全側線がないこと、スプリングポイントなことが分かります。JRとしてはこれ以上投資はできませんし、北海道ならば「鉄道の使命を終えた区間」とかで公表しそうなものです。そして列車は真庭市に近づくと。
横断幕のお出迎えがあって中国勝山に到着。
この列車、営業上は新見から美作江見まで全駅通過という凄まじいダイヤなんですが、中国勝山と津山で67分ずつ停車して”半強制的”に観光させられるという列車です。実際問題降りるわけですから、通過駅で途中放棄も可能と言う訳の分からん話にもなりますが。今回の旅行で中国勝山駅を擁する真庭市は多くの歓迎プログラムを用意してくれています。
まず駅前で餅つき。出雲街道の宿場町である新庄宿から来てくれて、ヒメノモチという餅を搗いてくれます。
特色は水を使わず返すこともせずに4人がかりで時計回りにつくことだそうでよく粘る。
最後にはこんな感じにネバネバですけど巧くできたもので
杵にくっついた餅は縄でこそぎ落し、臼の餅は櫂を使い剥がします。出来上がった餅はきなこ餅で振舞われました。餅はすごく圧縮された感じで旨かったですがきなこに塩を混ぜ過ぎかな。塩っ辛かった。
その後はこちらの着物着たおばさんに連れられて街散策。なかなか話の面白い方で「皆さんはこれからどこへ行くんですか?日本酒の試飲ですね。試飲分からない方いますか。タダ酒を飲みに行くことですよ!」その通りです。楽しみにしてましたから(笑)。
道中、勝山についての説明がある。江戸時代は三河の西尾から転封してきた三浦氏による23,000石の小藩だったこと。それよりも鳩山家のルーツがここで先祖が藩士だったことは知らなかった。鳩山家と栗山英樹は栗山町と覚えてきたのでね(笑)。昔、簡易郵便局に行ったことあったなあ。
そうしてようやく酒蔵、辻本店に到着。御前酒という銘柄の蔵で杜氏が女性とのこと。封建的社会では珍しいと思ったのですが、名前を聞いたら当家の娘さんですかね。さすがによそから来て杜氏はないと思ったので。
お待ちかねの試飲です。2種類飲ませてくれましたが原酒はさすがに胃にカツンとくるなあ。それよりも試食があった大根の味噌漬けのなんと旨い事よ!酒も飯もすすんじゃいますよこれは。時間がないので15分くらいで店を出て駅に戻ります。
太鼓櫓を見ながら駅に戻ると最後に。
湯原温泉の女将さん連中が考案した「おかみちゃんの豆カレー」が振舞われました。特産の青大豆を使っており肉は勿論入っていません。これって使い方次第ではムスリム向けのハラルミールとして売れるのではなかろうか。マレーシアからの旅行者も増えているから、これを旅行会社などにアピールして団体客を誘致したらいいと思うのは私だけでしょうか。多く残ったからどうぞと2杯いただきました。これで昼飯はいらないかなあ。ただ残念なのは黄色いシャツ来たハゲ頭のオッサン、意味不明なこと呟いているからそういう人だと思うのですが「まだ余っているんでしょ。ボク、まだ食べられますから」と受け渡しのカウンター前にしゃがみ込んで食べ、無くなったらそのまま手を延ばして次、また次とありえない行動。係の人も不機嫌そうな顔になってしまったし、ホームレスの炊き出しだってそんな奴絶対いませんから。
ともかく、520円の指定券でやって来た乗客にこれまでほどのおもてなしを受けたことは初めてです。地元の期待の大きさを感じました。