ブログで個人的内容を詳しく述べるのは本意ではないが、腫瘍というのは今や一般的病気で誰しも無縁とは言い難く術後二ヶ月ではあるが自分の経験など参考になるかもしれないので述べてみる。
ましてや、日本で現役ハーモニカプレイヤーが肺を切除するなどということも自分の知る限りでは初めてのように思うし今後同じ経験をされる方がおられるかもしれないので。
★ことのはじまり
数十年ぶりに受けた健康診断のレントゲン撮影で3cm大の影が右肺上部に認められた。
その後すぐにCT検査で出来物(腫瘍)を確認。
内視鏡により腫瘍細胞摂取し腺癌と判明。
頭部をMRI、頭部以下をPET-CTで検査し転移はナシと判明。
初期1Bということで右肺1/3の切除し二週間入院。
★手術前
食事その他を変更して体調崩すのは好ましくない為、ドクターからこれ迄の生活どおりにという指示だった。ゆえに直前までジョギングを続けマラソン大会へも参加。
★手術
肺は左右それぞれ上、中、下部と分かれているのだが転移は無く右肺上部内に直径4cmの腫瘍が出来た1Bというランクのため上部の肺を摘出した(1cm未満の場合1Aとなり患部のみの摘出で三箇所穴を開けるだけのようだ)。この場合、肺活量は20%の低下と言われている。
★術後二ヶ月目の診断で判った事
さて術後二ヶ月後に撮ったレントゲン写真を見たら左同様に上部迄きちんと肺が広がっていて下部が少し持ち上がっていた。
術前の肺活量測定データでは身長体重から割り出した標準値よりも30数%多く(4千数百cc)、一挙に吐き出す空気量は70数%と標準だった(酸素交換量なので機能としてはこちらが大事らしい)。ドクターの説明では肺活量が減っているぶん排気効率は 上がっているとか。ともかく血中の酸素濃度は問題ナシで切除による酸素不足云々の危惧は無いようだ。
レントゲン写真を見て「立派な肺だしハーモニカの効果なのかとても順調です」ということだったので再開したジョギングで距離が稼げない事など話したら、身体が通常状態に戻るには最低半年はみてくださいとのことで肺そのものの機能とは無関係だと思われる。
ドクターによる術前の肺機能測定データや簡易なグラフでの具体的説明により自分の観念的想像による危惧は一掃されたが、こういうやり取りの重要さを感じた。
★退院後と現在のハーモニカ演奏について
二週間の入院、そして退院後の三、四日後にはライブ演奏だったがさすがに傷口は痛むしブレスも完璧ではなかったものの何とか終了。
翌週からはバンドで10日間のツアーへ。車の振動は右胸にジンジンと響くし少しハードなリハビリとなったが一日毎に治癒するのが演奏を通して実感出来た(本人とメンバーにしかわからないが)。
現在、音色、フレージングについて特に問題なし。第三者には以前と変わらなく聴こえているようだ。
自分では若干、息が短くなったように思うが(休符の使い方が上手くなったという意見もある)肺活量減少、入院生活の影響それとも治癒途中のせいなのか不明だが今後改善していくだろう。
以下、ドクターの説明を自分なりに解釈したもの
fig.1 レントゲン写真のイメージ図
fig.2 肺機能としては肺活量よりも中の空気をどれだけ一挙に吐き出せるかが重要。残る空気が多いと二酸化炭素が増えて血中の酸素不足となる。
fig.3 採血による腫瘍マーカーのイメージ図。単位は不明だが陰性、陽性それぞれの人数分布の中間点が5。したがって5以上でも陰性の方もいるし逆もある。
重要なのは数値の大小ではなく定期的に検査し数値が大きく変動しないことである。