芳野星司 はじめはgoo!

童謡・唱歌や文学・歴史等の知られざる物語や逸話を写真付でエッセイ風に表現。

世論調査

2016年03月14日 | コラム

 どうも世論調査は疑わしい。つい先日も世論調査の電話を受けたという方の驚きの逸話を拝見した。RDDという方式の世論調査らしい。最初の質問に「安倍内閣を支持しますか?」という設問に「しません」と答えると、そこで電話は突然切られたという。世論調査の相手からである。つまり彼らは「支持しない」人をそこで恣意的に切り捨てて、回答サンプルを電話口で操作しているわけである。「支持しない人」はそこでカウントされない。
 同様の逸話を数年前にも知人から聞いたことがある。その時は「何かの理由でたまたま電話が切れたのでは」と言っておいたが、もしかすると電話口でのサンプル数操作は本当にあるのやも知れない。
 例えば「安倍内閣を支持しますか?」「しません」回答の二人に一人はそこで調査が打ち切られ、「はい、します」と答えた人が次の質問に進む。

 例えば安倍内閣を支持する。安保法制を支持する…など、自分の周囲の方々との話から推察するに、圧倒的に支持しないが多いのである。しかし発表される数字は全く逆だ。どうも、その乖離がはなはだしい。実態はどうなのか? 日本の大手マスコミの世論調査はほとんど信用できないのではないか?
 例えばNHKが「全国の20歳以上の男女を対象に、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)方式で、何月何日から何日まで3日間をかけて調査」と言う。その電話は固定電話なのである。そのランダムに発生させたその番号に調査員が電話をかけ、世帯用だけを選別するらしい。

 これもおかしい。先ず今どきの青壮年のほとんどは携帯電話だろう。固定電話に出るのは年寄りが多かろう。固定電話にかけるから、サンプルの90%が50代から70代に偏っているのである。20代、30代のサンプルはほとんど取れまい。70代と20代、30代では政治に対する考えも要望も大きく異なるだろう。アメリカの世論調査では携帯電話にかけるという。固定電話と携帯電話の割合はとうに逆転し、携帯電話の利用者のほうが多いのである。
 また、その3日間には平日も含まれており、青壮年は昼間不在が多かろう。そもそも固定電話の相手が20歳以上とどうして分かるのだ。また固定電話に出た閑な老人が面白がって「若者のふり」をすることも考えられる。「マジ? 世論調査? こういう機会をチョー待ってた! 何でもええから訊いてチョーよ」
 設問の仕方でも回答はかなり変わるだろう。ある方向へ誘導する質問もあるだろう。質問相手にある程度の情報を伝えながら、あなたはどう思いますか? と訊ねる場合と、全く何の説明もなくイエスかノーかだけを問う場合もある。

 また聞き手側の恣意的な質問も可能なため、その数字はマスコミによって大きく違っている場合も多い。昨今の中央の大手マスコミと地方新聞の世論調査の差は大きい。安倍内閣の支持・不支持、その政策の支持・不支持の数字は真逆である。大手マスコミが官邸に餌付けされている様子は、総理とお食事会などの報道で明らかだ。また放送メディアが総務相や官邸から脅しを受けていることも明らかだ。
「翼賛系新聞」や「読売」系ならなおさら怪しい。官邸に揉み手をはじめたNHKも怪しい。特に「日曜討論」「党首討論」に政党にもなっていなかった「おおさか維新」を出し、歴とした特定の政党を党首討論から排除している。NHKは何をやっているのか。NHKはその説明を視聴者にしていない。見え見えではないか。
 安倍官邸に使嗾された団体や、政権与党から露骨に脅しをかけられているTBSやテレ朝系も、コメンテーターを替えたり政権批判の自粛をはじめた。

 数年前に鳥越俊太郎氏がインタビューに答えていた。「世論調査の数字に手が入れられる」と、彼も調査の結果に疑問を投げかけていたのである。
 世論調査が「本当に民意を反映しているのかというと疑わしいと思いますね。そもそも誰に投票しようか決めていない人が大半を占めていても、態度を決めている人の意見が〝民意〟となってしまう。
 人によってはそれを見て流されるということも大いにある。数字には影響力もあるし、誘導的な側面がどうしても出てくる」
「報道される数字が本当に公正ならいいのだが、それすらも疑わしい」と、彼は自らの経験を話した。
「僕が新聞記者時代は世論調査といえば、面接方式だった。どんな山の中だろうと雪の中だろうと、行って面接して集計していた。例えば総選挙では各選挙区を回って集められた調査結果は、東京にある新聞社の選対本部に送られる。ところが、その数字に政治部などが取材した情報が〝加味〟される。つまり、若干、世論調査の数字に手が入れられるんです。この数字はちょっと出すぎだろうといった具合に。そういうことを、僕は見聞きしてきたから、どうも疑ってみてしまう」